《櫻井ジャーナル》

2020/06/15(月)04:33

新型コロナウイルスの伝染で打撃を受けても求心力を維持している中国

 一帯一路とユーラシア経済連合(アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギスタン、ロシア)を連結させると中国とロシアが宣言したのは2015年のことだった。人や物資の交流を通じて世界を安定させようというプロジェクトだ。2017年頃になると、EUはもはやアメリカに頼ることはできないとアンゲラ・メルケル首相は語っている。冷戦に勝ち、自国が唯一の超大国になったと浮かれたアメリカの支配層は傲慢、強欲、凶暴という本性をあらわにしてしまい、求心力を失う一因になった。 そのメルケル首相は2019年9月6日に北京で習近平国家主席と会談、翌日には武漢を訪れた。その武漢で新型コロナウイルスの患者が発見されるのはその年の11月ないし12月だ。 一帯一路が新型コロナウイルスの問題で揺らいでいるという見方がある。経済力のない国に対して中国は融資してきたが、新型コロナウイルスの伝染拡大を防ぐという理由で採用された政策によって経済が麻痺、債務を返済できない国が出てくるだろうということだ。 中国もこの伝染病でダメージを受けたが、ほかの国々に比べると情況は悪くない。しかもアメリカに対する見方が世界的に悪化しているとも言われている。アメリカの支配者たちが新型コロナウイルスを利用して危機感を煽り、大手医薬品メーカーを儲けさせようと目論み、社会の収容所化を推進しているが、それに対する反発もあるだろう。 6月に入り、ドイツやフランスが中国との関係を維持しようとしていることを示す出来事もあった。習近平国家首席は​3日にドイツのメルケル首相と電話で会談​、​5日にはフランスのエマニュエル・マクロンとも電話で会談​している。 メルケル首相が武漢を訪れた翌月、ジョンズ・ホプキンス健康安全保障センターやビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団と一緒にイベント201を主催、コロナウイルスが全世界で流行するというシミュレーションを行った世界経済フォーラムは新型コロナウイルスの伝染を利用し、資本主義の大きなリセットが必要だと訴えた。強大な私的権力が支配する体制を築こうと考えているのだろうが、中国の求心力は衰えていない。

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