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ドナルド・トランプ大統領は中国を挑発、米中の関係を悪化させている。2015年頃から中国政府がアメリカとの関係を見直し、ロシアへ接近したことが理由のひとつだろうが、中国にそうした転換を強いたのはアメリカの政権転覆プロジェクト。例えば2013年から14年にかけてアメリカはウクライナでネオナチを使ったクーデターを実行し、14年から15年にかけて香港ではイギリスと「佔領行動(雨傘運動)」を仕掛けている。 ベトナム戦争やラテン・アメリカにおける侵略戦争で自分たちの正体を知られてしまったアメリカの支配層は新たなプロジェクトを始めた。ロナルド・レーガン大統領は1982年にイギリス下院の本会議で「プロジェクト・デモクラシー」という用語を口にしたが、それがそのプロジェクトだ。1983年にレーガン大統領がNSDD77に署名、正式にスタートする。国内での作戦は「プロジェクト・トゥルース」と呼ばれている。それまでもアメリカの支配層は侵略の手先を「自由の戦士」とか「民主化勢力」と呼んでいたが、プロパガンダを徹底することにしたのだ。 アメリカは他国を侵略する際、「自由」、「民主主義」、「人権」といった看板を掲げ、これらを「アメリカの価値観」と称しているが、侵略が破壊や殺戮をともなうことは言うまでもなく、真の目的は略奪にほかならない。看板に書かれているのは建前であり、行動が示しているものが本音だと言えるだろう。 アメリカにおける外交面や安全保障面の政策に大きな影響力を持っているシオニストの一派、いわゆるネオコンは1991年12月にソ連が消滅した際、アメリカは唯一の超大国になったと認識した。彼らは1992年2月に国防総省のDPG草案という形で世界制覇プランを作成する。これがいわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」だ。 他国を配慮することなく、単独で好き勝手に行動できる時代が到来したと考え、潜在的なライバルを潰し、エネルギーをはじめとする重要な資源を支配しようと考える。冷戦から熱戦への切り替えだが、その熱戦に日本も巻き込まれ、アメリカの戦争マシーンに組み込まれていく。 アメリカが単独行動主義に方針を切り替えたにもかかわらず国連中心主義を維持した細川護煕政権は潰される。細川政権が設置した諮問機関の防衛問題懇談会がまとめた「日本の安全保障と防衛力のあり方(樋口レポート)」は否定された。 樋口レポートを問題にしたのはマイケル・グリーンとパトリック・クローニン。それが1995年2月に発表されたジョセイフ・ナイ国防次官補の「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」につながる。これはウォルフォウィッツ・ドクトリンに基づいている。 1994年から95年にかけて日本では人びとを恐怖させる出来事が相次いだ。例えば1994年6月の松本サリン事件、95年3月の地下鉄サリン事件、その直後には警察庁長官だった國松孝次が狙撃されている。1995年8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われるスターズ・アンド・ストライプ紙が日本航空123便に関する記事を掲載、その中で自衛隊の責任を示唆している。 その一方、日本の支配システムを揺るがすスキャンダルも発覚した。例えば株式相場が暴落した直後、興銀と東洋信金の関係した不正取引も明らかになり、1995年の大和銀行ニューヨーク支店の巨額損失が発覚し、98年には長銀事件だ。銀行や証券の業務には大蔵省(現在の財務省)が深く関与、不正行為に官僚が無関係だとは言えないだろう。 ボリス・エリツィンが君臨していた1990年代のロシアはウォール街やシティの属国で、中国は新自由主義路線を歩んでいた。ネオコンは潜在的なライバルを弱体化させ、資源国を支配することに力を入れる。そして実行されたのがユーゴスラビアへの先制攻撃。侵略戦争とアメリカ国内の収容所化が劇的に進むのは2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されてからだ。 ところが、21世紀に入るとロシアでウラジミル・プーチンが実権を握り、エリツィン時代に築かれた西側資本の利権ネットワークが揺らぐ。ウォルフォウィッツ・ドクトリンの前提が崩れ始めたのだ。 それでもアメリカ側は自分たちはロシアや中国を圧倒していると信じていたようだが、それが幻想にすぎないことが2008年にわかる。この年の8月にジョージア軍が南オセチアを奇襲攻撃したのだが、ロシア軍の反撃で完敗したのだ。 このジョージア軍は2001年からイスラエルから軍事訓練を受け、武器/兵器を含む軍事物資を受け取り、アメリカの傭兵会社からも支援を受けていた。それでもロシア軍に勝てなかったのであり、アメリカ軍やイスラエル軍は同程度の戦力で戦うと負けることを意味する。 そこでバラク・オバマ大統領は侵略にムスリム同胞団をはじめとするジハード傭兵を使うことを決め、「アラブの春」を演出するが、これは2015年9月にロシア軍がシリア政府の要請で介入したことで破綻した。ネオコンや民主党のロシアに対する軍事的な緊張を高める戦術も成功しているとは言いがたい。 そうした中、中国で新型コロナウイルスの感染が始まったが、おそらくアメリカの支配層が想定したより早く中国では収束した。ロシアでもアメリカが期待したほど深刻化していない。アメリカは社会の収容所化を進め、人びとを監視するシステムを強化しようとしている。戒厳令的な情況とも言える。戦争の準備をしているようにも見える。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020.05.23 00:00:11
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