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《櫻井ジャーナル》

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2020.09.11
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 国と国との関係を強化する上でエネルギー資源は重要ような役割を果たす。アメリカが中東から北アフリカにかけての地域を支配し、ベネズエラを再植民地化しようと必死な理由のひとつはそこにあると言えるだろう。

 ロシアもエネルギー資源を世界戦略に利用している。中国やEUへ天然ガスを輸送するためにロシアがパイプラインを建設しているのもそのためだ。ロシアとEUを結びつけるパイプラインが通っているウクライナでアメリカがネオ・ナチを使ったクーデターを2014年に実行したのもエネルギーの輸送をアメリカが管理することにあった。

 アメリカによる支配から脱するためにEUとロシアは2012年にバルト海を通るノードストリームを完成させたが、それと並行する形でノード・ストリーム2を建設中。この新パイプラインの建設をロシアやEUの会社が合意したのは、ウクライナでクーデターがあった翌年の2015年だ。

 アメリカはノード・ストリーム2の建設を止めようと必死で、建設に携わる会社は「制裁」の対象にしている。こうしたアメリカの経済戦争に対し、EU諸国は主権の侵害だと批判してきた。

 そうした中、ロシアでの支持率が2%にすぎないアレクセイ・ナワリヌイという反プーチン派の有名人が昏睡状態になる。ロシアの医師による治療で容体は安定したのだが、ナワリヌイ側はドイツへの搬送を強く要求、ドイツ軍の研究機関は証拠を示すことなく、軍事レベルの神経ガスが使われたと発表した。

 本ブログでもすでに書いたが、ナワリヌイを治療したオムスクの病院の医師によると、昏睡状態になった原因は低血糖。彼は糖尿病を患っていることから、糖尿病性ショックとも呼ばれる重度の低血糖が原因だと見るのが常識的だ。

 それに対し、ナワリヌイ側はドイツへの搬送を強く要求、ドイツ軍の研究機関は証拠を示すことなく、「ノビチョク(初心者)」なる神経ガスが使われたと発表した。2018年3月にイギリスのソールズベリーでセルゲイ・スクリパリとユリア・スクリパリの親子に対して使われたと言われたものと同じだ。

 2013年当時、ノビチョクの毒性は別の神経ガスVXの10倍だと宣伝された。VXガスの致死量は体重70キログラムの男性で10ミリグラムと言われているので、単純に考えるとノビチョクは1ミリグラム。それだけの毒性があるというにもかかわらず、親子は死亡していない。勿論、ナワリヌイも死亡していない。スクリパリ親子のケースでも目的はノードストリーム2を止めることにあったと言われていた。ちなみに、この親子は外部との接触が断たれ、現在、行方不明である。

 ノードストリーム2を完成させられない場合、EUはロシア以外からエネルギー資源を調達しなければならない。まずアメリカが想定されるのだが、シェール・ガスやシェール・オイルが中心になる。これらはコストが高い上、生産が可能な期間は長くない。アメリカがベネズエラの最植民地化に必死な理由のひとつはその辺にあるだろう。

 ベネズエラのエネルギー資源を奪うことに成功すれば、それを売ることになるのだろうが、別の生産地もある。地中海の東側、リビア、エジプト、パレスチナ(ガザ)、イスラエル、レバノン、シリア、トルコ、ギリシャを含む地域で天然ガス田が発見され、開発作業が進んでいるのだ。

 イスラエル北部で推定埋蔵量約4500億立方メートルの大規模なガス田を発見したとノーブル・エナジーが発表したのは2010年。USGS(アメリカ地質調査所)の推定によると、エジプトからギリシャにかけての海域には9兆8000億立方メートルの天然ガスと34億バーレルの原油が眠っている。ビル・クリントン元米大統領はノーブル・エナジーのロビイストだった。

 ユーラシア大陸の西側、地中海に面した地域は2010年の終わりから暴動が展開される。バラク・オバマ政権は2010年8月、ムスリム同胞団を使って中東から北アフリカにかけての地域でアメリカ支配層にとって目障りな体制を転覆させようと考え、PSD(大統領研究指針)11を承認した。その3カ月ごにはイギリスとフランスはランカスター・ハウス条約を締結した。

 その年の12月にはチュニジアで混乱が始まる。警官が街頭の物売りから手押し車を押収した後、その物売りは焼身自殺、この出来事をムスリム同胞団は職のない学生を女性の警官が平手打ちしたことが原因だと宣伝しはじめ、暴動へ発展したのだ。「アラブの春」の幕開けだ。

 その後、エジプトでホスニ・ムバラク政権に対する抗議活動が始まるが、その中心的な存在だった「4月6日運動」のリーダーは約3年前からアメリカ政府と接触していたことがわかっている。その背後にもムスリム同胞団がいた。そしてリビアやシリアへ波及するのだが、これはネオコンが1980年代に考えていた戦略に合致する。

 2001年9月にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎が攻撃された直後、アメリカの国防長官周辺ではイラク、シリア、イランのほか、レバノン、リビア、ソマリア、スーダンを攻撃予定国リストに載せた。このうちシリア、レバノン、リビアは天然ガス田と関係する。

 現在、イスラエルはガザを激しく攻撃、レバノンを破壊する工作も進めている。リビアでは内戦で破綻国家となり、エジプトはアメリカの影響下にある。シリアが攻撃されている一因もここにあるだろう。最近ではトルコとギリシャとの間で軍事的な緊張が高まっているが、それにも天然ガスの開発と輸送が関係しているはずだ。






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最終更新日  2020.09.11 00:00:08



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