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《櫻井ジャーナル》

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2019.07.17
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 安倍晋三政権が韓国に対する半導体の製造に必要な材料の輸出規制を強化、日本と韓国との関係がこれまで以上に悪化する様相を見せている。韓国政府はアメリカと話し合いを始めたようだが、元徴用工の問題と同じように、今回の問題も震源地はアメリカだろう。日本政府が独断でできるようには思えない。

 フッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素の輸出許可手続きを厳密化、輸出先として信頼できる国のリストから韓国を外す手続きを安倍政権は進めているのだが、その結果、韓国のサムスン(三星)電子、SKハイニックス、LGディスプレイといったメーカーはダメージを受けているのだろうが、同時にそうした企業と取り引きしてきた日本企業にとっても痛手になる。

 元徴用工の問題と半導体の問題はつながっていると韓国では見ているようだが、そう思われても仕方はない。その元徴用工の問題が注目されるようになったのは昨年(2018年)10月のこと。韓国の大法院(最高裁)が新日鉄住金に対して元徴用工へ損害賠償合計4億ウォンを支払うように命じる判決を出したのである。

 この問題に関係している日本企業はこうした展開になることは予想していたはずで、訴えられた企業は和解の道を探っていた。今後のビジネスを考えても、それが得策だ。その動きを安倍政権は潰したと言われている。

 本ブログでは繰り返し書いてきたが、明治維新から現在に至るまで日本の支配構造は基本的に変化していない。その連続性を象徴する人物がウォール街の中枢から大使として日本へ派遣されていたジョセフ・グルーだ。第2次世界大戦の前、グルーが所属するウォール街は親ファシストで、ニューディール派を敵視していた。そのため、フランクリン・ルーズベルトが大統領に当選すると、クーデターを計画したわけだ。

 関東大震災以降、グルーと緊密な関係にあるJPモルガンが日本に大きな影響力を及ぼしていた。この巨大金融資本は親ファシズムだ。この問題と向き合わないようにするため、「軍国主義」というタグが使われているのではないだろうか。

 このJPモルガンはロスチャイルドから派生した。明治維新はそのロスチャイルドを含むイギリスの支配層から強い影響を受けていた。清(中国)を侵略するためにイギリスはアヘン戦争を仕掛けたのだが、本ブログでも指摘したように、大陸を支配するための戦力がなかった。イギリスが日本の軍備増強を支援した理由はそこにある。傭兵にしようとしたのだ。そして作り出されたのが天皇制官僚国家。これが日本の国体だ。

 イギリスの手先として日本は琉球を併合、台湾へ派兵、江華島で軍事的な挑発、日清戦争、日露戦争と大陸侵略を進めていく。モスクワが革命で揺れていたとはいえ、戦争が長引けば日露戦争で日本が勝つことは難しかった。そこで、棍棒外交で有名なシオドア・ルーズベルト米大統領が仲裁のために登場してくるわけである。

 日清戦争で日本が勝利した1895年、日本の三浦梧楼公使たちは朝鮮の閔妃(明成皇后)を含む3名の女性を惨殺した。その際、性的な陵辱を加えているのだが、筆者個人の経験では、そうした日本側の行為に憤っている韓国のエリートは今でもいる。なお、暗殺に加わった三浦公使たちを日本の裁判官は「証拠不十分」で無罪にしている。その後、三浦は枢密院顧問や宮中顧問官という要職につく。

 日本でどのような教育や宣伝がなされても、少なからぬ韓国人は日本に支配されていた時代を忘れてはいない。何かの切っ掛けで、そうした感情は噴出する。今回、韓国で日本製品の不買運動が始まっているようだが、当然の結果だ。

 元徴用工の問題も日本による支配の中で生じたのであり、安倍政権の言動はそうした感情を噴出させることが目的だったとしか思えない。安倍政権には中国との関係を破壊しようとした菅直人政権と同じものを感じる。

 ロシアや中国との関係を強める韓国を引き戻すために脅しているのかもしれない。日本に脅させ、アメリカが「白馬の騎士」として登場するつもりかもしれないが、安倍政権の行動は韓国の自立を促進、ロシアや中国へ追いやる可能性がある。そうしたことがロシアや中国でも起こった。






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最終更新日  2019.07.17 16:35:13



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