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《櫻井ジャーナル》

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2019.07.02
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 ネオコンの影響下にあったバラク・オバマ大統領は2011年春にサラフ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を主力とする傭兵をシリアやリビアへ送り込んで体制を転覆させようとする。リビアはその年の10月に目的を達成したが、シリアには手こずる。

 オバマ政権はリビアで戦わせていた戦闘員を武器/兵器と一緒にシリアへ運び、2012年には「穏健派」を助けるとして軍事的な支援を強化する。それを批判する報告書を出したのがアメリカ軍の情報機関DIAだ。

 ​DIAが2012年8月にホワイトハウスへ提出した報告書​には、シリアで政府軍と戦っている武装勢力の主力はサラフ主義者やムスリム同胞団で、アル・カイダ系のアル・ヌスラ(AQIと実態は同じだと指摘されていた)という名称も書かれている。2012年当時のDIA局長はマイケル・フリン中将だった。

 さらに、オバマ政権の武装勢力支援策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフ主義者の支配地域を作ることになるとも警告していた。その警告は2014年にダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)という形で現実なる。

 本ブログでは繰り返し書いてきたが、アメリカ政府が軍事侵攻を正当化する口実として化学兵器を言い始めたのはDIAが報告書を出した2012年8月。シリアに対する直接的な直接的な軍事介入の「レッド・ライン」は生物化学兵器の使用だとバラク・オバマ大統領が宣言したのだ。

 2012年12月になると、国務長官だったヒラリー・クリントンがシリアのバシャール・アル・アサド大統領は化学兵器を使う可能性があると語る。

 そして2013年1月29日付けのデイリー・メール紙には、オバマ政権がシリアで化学兵器を使ってその責任をアサド政権に押しつける作戦をオバマ大統領が許可したという記述がイギリスの軍事関連企業ブリタム防衛の社内電子メールの中に書かれているとする記事が載った。(同紙のサイトからこの記事はすぐに削除された)

 その後、シリア政府軍が化学兵器を使ったとする話を西側の政府や有力メディアは何度か主張してきたが、いずれも嘘が明らかにされている。それでもアメリカ政府は同じシナリオを繰り返し、有力メディアはそれを垂れ流している。

 こうしたオバマ政権の作戦を察知したのか、ロシア政府のアドバイスでシリア軍は生物化学兵器を廃棄していた。その作業は公開されている。そのため、アメリカ側の宣伝は説得力がなくなっていた。

 そして2014年1月に出現したのがダーイッシュ。この武装勢力はイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国を宣言し、6月にモスルを制圧する。その際にトヨタ製小型トラック「ハイラックス」の新車を連ねた「パレード」を行い、その様子を撮影した写真が世界に伝えられて広く知られるようになった。

 こうしたパレードは格好の攻撃目標。偵察衛星、無人機、通信傍受、人間による情報活動などでアメリカの軍や情報機関は武装集団の動きを知っていたはずだが、攻撃していない。それどころか、ダーイッシュ的な集団の出現を警告していたフリンは2014年8月にDIA局長のポストを追われた。ダーイッシュの出現はオバマ政権の政策だったと言われても仕方がない。

 2015年に入るとオバマ政権は戦争体制を整える。シリアに対する直接的な軍事介入に慎重な姿勢を見せていたチャック・ヘーゲル国防長官やマーチン・デンプシー統合参謀本部議長が排除されるのだ。ヘーゲルは2015年2月に解任、デンプシーは同年9月に再任が拒否されている。

 ヘーゲルの後任長官に選ばれたアシュトン・カーターは2006年にハーバード大学で朝鮮空爆を主張、ダンフォードの後任議長のジョセフ・ダンフォードはロシアをアメリカにとって最大の脅威だと主張する軍人だ。

 オバマ政権はシリアへアメリカ軍、あるいはNATO軍を軍事侵攻させようとしていたのだろうが、それを不可能にする出来事が統合参謀本部議長が交代した直後、2015年9月30日にあった。ロシア軍がシリア政府の要請で介入してきたのだ。これで戦況は一変、オバマ政権が送り込んだ傭兵は敗走、支配地域は急速に縮小していった。

 アメリカも参加したJCPOA(包括的共同作業計画)が公表されたのは、オバマ政権がシリアに対する戦争の準備を整えつつあった2015年7月だ。ネオコンの戦略を考えると、シリアに対する軍事侵略はイランへの攻撃に結びついている。JCPOAへ参加したからといって、オバマ政権がイランの体制転覆を諦めたと判断することはできない。

 オバマ政権の中東戦略はアメリカのシンクタンク、ブルッキングス研究所が2009年に出した報告書に基づいていると考える人がいる。報告書のプランと実際の政策が似ているからだ。




 その報告書には、イランを空爆する前にイランからの挑発を引き出す必要があるとしている。勿論、都合良くイランがそうした挑発をする可能性は小さい。世界に気づかれることなく、アメリカがイランによる挑発を演出すれば良いということになる。オバマ政権が核問題を話し合いで解決しているように思わせるためにJCPOAを利用したと考えることもできるということだ。オバマ大統領の言動を見聞きしていると、その可能性は小さくないように思える。

 ちなみに、9/11の前年、2000年にネオコン系シンクタンクのPNACが発表した報告書「アメリカ国防の再構築」には、「革命的な変革」を迅速に実現するためには「新たな真珠湾」のような壊滅的な出来事が必要だとする記述があった。(了)







最終更新日  2019.07.02 21:50:47

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