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《櫻井ジャーナル》

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2020.03.02
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 バグダッドのアメリカ大使館から近い場所へ2機のミサイルが撃ち込まれたと伝えられている。この攻撃の背景は不明だが、イラクで反米感情が高まっていることは間違いない。イラク議会は1月5日、イラク国内に駐留している外国の軍隊は国外へ出るように求める決議を採択しているが、事実上、これはアメリカやその同盟国の軍隊に向けての要求だ。

 2006年5月から14年9月までイラクの首相を務めたノウリ・アル・マリキは遅くとも2011年の段階でジハード傭兵の動きを懸念、アメリカ政府に対してF-16戦闘機を供給するように要請し、契約している。

 しかし、2011年春からバラク・オバマ政権はムスリム同胞団を中心とするジハード傭兵を使い、中東からサハラ砂漠以北の地域で対米従属度の不十分な国に対する侵略戦争を始めていた。その方針は2010年8月にPSD-11として出されている。ムスリム同胞団以外にサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)も使われた。

 こうしたオバマ大統領の方針と相容れないマリキの要求は受け入れられず、業を煮やしたマリキ政権は2013年6月、ロシアに支援を要請して受け入れられた。数日のうちに5機のSu-25近接航空支援機がイラクへ運び込まれている。

 その間、​2012年8月にアメリカ軍の情報機関DIA(国防情報局)がホワイトハウスへ提出した報告書​の中で、シリアで政府軍と戦っている武装勢力の主力をサラフィ主義者やムスリム同胞団だと指摘している。そうした武装勢力をオバマ政権は「穏健派」だとしていたが、その主張を否定したのだ。さらに、オバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになるとも警告している。

 その警告は2014年初頭に現実化した。イラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国がサラフィ主義者によって宣言されたのだ。そこにはサダム・フセイン時代の軍人が合流しているとも言われている。

 その勢力は6月にモスルを制圧するが、その際にトヨタ製小型トラック「ハイラックス」の新車を連ねた「パレード」を行う。その様子を撮影した写真が世界に伝えられ、広く知られるようになる。ダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)の売り出しだ。

 そうしたパレードは格好の攻撃目標のはずだが、アメリカ軍は動かない。勿論、偵察衛星、無人機、通信傍受、人間による情報活動などでアメリカの軍や情報機関は武装集団の動きを熟知していたはずだ。

 この当時からイラクには反米感情が渦巻いているのだが、そうした怒りをさらに高めたのが今年(2020年)1月3日のバグダッド国際空港におけるガーセム・ソレイマーニー暗殺。この人物はイスラム革命防衛隊の特殊部隊とも言われるコッズ軍を指揮していたイランの英雄だ。アメリカ軍がUAV(無人機、ドローン)で攻撃したと言われているが、イスラエルからソレイマーニーの動きに関する情報を得ていたともされている。アメリカ軍に国外へ出て行くように求める決議をイラク議会が採択したのは暗殺の2日後だ。

 そのとき、ソレイマーニーはサウジアラビアとイランとの間で進められていた関係修復を目指す交渉のメッセンジャーを務めていた。イラクのアディル・アブドゥル-マフディ首相によると、緊張緩和に関するサウジアラビアからのメッセージに対するイランの返書を携えていたのだ。アメリカやイスラエルの意に反し、サウジアラビアはイランとの関係修復を模索している。

 強硬路線を推進してきたモハンマド・ビン・サルマンは2015年1月から国防大臣、17年6月から皇太子を務めている人物。新自由主義の信奉者で、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とも友好的な関係にある。

 しかし、ビン・サルマンの軍事強硬路線はサウジアラビアの置かれた情況を悪化させていく。イエメンへの軍事侵攻はサウジアラビアへ大きなダメージを与え、財政赤字を招いて危機的な状況だ。

 それに対し、サウジアラビアのサルマン国王は2017年10月にモスクワを訪問、ロシア製防空システムのS-400を購入したいという意向を伝え、ロシア側は受け入れる姿勢を示した。

 2019年9月14日にはサウジアラビアのアブカイクとハリスにあるアラムコの石油処理施設が攻撃され、同国の石油生産は大きなダメージを受けた。この攻撃ではUAVと巡航ミサイルが使われたようだが、アメリカの防空システムは機能していない。アメリカ軍への信頼度低下は石油施設の破壊以上に大きな問題かもしれない。

 皇太子に対する国王の信頼度は低下、イエメンでの戦争では副国防大臣で皇太子の弟でもあるハリド・ビン・サルマンがフーシ派と交渉しているとも言われている。

 泥沼化したイエメンでの戦争についてサウジアラビア国王へ報告する人はほとんどいなかったとも言われているが、例外的な人物のひとりが国王の個人的な警護の責任者だったアブドル・アジズ・アル・ファガム少将。この人物は昨年9月28日に暗殺される。アメリカはサウジアラビアの警護チームを解体し、自分たちが取って代わろうと目論んでいるとも言われた。

 アル・ファガムが殺される2日前にアメリカ軍は200名をサウジアラビアへ派遣していたが、現在では2500名から3000名ほどに増えているようだ。アメリカは力で中東の人びとを屈服させようとしているのだろうが、そうした行為は反米感情をさらに高めることになる。







最終更新日  2020.03.02 16:36:14



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