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《櫻井ジャーナル》

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2020.03.08
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 ​サウジアラビアで主要王族メンバーがモハメド・ビン・サルマン皇太子によって逮捕されたと伝えられている​。サルマン・ビン・アブドラジズ・アル・サウド(サルマン)国王の弟であるアーメド・ビン・アブドラジズ、ムハンマド・ビン・ナーイフ前皇太子、前皇太子の弟であるナワフ・ビン・ナーイフの3名だ。

 ビン・サルマン皇太子はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と近い。ネタニヤフはカジノを経営しているシェルドン・アデルソンの影響下にある。アデルソンのカジノはアメリカのラス・ベガスとペンシルベニア、東南アジアのマカオとシンガボールにあり、日本に対してカジノを作らせるように要求したことでも知られている。2016年のアメリカ大統領選挙ではドナルド・トランプに対する最大の寄付者だった。ちなみに、ビン・ナーイフ前皇太子はヒラリー・クリントンを担いでいた勢力、つまり巨大資本やネオコンを後ろ盾にしていた。

 アデルソンは単なるカジノ経営者ではなく、​2013年にはイランを核兵器で攻撃すべきだと主張​した人物。彼が主要スポンサーになっているFDD(民主義防衛財団)やEMET(ヘブライ語で「真実」を意味)は好戦的なイスラエル系団体で、その背後にはイスラエルの情報機関と緊密な関係にあるメガ・グループが存在しているとも言われている。EMETはを考えたのひとり、エドガー・ブロンフマンがジェフリー・エプスタインと関係することは本ブログでも書いた通り。

 皇太子になって以来、ビン・サルマンがサウジアラビアの政策決定で主導権を握ってきたが、いずれも失敗して国を危機に陥れている。そうした実態を国王へ知らせていた国王の個人的な警護責任者のアブドル・アジズ・アル・ファガム少将は昨年(2019年)9月28日に射殺された。その数日前に解任されていたという。サウジアラビアの軍事や治安に対するアメリカの影響力が大きくなった可能性が高い。

 イエメンのフーシ派軍がサウジアラビアの3旅団を壊滅させたと発表したのはその翌日だが、その前、9月14日には18機のUAV(無人機。ドローンとも呼ばれる)と7機の巡航ミサイルでフーシ派はサウジアラビアのアブカイクとハリスにあるアラムコの石油処理施設を攻撃、大きな損害を与えている。アメリカの防空システムが機能しなかったのだ。

 ビン・サルマン皇太子は2017年11月に王族、閣僚や元閣僚、軍人などを大量に拘束したが、その前の月に国王はロシアを訪問、防空システムS-400の購入で合意していた。国王は昨年10月にイランと緊張緩和について話し合うことをイラク首相に約束、その半月ほど後にロシアのウラジミル・プーチン大統領がサウジアラビアを訪問している。

 実際、サウジアラビアとイランとの間で緊張緩和に関する話し合いがイラクを仲介役として始まった。イラン側のメッセンジャーがイスラム革命防衛隊の特殊部隊とも言われているコッズ軍を指揮してきたガーセム・ソレイマーニー。

 イスラエルの協力を得てアメリカは今年1月3日、ソレイマーニーをイラクのバグダッド国際空港で暗殺する。イスラエルから提供されたソレイマーニーに関する情報を利用し、アメリカ軍がUAV(無人機、ドローン)で攻撃したと言われている。イラクのアディル・アブドゥル-マフディ首相によると、緊張緩和に関するサウジアラビアからのメッセージに対するイランの返書を携えていた。これはイランへの宣戦布告行為であると同時に、サウジアラビアに対する警告でもあったのだろう。

 そして2月20日にアメリカのマイク・ポンペオ国務長官はサウジアラビアの国王と皇太子に会い、2月24日にはサウジアラビア国王は宮殿へイスラエル人ラビを迎え入れた。ソレイマーニー暗殺はアメリカやイスラエルにとって中東における和平の流れを断ち切る重要な作戦だったと言えるだろう。






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最終更新日  2020.03.08 14:52:16



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