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《櫻井ジャーナル》

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2019.06.12
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 安倍晋三首相は6月12日からイランを訪問、最高指導者のアリー・ホセイニー・ハメネイや大統領のハッサン・ロウハニと会談するという。イラン側は安倍との会談がアメリカのJCPOA(包括的共同作業計画)復帰につながることを期待しているようだ。

 アメリカがJCPOAから一方的に離脱、イランへの「制裁」を始めたのは2018年5月8日のこと。その日、ロシアではウラジミル・プーチンの新政権でもドミトリ・メドベージェフが首相を務めることを議会が承認している。

 メドベージェフはアメリカやイギリスの巨大資本の影響を強く受けている親西側派のひとりと言われ、ロシア国内では人気がない。ベドベージェフの続投はプーチンへの批判につながった。

 アメリカの支配層から見れば、プーチンの新政権はアメリカとの協調を臨んでいるように見える。アメリカ支配層が自分たちの行動にロシアは強く反応しないと思っても仕方がない。

 JCPOAからの離脱はイラン攻撃の準備だと考える人もいた。イラン攻撃はドナルド・トランプ政権と強く結びついているイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相やサウジアラビアのモハンマド・ビン・サルマン皇太子が望んでいることだ。

 昨年12月下旬、トランプ大統領がシリアから軍隊を撤退さえる準備をしていると伝えられたが、実際は逆の方向へ動いた。現地のアメリカ軍はシリアやイラクで軍事拠点を増強、物資を補給、手先に使う戦闘員の訓練していたのだ。トランプのシリア撤退命令に抗議してジェームズ・マティス国防長官は辞任を宣言、実際、今年2月に辞めている。

 また、マイク・ペンス副大統領とマイク・ポンペオ国務長官のキリスト教系カルトのコンビ、そして好戦派のジョン・ボルトン国家安全保障補佐官も公然と反対していた。3名とも狂信的なシオニストだ。

 トランプ政権が始まった直後、2017年2月にマイケル・フリン国家安全保障補佐官が辞任に追い込まれたが、この人物はロシアとの関係修復を進めていた。

 フリンは2012年7月から14年8月までDIA(国防情報局)の局長を務めているが、12年8月に​DIAはシリアで政府軍と戦っている勢力の主力はサラフ主義者やムスリム同胞団で、武装組織としてアル・カイダ系武装集団のAQI(アル・ヌスラと実態は同じだと指摘されていた)の名前を挙げていた​。


 当時、オバマ大統領は反政府軍のうち「穏健派」を支援していると主張していたが、そうした集団は存在しないことを伝えていたわけだが、それだけでなく、DIAはオバマ政権の政策がシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフ主義者の支配地域を作ることになるとも警告していた。

 その警告は2014年に現実となる。ダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)が1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国を宣言、6月にモスルを制圧したのだ。

 その際にトヨタ製小型トラック「ハイラックス」の新車を連ねた「パレード」を行い、その様子を撮影した写真が世界に伝えられ、広く知られるようになるが、本来ならこれは格好の攻撃目標である。アメリカの軍や情報機関は偵察衛星、無人機、通信傍受、人間による情報活動などで武装集団の動きを知っていたはずだが、何もしていない。

 なお、このトヨタ車はアメリカ政府がFSA(自由シリア軍)、つまりシリア侵略のために送り込まれた傭兵部隊へ提供したものだとも言われている。

 この展開を受け、オバマ政権の内部で対立が生じ、2014年8月にフリンはDIA局長のポストを追われた。その1年後、フリンはアル・ジャジーラの番組へ出演する。その際、司会者からダーイッシュ的な勢力の出現を予測していたにもかかわらず、阻止できなかった責任を問われる。

 それに対し、提出される情報の正確さをできるだけ高めることが自分たちの任務であり、情報に基づく政策の決定は大統領が行うと彼は答えている。つまり、バラク・オバマ政権がダーイッシュを出現させ、勢力を拡大させたというわけだ。

 西側の有力メディアは触れないようだが、ダーイッシュを含むジハード傭兵はイスラエルを攻撃しない。それどころか協力関係にある。つまりダーイッシュはイランとシリアの間に親イスラエル国を作り上げたのだ。これは1980年代からネオコンが主張していた戦略に合致する。この当時からシオニストは革命イランの打倒を最大の目標に掲げていた。現トランプ政権はこの戦略に基づく政策を進めている。

 しかし、本ブログでもすでに書いたように、イランを軍事的に制圧することは不可能に近く、アメリカ軍の上層部にも反対する声は強い。イラクを先制攻撃する直前にも統合参謀本部では反対する意見が多く、攻撃開始が1年ほど延びたと言われている。

 アメリカがイランへの攻撃を始めた場合、シリアだけでなくイラクやトルコとの関係がさらに悪化するはず。中東でアメリカを支持する国はイスラエル、サウジアラビア、アラブ首長国連邦などにとどまり、多くはないだろう。

 EUはJCPOAの問題でアメリカの命令に従わず、アメリカの従順な属国である日本も経済的に従えない事情がある。トルコがそうだったように、アメリカへの服従と自分たちの利益が対立している。中国との関係でも似たことが起こっている。

 来日した際、トランプ大統領と安倍首相はイラン問題についても話し合ったという。トランプ側から何らかの指示があったのか、メッセージを託されたのかもしれない。日本の政府が独自の判断で動けないことをイランも熟知しているだろう。







最終更新日  2019.06.12 10:24:49

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