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《櫻井ジャーナル》

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2019.06.25
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 アメリカがロシアの送電システムを破壊するための工作を実行してきたと伝えた​ニューヨーク・タイムズ紙​に対し、ドナルド・トランプ米大統領は反逆だという言葉を浴びせた。その批判に対する同紙の反論が話題になっている。報道する前に政府へ記事の内容を説明していると書いたのだ。検閲と言われても仕方がないだろうが、大統領の指揮系統外に検閲者はいる。




 アメリカの有力メディアとCIAとの関係は少なからぬ人が取り上げてきた。第2次世界大戦の前からメディアにはプロパガンダ機関としての側面があったが、大戦後にはメディアをコントロールする目的でプロジェクトがスタートしている。いわゆるモッキンバードだ。

 本ブログで繰り返し書いてきたように、プロジェクトの中心人物はアレン・ダレス、フランク・ウィズナー、リチャード・ヘルムズ、フィリップ・グラハムの4名。

 ダレスとウィズナーはウォール街の弁護士でCIAやその前身であるOSSで秘密工作に関わっていた。ダレスはそうした工作を指揮していた人物であり、ウィズナーはその下にいた。

 ヘルムズもダレスの側近だった人物で、ヘルムズと同じようにCIA長官になった。国際決済銀行初代頭取の孫という側面もある。

 グラハムはワシントン・ポスト紙の社主だった人物で、妻のキャサリンはウォーターゲート事件でリチャード・ニクソンを失脚させた当時のワシントン・ポスト紙社主。キャサリンの父親は世界銀行の初代総裁だ。

 ウォーターゲート事件の取材は若手記者だったカール・バーンスタインとボブ・ウッドワードが中心になって行われたが、ウッドワードは少し前まで海軍の情報将校。記者としては素人に近く、事実上、取材はバーンスタインが行ったと言われている。

 バーンスタインはニクソン大統領が辞任した3年後の1977年にワシントン・ポスト紙を辞め、「CIAとメディア」という記事をローリング・ストーン誌に書いた。これはウォーターゲート事件以上に重要な記事だ。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977)

 その記事によると、20年間にCIAの任務を秘密裏に実行していたジャーナリストは400名以上に達し、そのうち200名から250名が記者や編集者など現場のジャーナリストで、残りは、出版社、業界向け出版業者、ニューズレターで働いていた。また1950年から66年にかけてニューヨーク・タイムズ紙は少なくとも10名の工作員に架空の肩書きを提供したとCIAの高官は語ったという。

 CIAが有力メディアを情報操作のために使っていることはフランク・チャーチ上院議員を委員長とする情報活動に関する政府の工作を調べる特別委員会でも明らかにされた。

 勿論、CIAからの圧力があり、チャーチ委員会は記者、編集者、発行人、あるいは放送局の重役から事情を聞いていない。当時のCIA長官、つまりウィリアム・コルビー(1973年9月から76年1月)やジョージ・H・W・ブッシュ(1976年1月から77年1月)たちから調査をやめるように働きかけたことが影響したようだ。

 コルビーからブッシュへの長官交代も情報統制を強化する意味があった。ニクソンが失脚した後、副大統領から大統領へ昇格したジェラルド・フォードはホワイトハウスからデタント派を排除するが、コルビーの解任もその一環。コルビーは議会で秘密工作の一端を明かしているが、そうした証言は支配層を怒らせていた。

 当時、ブッシュを情報活動の素人だと言う人が少なくなかったが、実際はエール大学でCIAにリクルートされた可能性が非常に高い。当時からの親友、ジェームズ・リリーもCIAの高官になる。このふたりは学生の秘密結社スカル・アンド・ボーンズのメンバーだったという。

 ブッシュは1989年1月から大統領を務めているが、その年の4月にリリーは中国駐在の大使になっている。このふたりは中国との関係が深い。

 この当時、アメリカはソ連と中国で体制転覆の秘密作戦を展開中だった。ソ連ではブッシュたちCIA人脈とソ連のKGBの中枢が手を組んで作戦を成功させたが、中国では失敗している。

 バーンスタインの記事などでCIAとメディアとの関係が明らかにされた後、そうした関係は解消されていない。それどころか強化されてきた。新自由主義が世界を侵食する中、巨大資本によるメディア支配を容易にするように規制は緩和され、帰国ある記者や編集者は排除されていく。こうしたことは日本でも引き起こされていた。

 9/11以降、報道統制は加速度的に強化されていくが、その一端をニューヨーク・タイムズ紙の記者だった​ジェームズ・ライゼン​も明らかにしている。

 個人的な経験だが、1980年代にアメリカやイギリスのジャーナリストに対し、日本のマスコミがいかに酷い状態かを説明すると、異口同音に「どの国も同じ」という答えが返ってきた。自分が所属している国の状態を棚に上げ、日本のマスコミは駄目だと語る人は信用できないと考えている。

 言うまでもなく、アメリカだけに報道統制の仕組みがあるわけではない。例えばイギリス。この国にはDSMA通告(以前はDA通告、D通告と呼ばれた)があり、安全保障に関係すると見なされた情報の報道をしないように要請できる。

 イギリスの場合、BAP(英米後継世代プロジェクト)も報道統制に貢献している。ロナルド・レーガン米大統領は1983年、メディア界に大きな影響力を持つ富豪を呼び、軍事や治安問題で一緒に仕事のできる「後継世代」について話し合っているのだが、その結果、BAPはつくられた。その中には編集者や記者も参加する。イスラエルを後ろ盾としているトニー・ブレアを支援していた。

 ちなみに、日本では昔から自己検閲が徹底している。







最終更新日  2019.06.25 14:09:18



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