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アメリカと中国は貿易交渉で「第1段階の合意」に達し、両国は1月15日、合意文書に署名した。これで貿易戦争は一段落するとみられているが、合意の内容は以前から中国が提案していたものにすぎないと指摘されている。 今回の合意をアメリカの「制裁」で中国が情報した結果だと言うわけにはいかない。ドナルド・トランプ政権が「制裁劇」に幕を下ろしたのだと言うべきだろう。貿易戦争を続け、どこかの時点で中国が製品を売らないと言った時点で生産が放棄されたアメリカでの生活は破綻する。 アメリカから政策的に製造業が国外へ出され始めたのは新自由主義が広まり始めた1970年代のことだった。その象徴的な存在が自動車産業の中心だったデトロイトである。 バラク・オバマ大統領は2011年2月、アップルのCEOだったスティーブン・ジョブスに対し、同社のiPhoneをアメリカで生産しないかともちかけるが、アメリカへ戻ることはないと言われてしまう。中国では必要な組立工やエンジニアを集めることが容易で、生産規模を柔軟に変更でき、供給ラインが充実しているうえ、労働者の技術水準が高いからだという。日本も似たような情況だと言われている。 こうした情況を逆転させるためにもアメリカは中国を屈服させ、支配する必要がある。生産力のある中国を自分たちのものにできれば、その生産力を自分たちのものにできるからだ。アメリカが中国と真の意味で友好的な関係を築くことはないだろう。他者から奪うことで体制を維持している彼らが考えていることは支配だけである。 アメリカが1月3日に暗殺したイランのイスラム革命防衛隊で特殊部隊を指揮してきたガーセム・ソレイマーニーはイランとサウジアラビアとの関係修復交渉のメッセンジャーだった。その際、イラクのPMU(人民動員軍)で副司令官だったアブ・マフディ・ムハンディも殺している。 サウジアラビアはイランやイラクのほかロシアへ接近しているが、イランやイラクはロシアのほか中国とも関係を深めてきた。ロシアから中国へ天然ガスを運び込むパイプラインがすでに稼働しているが、アメリカから経済戦争を仕掛けられているイランも中国へエネルギー資源を供給、イラクも戦乱で破壊されたインフラを再建するため、中国へ代償としてエネルギー資源を供給する方向で動いている。 昨年11月にアメリカはクーデターでエボ・モラレス大統領を排除したが、その背景にはリチウムの利権があると見られている。この資源の輸出先として注目されていたのが中国だ。 アメリカとイギリスが香港で反中国運動を扇動していることは本ブログでも繰り返し書いてきたが、ここにきて力を入れているのが台湾。ここには吾爾開希など1989年に中国で展開された新自由主義派の活動家が入り込んでいる。 1989年1月、アメリカではジョージ・H・W・ブッシュが大統領に就任した。元CIA長官だが、この人物はエール大学の学生だった当時、CIAにリクルートされたと見られている。ブッシュの父親はウォール街の出身で、巨大資本の弁護士だったアレン・ダレスと親しかった人物だ。ダレスはCIAの最高権力者だった。 そのブッシュとエール大学からの友人で、やはりCIAにリクルートされたと言われているジェームズ・リリーが1989年4月に中国駐在大使に就任している。その前任者であるウィンストン・ロードもエール大学の出身で、大使を辞任した後、CIAの資金を流す役割を負っているNEDの会長に就任している。3人とも学生の秘密結社スカル・アンド・ボーンズのメンバーだったという。 リリーが大使に就任する5日前に新自由主義派の胡耀邦が死亡、それを切っ掛けにして天安門広場で大規模な抗議活動が始まる。胡耀邦と組んで新自由主義を推進していたのが趙紫陽である。活動の指揮者と見られているのはジーン・シャープ。 学生の間では新自由主義の支持者が少なくなかったようだが、労働者の間では逆。貧富の差が拡大していることへの不満が高まり、社会は不安定化していた。そこで中国政府は軌道修正を図るのだが、それに激怒したのがアメリカということだ。その年の5月に戒厳令が敷かれた。なお、天安門事件についてはすでに書いてきたので今回は割愛する。 抗議活動が沈静化した後、方励之、柴玲、吾爾開希などの指導グループはイエローバード作戦(黄雀行動)と呼ばれる逃走ルートを使い、香港とフランスを経由してアメリカへ逃れた。香港へ逃れた活動家は約400名と言われている。吾爾開希はハーバード大学で学んだ後、台湾へ渡った。この逃走ルートを運営していたのはアメリカのCIAとイギリスのMI6で、今でも機能しているという。 台湾では1月11日の総統選挙があり、ロンドン大学のロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで博士号を取得している蔡英文が再選された。東アジアでもアメリカの影響力は低下しているが、それをNATOが補充するとも言われている。勿論、日本もアメリカの手先としてカウントされているはずだ。アメリカは台湾周辺で軍事的な緊張を高めるかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020.01.18 16:15:37
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