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《櫻井ジャーナル》

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2019.11.06
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 ポール・ウォルフォウィッツが国防次官時代の1991年にイラク、シリア、イランを殲滅すると口にしていたことは、元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官のウェズリー・クラークが2007年に証言している。(​3月​、​10月​)

 ネオコンは同じことを1980年代には考えていた。まずイラクのサダム・フセイン政権を倒して親イスラエル体制を樹立、シリアとイランを分断した上でシリア、そしてイランを破壊しようとしていたのだ。

 それに対し、ジョージ・H・W・ブッシュ副大統領やジェームズ・ベイカー首席補佐官はフセインをペルシャ湾岸産油国の防波堤だと考え、ネオコンと対立。両勢力の対立は暴露合戦になり、イラン・コントラ事件やイラクゲート疑惑が表面化する原因になった。

 ブッシュは1989年に大統領となるが、90年8月にイラク軍がクウェートへ侵攻して戦争になる。1991年1月にはアメリカ主導軍がイラクを攻撃、2月に集結するのだが、その際にフセイン政権は倒されなかった。

 そこで激怒したのがネオコンだが、その中心グループに所属するウォルフォウィッツはその時の経験から、中東でアメリカが軍事力を行使してもソ連軍は出てこないと考えるようになった。そして1991年5月、クラークは国防総省で3カ国を殲滅するという話を聞いたのだという。この思い込みは2015年9月30日に打ち砕かれ、アメリカは窮地に陥ることになった。

 イラク、シリア、イランを殲滅したいネオコンにとって好都合な出来事が2001年9月11日に引き起こされた。ニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されたのである。ネオコンに操られていたジョージ・W・ブッシュ大統領は詳しい調査をせずに「アル・カイダ」の反抗だと断定、2003年3月には統合参謀本部の反対を押し切ってイラクを先制攻撃した。

 そして2011年春、バラク・オバマ政権はムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を中心とするジハード傭兵の部隊をリビアやシリアへ侵攻させて体制転覆を図る。西側の有力メディアはこの戦争に「内戦」というタグをつけている。

 シリアは1980年代からネオコンが狙っていた獲物だが、リビアは違う。リビアが攻撃された理由はムハンマド・アル・カダフィが2010年にディナールという金貨を基軸通貨として導入すると発表したことにあると見る人は少なくない。オバマ大統領がイスラム同胞団を体制転覆工作に使うことを決め、PSD-11を出したのはこの年の8月だ。

 西側の「先進国」はアフリカ、アジア、ラテン・アメリカなどでの略奪なしに現在の体制を維持できない。つまり、こうした国々が真に独立することは許さない。通貨の問題は独立の核心であり、通貨の自立を主張する国はあらゆる手段を使って攻撃される。アフリカの場合、ドルを発行するアメリカだけでなく、CFAフランを発行するフランスにとっても深刻だ。

 イラクへの軍事侵攻で親イスラエル体制を樹立することに失敗したネオコンは新たな戦術へ切り替える。調査ジャーナリストの​シーモア・ハーシュが2007年にニューヨーカー誌に書いた記事によると、ブッシュ・ジュニア政権はシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボ​ラを最大の敵だと定め、スンニ派の過激派、つまりムスリム同胞団やサラフィ主義者と手を組むことにしたという。

 そして2008年にアメリカはAFRICOM(アフリカ軍)を創設する。その名の通り、担当する地域はアフリカなのだが、司令部はドイツに置かれた。アフリカには置けなかったということだ。

 カダフィが進めていた新しい通貨制度の創設計画ではチュニジアのベン・アリやエジプトのホスニ・ムバラクも重要な役割を果たし、スーダン、南スーダン、赤道ギニア、コンゴ、コンゴ民主共和国、ガボン、南アフリカ、ウガンダ、チャド、スリナム、カメルーン、モーリタニア、ザンビア、ソマリア、ガーナ、エチオピア、ケニア、タンザニア、モザンビーク、コートジボワール、イエメン、アルジェリア、アンゴラ、ナイジェリアの参加が予定されていた。

 しかし、アリとムバラクはムスリム同胞団が主導する「アラブの春」で倒され、カダフィはアル・カイダ系武装集団とNATOの連合軍に惨殺された。

 現在、リビアはアル・カイダ系武装集団とNATO軍による破壊と殺戮で破綻国家と化し、暴力が支配する無法地帯。アメリカが何をもたらすかを理解した人はアフリカにも少なくないだろう。

 そのアフリカの国々と中国は経済的な関係を強め、BRI(帯路構想、以前は一帯一路と言われていた)へ参加する国を増やしてきたが、ここにきて中国の戦略的な同盟国であるロシアも存在感を強めている。ロシアのソチでは10月23日から24日にかけて「​ロシア-アフリカ首脳会議​」が開かれ、ロシアのウラジミル・プーチン大統領とエジプトのアブドル・ファッターフ・ア-シーシ大統領が議長を務めた。

 会議のテーマは経済発展や安全保障などが中心で、鉄道やエネルギーなどインフラの整備についても話し合われたようだ。アメリカはジハード傭兵を投入しつつあるが、それへの対処法を教えることになるかもしれない。







最終更新日  2019.11.06 17:12:12



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