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《櫻井ジャーナル》

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2020.09.10
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 2006年に設立されたウィキリークスの中心的な存在だったジュリアン・アッサンジをアメリカへ引き渡す法的な手続きがイギリスで進められている。支配者たちにとって都合の悪い情報を公表する活動をしてきたウィキリークスの象徴的な存在であるアッサンジを厳しく罰することで内部告発を止めようとしているのだろう。

 2011年初めにアッサンジがアメリカで秘密裏に起訴されたという情報を含む民間情報会社​ストラトフォーの内部でやりとりされた電子メール​が存在するが、その電子メールが公開された後、​ケレン・ドワイアー検事補が裁判官へ書いた文書​でも確認されている。

 起訴のタイミングから支配者を怒らせた情報はイラクにおけるアメリカ軍の実態に関するもの、特に2010年4月に公開された​アメリカ軍のAH-64アパッチ・ヘリコプターによる非武装の一団に対する銃撃​だと推測する人は少なくない。2007年7月にバグダッドでの出来事だが、その銃撃でロイターの特派員2名を含む非武装の十数名が殺されている。

 ウィキリークスへこの情報を渡したのはアメリカ軍のブラドレー・マニング(現在はチェルシー・マニングと名乗っている)特技兵。2010年5月に逮捕され、軍事法廷は懲役35年を言い渡された。

 後に刑期は短縮されて2017年5月に釈放されたが
、釈放後、アッサンジへの弾圧を正当化する証言をしろというアメリカ当局からの要求を拒否したことからマニングは2019年3月から20年3月まで収監されている。アッサンジを起訴した根拠が薄弱だとアメリカの当局は自覚しているのだろう。この裁判についてカフカが書いた小説のようだ、あるいはスターリン時代の裁判のようだと言われるのはそのためだ。

 情報を有力メディアに頼る人は少なくないが、そうした情報の媒体が情報機関と緊密な関係にあることは以前から知られている。例えばワシントン・ポスト紙の記者としてウォーターゲート事件を取材したことで有名なカール・バーンスタインはリチャード・ニクソン大統領が辞任した3年後の1977年にワシントン・ポスト紙を辞め、「CIAとメディア」という記事をローリング・ストーン誌に書いている。

 その記事によると、記事が出るまでの20年間にCIAの任務を秘密裏に実行していたジャーナリストは400名以上に達し、1950年から66年にかけてニューヨーク・タイムズ紙は少なくとも10名の工作員に架空の肩書きを提供したとCIAの高官は語ったという。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977)

 また、ジャーナリストのデボラ・デイビスが書いた『キャサリン・ザ・グレート』(Deborah Davis, “Katharine the Great,” Harcourt Brace Jovanovich, 1979)もCIAによるメディア支配の一端を明らかにしている。モッキンバードという情報操作プロジェクトの名称はその中に出てくる。

 CIAの工作はアメリカ以外の国にも及ぶ。フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(FAZ)紙の編集者だった​ウド・ウルフコテ​は2014年2月、ドイツにおけるCIAとメディアとの関係をテーマにした本を出してその実態を明らかにした。

 彼によると、ドイツだけでなく多くの国のジャーナリストがCIAに買収されていて、そうした工作が危険な状況を作り出していると告発している。人びとがロシアに敵意を持つように誘導するプロパガンダを展開し、人びとをロシアとの戦争へと導き、引き返すことのできないところまで来ているとしていた。そして2017年1月、56歳のときに心臓発作で彼は死亡する。

 こうした有力メディアにとってウィキリークスは目障りな存在になっていく。偽情報で人びとを操っているアメリカやイギリスの支配者がこの団体を潰そうとするのは必然だった。「言論の自由」という看板を掲げながら、アメリカ中心の支配システムという型の中で成功しようとしている学者、編集者、記者などは触れたくない存在だろう。






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最終更新日  2020.09.10 11:00:01



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