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《櫻井ジャーナル》

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2020.06.02
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 ニューヨークの世界貿易センターやバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された1週間後から炭疽菌の付着した手紙が送られ始めた。その宛先の中に含まれていたトム・ダシュル上院議員とパトリック・リーヒー上院議員は憲法の機能を停止させる法律の制定に反対していたことでしられている。「テロリズムの阻止と回避のために必要な適切な手段を提供することによりアメリカを統合し強化する2001年法(PATRIOT法)」、通称「愛国者法」だ。この手紙が原因で5名が死亡、約20名が病気になり、両議員は法案に反対するのをやめてしまった。

 当初、炭疽菌に汚染された手紙を送ったのは「イスラム過激派」だとされたが、メリーランド州にあるアメリカ陸軍のフォート・デトリックだということが突き止められる。生物化学兵器の研究開発で拠点になっている軍事基地だ。

 日中戦争がはじまる直前、日本は軍医学校、東京帝国大学医学部、京都帝国大学医学部などの下で病原体を兵器として使う研究が進められ、生体実験を行うための部隊が中国で編成された。敗戦時の呼び名は第731部隊。その資料や主要な研究員は戦後、フォート・デトリックへ運ばれている。

 炭疽菌のケースでFBIが容疑者として名前を挙げたのはフォート・デトリックにいたブルース・アイビンスという細菌学者だが、名前が明らかになった8日後に自殺してしまう。つまり公判で検証されることはなかった。この学者が真犯人だと思っていない人は少なくない。

 ヨーロッパでは十字軍の侵略戦争が終わってルネサンスの時代へ入る頃(1346年から53年)に黒死病が猛威を振るっている。その前世紀にモンゴルが支配地域を拡大してヨーロッパへ侵攻しているが、そのモンゴル軍はペストで死んだ遺体を武器として受かったという。砲弾に縛り付け、投石機で敵の支配地域へ撃ち込むということも行われていたようだ。一種の細菌戦だ。18世紀にはアメリカで先住のインディアンを殺すために天然痘が使われたとも言われている。病原体を兵器として使うことは珍しくない。






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最終更新日  2020.06.02 13:59:00



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