カテゴリ:カテゴリ未分類
安倍晋三政権は韓国への輸出規制強化策として、半導体の製造に必要な材料3品目、フッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素の輸出許可手続きを厳密にしはじめたという。さらに、輸出先として信頼できる国のリストから韓国を外す手続きを進めている。韓国の元徴用工を巡る問題に絡んでいると考える人が少なくない。 元徴用工の問題が注目されるようになったのは昨年(2018年10月、韓国の大法院(最高裁)が新日鉄住金に対して元徴用工へ損害賠償合計4億ウォンを支払うように命じる判決をだしてからだろう。 安倍政権は朴正熙政権下の1965年に締結した日韓請求権協定でこの問題は「完全かつ最終的に解決している」という立場。それを大法院は否定したのだが、日本の外務省も国会でこの協定は日韓両国が国家として持っている外交保護権を相互に放棄したということであり、個人の請求権そのものを消滅させたものではないとしてきた。 この問題に関係している日本企業はこうした展開になることは予想していたはず。そこで訴えられた企業は和解の姿勢を見せていた。今後のビジネスを考えても、それが得策だと判断したのだろう。 ところが、2013年7月にソウル高裁が新日鉄住金に賠償を命じた後に同社が判決を受け入れるかどうかを検討し始めると、安倍政権は判決を受け入れないようにと圧力をかけたと報じられている。主導したのは菅義偉官房長官らだという。 こうした姿勢を政府にとらせているのは日本の財界、つまり経団連、経済同友会、日本商工会議所、日韓経済協会だとされているが、アメリカからの指示、あるいは命令がないとは思えない。アメリカの支配層は東アジアが団結することを恐れている。その団結を壊す役割を担ってきたのが日本、そして一時期の朝鮮。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、韓国は中国やロシアと経済的な結びつきを強めている。その結びつきの背景になるビジョンを描いているのはロシアのウラジミル・プーチン政権。2011年夏にはドミトリ・メドベージェフ首相がシベリアで朝鮮の最高指導者だった金正日と会い、110億ドル近くあったソ連時代の負債の90%を棒引きにし、鉱物資源の開発などに10億ドルを投資すると提案しているが、これもそうしたビジョンの一環だった。 朝鮮がロシアのプランに同意すれば、シベリア横断鉄道を延長させ、朝鮮半島を縦断、釜山までつなげることが可能。鉄道と並行してパイプラインの建設も想定されていたはずだ。このプランは現在も進行中で、中国のBRI(帯路構想)と結びついている。 BRIは最近まで一帯一路と呼ばれていた。「陸のシルクロード」と「海のシルクロード」でユーラシア大陸の東と西をつなぐという構想で、国家主席に就任した習近平が打ち出したという。 2014年にバラク・オバマ政権がウクライナでネオ・ナチを使ったクーデターを実行、EUとロシアを分断しようとしたが、ロシアは目を東へ向け、中国もロシアと手を組む。 中国は1980年から新自由主義を導入、80年代後半にそうした経済政策を修正して天安門事件につながるが、それでもウクライナでのクーデターまで中国とアメリカの関係は揺るがないとアメリカの支配層は考えていた。 エリート予備軍の若者をアメリカへ留学させて洗脳していたことに加え、中国人はカネ儲けしか考えていないという偏見があったようだが、アメリカの属国になることを中国政府は拒否したのである。 一方、ロシアからの提案を受け入れた金正日は2011年12月に急死、その後、朝鮮はミサイル発射実験や核兵器の開発をアピールして東アジアの軍事的な緊張を高めることになる。朝鮮半島に鉄道やパイプラインを建設するというロシアのプランはアメリカ主導の「制裁」で難しくなった。朝鮮の言動は中国やロシアを軍事的に恫喝したいアメリカ支配層にとって都合が良かった。 その朝鮮が2018年4月27日に方針を変更する。韓国の文在寅大統領と金正恩朝鮮労働党委員長が板門店で会談したのだ。その後、朝鮮とアメリカとの首脳会談が行われるが、これはロシア、中国、韓国、そして朝鮮の4カ国が進めようとしている経済交流の促進にアメリカを絡めようという4カ国側の意向が反映されているように見える。 オバマ政権はロシアに経済戦争を仕掛け、軍事的な恫喝を強めていたが、ドナルド・トランプ政権は中国に経済戦争を仕掛け、軍事的な恫喝を進めている。 昨年12月1日にはバンクーバーの空港で中国の大手通信機器メーカー、ファーウェイ・テクノロジーズ(華為)のCFO(最高財務責任者)で同社を創業した任正非の娘でもある孟晩舟をカナダ当局が逮捕している。その時、アメリカのドナルド・トランプ大統領は中国の習近平国家主席と貿易問題について話し合っていた最中だった。トランプは逮捕を事前に知らされていなかったという。 しかし、先月末にトランプはファーウェイに絡んだ規制を緩和させる動きを見せた。この方針に反発する人物がホワイトハウスの中にもいるだろう。そのタイミングでの安倍政権による韓国への輸出規制強化。日本とアメリカの関係を象徴しているようだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019.07.04 13:41:10
|