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《櫻井ジャーナル》

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2019.09.28
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 アメリカの下院情報委員会が公表したドナルド・トランプ大統領とウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領との会話に関する「内部告発者」の訴えの中にクラウドストライクなるサイバーセキュリティ会社が登場する。DNC(民主党全国委員会)と契約していた会社で、同委員会のサーバーがロシアにハッキングされたと証拠を提示せずに言い始めたことで知られている。





 クラウドストライクが2016年12月に公表した報告書によると、クーデター政権の武器用アプリケーション・ソフトがロシアにハッキングされ、反クーデター派との戦闘で多くの榴弾砲を失ったとしている。同じ手法でDNCのサーバーがハッキングされたと主張しているわけだ。

 その分析ではIISS(国際戦略研究所)のデータを使ったとされているのだが、その​IISSはクラウドストライクによるデータの使い方が誤っていると主張​、IISSとクラウドストライクの報告書との関係を否定、クラウドストライクはIISSに接触していないともしている。クーデター政府の防衛省によると、戦闘による損失やハッキングの事実はないという。

 本ブログでも繰り返し書いてきたが、ヒラリー・クリントンに関する電子メールがDNCのサーバーへのハッキングで流出したのでないことは技術分析でも明らかにされている。

 例えば、アメリカの電子情報機関NSAの技術部長を務めた内部告発者のウィリアム・ビニーが指摘しているように、NSAはすべての通信を傍受、保管している。もし疑惑が事実ならFBIは必要な証拠をすべて手にすることができたのだ。ビニーは情報機関で通信傍受システムの開発を主導し、NSA史上最高の数学者にひとりと言われている。

 また、コンピュータの専門家で、​IBMのプログラム・マネージャーだったスキップ・フォルデンは転送速度など技術的な分析からインターネットを通じたハッキングではないとい​う結論に達している。インターネットから侵入したにしてはデータの転送速度が速すぎるのである。つまり内部でダウンロードされたということだ。

 ハッキング説には説得力がない。ところがFBIはDNCのサーバーを調べず、クラウドストライクの主張を無批判に受け入れている。

 この説得力のない話を維持するために引き出されたのがロシアの元外交官オレグ・スモレンコフ。2007年にワシントンDCのロシア大使館で勤務しているが、その時のロシア大使がユーリ・ウシャコフ。ふたりは2008年に帰国した。ウシャコフは2013年からロシア大統領府に配属、スモレンコフもスタッフとして同じ場所で働き始める。

 2016年8月の初め、CIAの人間がホワイトハウスへ白い封筒を運んできた。その中にはCIA長官だったジョン・ブレナンが重要だと考えるスモレンコフから得た情報が書かれていたという。

 その年の3月から​ウィキリークスはヒラリー・クリントンの電子メールを公表​しはじめ、7月22日にはDNC(民主党全国委員会)に関係した1万9000件以上の電子メールと8000件の添付資料を公表。その中には、民主党の幹部へバーニー・サンダースが同党の大統領候補になることを妨害するよう求めるものも含まれていた。

 2万件近い電子メールが公表される12日前、ひとりのDNCスタッフが射殺されている。そのスタッフとはセス・リッチで、強盗に遭ったというのだが、ウィキリークスへ資料を渡したのはこの人物ではないかと推測する人は少なくない。

 警察発表に納得できなかったリッチの両親は元殺人課刑事の私立探偵リッチ・ウィーラーを雇って調査を始める。その探偵はセスがウィキリークスと連絡を取り合い、DNC幹部の間で2015年1月から16年5月までの期間に遣り取りされた4万4053通の電子メールと1万7761通の添付ファイルを渡したとしている。この情報をウィラーガーは雇い主に無断で外部で話したことから問題になり、その後は情報が出なくなった。

 リッチが殺される5日前、​コミーFBI長官はヒラリー・クリントンが国務長官だった時代の電子メールに関する声明を発表​、その中で彼女は機密情報の取り扱いに関する法規に批判した可能性があり、またそうした情報をきわめて軽率に扱っていたことを認めているのだが、その上で司法省に対して彼女の不起訴を勧告していた。

 クリントンはロッキード・マーチンのような軍需産業や巨大金融資本などを後ろ盾としているのに対し、サンダースの支持基盤は草の根に近い。

 ウィキリークスが公表した電子メールは両者の間に大きな溝を作ったはずで、DNCはそれをごまかしてクリントンを当選させる必要に迫られた。そうした中でのブレナン情報だ。少なくとも結果として、クラウドストライクはブレナンと連携している。

 そこに加わるのが「元MI6オフィサー」のクリストファー・スティール。MI6はイギリスの対外情報機関で歴史的にシティ(イギリスの金融資本)に近いのだが、どの国でも情報機関員に「元」はないと言われている。スティールの報告書は「ロシアゲート」の根拠にされたが、信頼度は低い。これも本ブログで何度か書いてきた。

 ところで、オレグ・スモレンコフは2016年終わりにロシア政府から解雇されている。2017年7月には家族を連れてモンテネグロを訪問、その家族をCIAがヨットで連れ去った。その家族はワシントンDCの豪華な家で本名のまま暮らすことになり、今回の報道で姿を消した。

 ここで注目されているのはスモレンコフがロシアで逮捕されていない事実。重要な情報をアメリカへ流していたことが理由なら厳罰に処せられたはずだからだ。

 オバマ政権はロシアを再属国化するためにカラー革命を目論んでいた。その指揮官としてマイケル・マクフォールが2012年1月にアメリカ大使としてモスクワへ着任、その3日後には​ロシアの反ウラジミル・プーチン派のリーダーがアメリカ大使館を訪れている​。

 その一方、CIAはロシアでスパイ網を築こうとしていた。工作の中心はCIAの支局長だったスティーブ・ホール。その下で動いていたCIAオフィサーのベンジャミン・ディロンとライアン・フォグルをFSB(連邦保安局)が2013年に逮捕、国外へ追放している。ホールもロシアを離れざるを得なくなった。

 ボリス・エリツィン時代の新自由主義を経験したロシア国民はアメリカの工作で動かなかったが、ウクライナの西部地域に住む人びとは欧米信仰が強く、2014年2月のクーデターにつながった。

 それでもオバマは任期が終わる2016年までロシアとの関係悪化に努力、ロシアゲートを推進したわけである。その工作を民主党も有力メディアもまだ続けている。







最終更新日  2019.09.28 21:33:34



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