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《櫻井ジャーナル》

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2019.04.17
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 「性暴力をめぐる司法判断に、疑問の声が広がっている」とする記事を朝日新聞は4月17日付けの紙面に掲載した。確かに「女性の意思に反した性行だと認めつつも」「無罪とする判決が続いている」印象はある。

 こうした種類の事件は閉ざされた空間の中で行われることが多く、強制なのか合意なのかが微妙なケースも少なくない。内部告発を支援してきたウィキリークスのジュリアン・アッサーンジの場合、警察や検察の幹部が事件を捏造したと言われても仕方がなかった。実際、後に捜査は打ち切られ、逮捕令状も取り消されている。

 しかし、暴力的に行動の自由を奪ったり、意識が朦朧とした状態の女性をホテルへ連れ込み、性行に至るようなケースは悪質であり、処罰されるのが当然だと考えるのが常識的だろう。その常識が通用しなくなっているように思える判決が目につくことも事実だ。

 例えば、山口敬之元TBSワシントン支局長のようなケース。山口は2013年からワシントン支局長を務めているが、その年にニューヨークでジャーナリスト志望の女性と知り合う。その時点ではまだ支局長ではなく、当時の支局長を含め3名で昼食をともにしたという。

 就職についての話をするため、その女性が山口と会ったのは2015年4月3日。2軒目の寿司屋で女性は記憶をなくしてしまった。

 デイリー新潮によると、ふたりは午後11時にその店を出てタクシーに乗る。タクシーの運転手は「その女性のことなら、よく憶えています。後部座席の奥側に彼女が座らされていたのですが、男性は彼女に“もっといい仕事を紹介する”と話していました。女性は何度か“駅の近くで降ろしてください”と訴えたのですが、男性が“何もしないから。ホテルに行って”と。」というやりとりがあったと証言している。(​「警視庁刑事部長」が握り潰した「安倍総理」ベッタリ記者の「準強●逮捕状」(上)​、​「警視庁刑事部長」が握り潰した「安倍総理」ベッタリ記者の「準●姦逮捕状」(下)​)

 「で、降りるのはどの辺にしますかと聞いたら、男の人が“とりあえず駅はあれだからホテル行って。都ホテル”と。(ホテルに着いても)なかなか降りず、結局は抱きかかえて降ろされていた。(後部座席が)汚れているんじゃないかと見たら、後ろのマットに吐瀉物が。消化されない状態でドバッと、お鮨の臭いがして。そんなに未消化で残るのって珍しいなと思ったものです」とも運転手は語っている。その後の動きは監視カメラが撮影、そこには前後不覚の状態になっている女性を引きずるように連れて行く山口が映っていたという。

 所轄の高輪署は逮捕状を取り、2015年6月8日に成田空港でアメリカから帰国する山口を逮捕する予定だった。デイリー新潮によると、その日、担当の警部補とその上司を含めた複数の警察官が成田空港で被疑者となる人物を逮捕すべく待ち構えていたのだが、上層部から「山口逮捕は取りやめ!」と命令される。

 この件に関して取材していた週刊新潮に対し、警視庁刑事部長だった中村格は山口を逮捕する必要なしと「私が判断した」と語ったという。中村は2012年12月から菅義偉内閣官房長官の秘書官を務めた人物だ。

 山口のケースを不起訴にしたにもかかわらず、似たような事件で起訴したり、まして有罪にしたならば、中村の責任問題が蒸し返されるだろう。中村の判断を正当化するためには「女性の意思に反した性行だと認めつつも」「無罪とする判決」を出さざるをえないのではないか。

 ところで、山口は2015年にアメリカの国立公文書記録管理局の公文書館で韓国軍の「慰安所」に関する文書を見つけたと週刊文春(2015年4月2日号)で発表している。ベトナム戦争の際、サイゴン(現ホーチミン)に韓国兵限定で使用する「トルコ風呂」と呼ばれる慰安所を設置していたというのだ。

 アメリカへ赴任する直前の2013年に山口はある外交関係者から慰安所に関する未確認情報があり、アメリカの資料で裏づけられるかもしれないと耳打ちされたとされている。この話を書けと示唆(または指示)され、それに応えて伝える行為を「調査報道」と呼ぶことはできない。

 山口にサジェスチョンした外交関係者が誰で、目的は何だったのかは不明だが、日本軍の「慰安婦」の問題はアメリカの軍事戦略にとって好ましくなかった。バラク・オバマ政権は2011年にジハード傭兵を使った侵略を中東から北アフリカにかけて開始、14年にはウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを成功させている。

 ネオコンをはじめとするアメリカの支配層は1991年12月にソ連が消滅してから東アジア重視を打ち出す。ソ連が消え、ロシアを属国化した彼らは残された国の中で最も警戒すべき潜在的ライバルは中国と考えたわけだ。中国を軍事的に締め上げるため、オーストラリア、インド、日本、フィリピン、ベトナム、韓国を結びつけようとする動きもあった。

 21世紀に入ってロシアが再独立すると、ネオコンたちは再属国化を目論む。そしてウクライナのクーデター。その結果、ロシアと中国は「戦略的な同盟関係」に入り、中国はアメリカから離れて一帯一路を打ち出した。2013年の時点でも日本と韓国を連携させ、中国と戦う手先にすることは重要だったが、15年になるとその重要性は増している。

 その2015年に韓国と日本の外務大臣は「日韓間の慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と発表した。日本と韓国は慰安婦問題で合意したが、その背景にはオバマ大統領がいた。​オバマ政権でNSC(国家安全保障会議)の安保副補佐官だったベン・ローズによると、大統領は日韓両国の首脳との会う際、数年にわたり、毎回のように慰安婦の問題を採りあげ、両国の対立を解消させようとしていた​という。オバマ政権は慰安婦問題で韓国側の強硬姿勢を抑えようとしていた。ちなみに、合意の翌年に朴槿恵大統領のスキャンダルが発覚し、2017年に失脚している。

 この合意は文在寅政権に揺らぐ。韓国の外務大臣に直属する検証チームは2017年12月、合意は朴槿恵と安倍晋三の側近ふたりによる秘密交渉で進められた結果であり、慰安婦だった女性の意見が十分反映されなかったと指摘したのだ。

(注)●は楽天による規制







最終更新日  2019.04.17 21:21:44



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