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《櫻井ジャーナル》

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2020.09.16
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 ロシアの親米活動家、アレクセイ・ナワリヌイが昏睡状態になった出来事でマリーナ・ペブチフなる人物が注目されている。ナワリヌイのシベリア訪問に同行していた6名のひとりで、ロシアの警察による事情聴取要請をただひとり拒否、8月22日に出国した。彼女によると、自分は「マリーナ」ではなく「マリア」であり、マリア・ペブチフは事情聴取を求められなかったとしている。

 ペブチフはイギリスの永住権を持っているが、生まれたのはロシア。1987年のことだ。ロシアでの報道によると、ナワリヌイの活動に合流したのは2009年で、その当時、イギリスの国会議員のアシスタントをしていた。

 2010年にモスクワ・ロモノソフ大学を卒業、現在はイギリスやオーストラリアで書店チェーンを経営している。彼女は反ウラジミル・プーチンの富豪、ミハイル・ホドルコフスキーやイエブゲニー・チチバルキンと親しく、資金的な後ろ盾はしっかりしているのだろう。

 ホドルコフスキーはボリス・エリツィン時代にクレムリンの腐敗勢力と手を組んで巨万の富を手にしたオリガルヒのひとり。ジャーナリストのマイケル・グロスによると、彼はソ連時代にコムソモール(全ソ連邦レーニン共産主義青年同盟)の指導者だったが、その時にリチャード・ヒューズなる人物とロシアの「モデル」をニューヨークへ送るビジネスを始めている。

 通常ならソ連当局が認めないようなビジネスで、実際、当局は出国ビザを出し渋ったという。その問題を突破できたのはホドルコフスキーのKGB人脈だった。(Michael Gross “From Russia with Sex”, New York, August 10, 1998)ソ連はKGBの中枢を支配していた腐敗勢力とやはり腐敗していたCIA人脈によって潰されたのだが、ホドルコフスキーはその末端にいたと言えるだろう。

 ちなみに、ナワリヌイの妻の父親、ボリス・アブロシモフはロンドンにおけるロシア人の財産を管理している銀行家で、元KGB。ロシアの富豪で元KGBのアレクサンダー・レベデフの同僚だという。

 その後、ホドルコフスキーはメナテプ銀行を設立した。違法送金やマネーロンダリングが目的だったとみられている。そして1995年にエネルギー会社のユーコスを買収、中小の石油会社を呑み込んでいく。その一方で1996年にはモスクワ・タイムズやサンクトペテルブルグ・タイムズを出している会社の大株主になっている。

 21世紀に入ってウラジミル・プーチンがロシアを再独立させると、ホドルコフスキーは2002年9月にジョージ・ソロスの「オープン・ソサエティ基金」をモデルにした「オープン・ロシア基金」をアメリカで創設、ヘンリー・キッシンジャーやジェイコブ・ロスチャイルドを雇い入れている。

 ホドルコフスキーは2003年10月にノボシビルスクの空港で逮捕されるが、その当時、彼はユーコスの発行済み株式のうち25から40%をアメリカの巨大石油会社、エクソン・モービルとシェブロンへ売り渡そうとしていた。(Natylie Baldwin & Kermit Heartsong, “Ukraine,“ Next Revelation Press, 2015)

 ナワリヌイの事件にはこうした人脈がある。こうした人脈の影響下にある西側の有力メディアがプーチンを攻撃するのは当然だと言えるのだが、この事件が誰にとって利益になるかも話題になっている。ロシアでの支持率が2%に満たないナワリヌイに毒を盛る必然性がプーチン政権にないからだ。

 この事件後、アメリカ政府はロシアからEUへ天然ガスを運ぶパイプライン、ノードストリーム2の建設を中止するように要求している。このパイプラインはロシアとEUを結びつけることになり、EUの自立を嫌うアメリカやイギリスの支配層は建設を止めようと必死だ。この建設において、EU側で中心的な役割を果たしてきたのがドイツ。そのドイツへナワリヌイへ運び込んだ意味は大きい。

 そもそも毒を盛られたという主張の根拠は示されていない。ドイツ軍の研究機関がそう主張し、同国の病院も同じことを言い始めただけである。

 西側は「ノビチョク(初心者)」なる神経ガスが使われたと主張している。その毒性は別の神経ガスVXの10倍だと宣伝されているが、そのVXガスの致死量は体重70キログラムの男性で10ミリグラム。ノビチョクは1ミリグラムということになる。「すごい」と思わせる数字だが、ナワリヌイは死ななかった。

 ノビチョクという名前が広く知られるようになったのは2018年のことだろう。この年の3月、イギリスのソールズベリーでセルゲイ・スクリパリとユリア・スクリパリの親子に使われたと西側の政府や有力メディアは宣伝したのだが、この時も証拠は示されず、この親子は死ななかった。

 ナワリヌイが昏睡状態になった直後に航空機は緊急着陸、オムスクの病院で治療を受けている。その病院の医師によると、昏睡状態になった原因は低血糖。彼は糖尿病を患っていることから、素直に考えれば糖尿病性ショックとも呼ばれる重度の低血糖が原因だ。






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最終更新日  2020.09.17 00:25:54



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