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アメリカ第7艦隊の駆逐艦バリーと巡洋艦シローが3月19日にフィリピン海でSM-2ミサイルを発射したと伝えられている。中国に対する軍事的な威嚇行為だと考えられている。 イギリスの長期戦略を継承したアメリカはユーラシア大陸の周辺地域を支配し、内陸部を締め上げて世界の覇者になろうとしていた。そのために制海権を握る必要があり、その制海権を脅かしている中国海軍をアメリカ海軍は封じ込めようと必死なわけだ。 ロシア/ソ連など内陸国は対抗上、物資や人の輸送手段として鉄道を建設してきた。19世紀の終盤から20世紀の初頭にかけてシベリア横断鉄道を建設したのもそのためだが、ウラジミル・プーチンはパイプラインの建設に力を入れている。 2011年の夏にドミトリ・メドベージェフ首相はシベリアで朝鮮の最高指導者だった金正日と会った際、110億ドル近くあったソ連時代の負債の90%を棒引きにし、鉱物資源の開発などに10億ドルを投資すると提案している。 その背景にはユーラシア大陸に鉄道網を張り巡らせ、エネルギー資源を運ぶパイプラインを建設しようという計画があった。パイプライン、鉄道、道路を朝鮮半島の南端までつなげ、そこからさらにネットワークを広げ、交易によって地域の安定を図ろうとしているのだろう。この計画に韓国は乗った。 中国は一帯一路(BRIとも表記)によって米英の包囲網を突破し、EUなどとの交易を盛んにしようとしている。この計画はすでにロシアと連携、中国とロシアとの関係を緊密化させている。中国とロシアが手を組むはずがないと信じていたネオコンにとって悪夢のような展開だ。 そうした中、西太平洋におけるアメリカ軍の影響力が低下している。それを象徴する国がフィリピンだろう。ロドリゴ・ドゥテルテ大統領はアメリカからフィリピンを自立させようとしているが、こうした動きは1991年から続いている。この年、スービック海軍基地やクラーク空軍基地からアメリカ軍は追い出されたのだ。 アメリカの支配層は1986年2月、コントロールできなくなったフェルディナンド・マルコスを国外へ連れ出し、影響下にあったコラソン・アキノを大統領に据えたが、フィリピン人のアメリカに対する反発はアメリカの思惑を狂わせたのだろう。 そうした流れを止める役割を担ったのがコラソンの息子、ベニグノ・アキノ3世。2010年6月から16年6月まで大統領を務め、母親と同じようにアメリカ支配層の代理人として働き、2012年からスービック海軍基地やクラーク空軍基地をアメリカ軍に再び使わせている。 アメリカは1998年にフィリピンへVFA(訪問軍協定)を押しつけている。両国の相互防衛条約に基づき、フィリピンに派遣されるアメリカ兵の法的な地位を定めた取り決めだ。このVFAの破棄をドゥテルテ大統領は今年2月に通告した。SM-2ミサイルの発射はアメリカから離れようとしているドゥテルテ政権に対する威嚇にもなるだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020.03.28 18:00:05
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