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《櫻井ジャーナル》

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2020.10.14
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 シリアに対する侵略戦争をアメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟のほか、イギリスとフランスのサイクス・ピコ協定コンビ、パイプライン建設を目指していたカタール、オスマン帝国の復活を夢想するトルコなどが始めたのは2011年3月のことだった。

 この戦争について、メルキト・ギリシャ典礼カトリック教会の聖職者は2012年6月の段階で「​もし、全ての人が真実を語るならば、シリアの平和は守られる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実からほど遠い。​」と指摘、シリア政府軍が戦っている相手が外国からやってきた戦闘員だということも報告していた。この報告の中でシリアにおける戦争の本質は明らかにされている。

 シリアより1カ月早く侵略戦争が始まったリビアでは、地上で戦うアル・カイダ系武装集団と空爆を行うNATO軍の連携が機能し、2011年10月にムアンマル・アル・カダフィ体制は倒され、カダフィは惨殺された。そして戦闘員や兵器/武器はリビアからシリアへ運ばれ、2012年からシリアで大攻勢が予定されていたようだ。

 シリアのバシャール・アル・アサド政権を倒すため、リビアと同じようにNATO軍、あるいはアメリカ主導軍を介入する環境作りも始められた。侵略勢力は配下の有力メディアなどを使い、「独裁者と民主化勢力との戦い」や「シリア政府軍の残虐行為」といった物語を広めようとしたのだ。オーストリアのメディアは写真を改竄し、背景を普通の街中でなく廃墟に変えて掲載するということも行った。こうした嘘をメルキト・ギリシャ典礼カトリック教会の司祭は批判したのだ。

 真実を語らず、侵略を正当化する宣伝を繰り返してきたのは侵略国の政府や有力メディアだが、その中にはイギリスの外務英連邦省が含まれている。そこのコンピュータがハッキングされ、​プロパガンダ作戦の実態を明らかにする資料​が奪われ、その一部が公表された。そうしたプロパガンダ作戦が存在することは知られている話だが、内部資料が出てきたことは重要だ。

 リビアのカダフィ体制が崩壊した後、シリアの政府軍と戦う傭兵部隊への支援をアメリカ政府は強化するが、リビアでの戦闘で地上軍の主力がアル・カイダ系のLIFGだということが判明している。

 そこでバラク・オバマ大統領は穏健派を支援しているのだと強弁、外務英連邦省も同じことを主張しているのだが、これは​2012年8月にアメリカ軍の情報機関DIAが否定​したもの。

 その報告書の中で、反シリア政府軍の主力はサラフィ主義者やムスリム同胞団だと指摘され、アル・カイダ系武装集団のAQI(アル・ヌスラと実態は同じだとしている)の名前も出している。オバマ大統領が言うところの「穏健派」とは、一般的に「過激派」と見なされているグループだとしているのだ。

 それだけでなく、オバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになると警告していたが、これは2014年にダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)という形で現実になった。

 その年の1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国が宣言され、6月にはモスルが制圧された。その際にトヨタ製小型トラック、ハイラックスの新車を連ねたパレードを行い、その様子を撮影した写真が世界に伝えられたのだが、こうした戦闘集団の動きをアメリカの軍や情報機関は偵察衛星、無人機、通信傍受、人間による情報活動などで知っていたはず。そうしたパレードは格好の攻撃目標だが、アメリカ軍は動かなかった。2012年7月からDIA局長を務めていたマイケル・フリン中将はダーイッシュが売り出された直後、2014年8月に退役させられてしまう。

 シリアの反政府軍への支援を強化しはじめたオバマ大統領は、シリアに対する直接的な直接的な軍事介入のレッド・ラインは生物化学兵器の使用だと宣言した。その年の12月になると国務長官だったヒラリー・クリントンはシリアのバシャール・アル・アサド大統領が化学兵器を使うかもしれないと語り、13年1月29日付けのデイリー・メール紙には、オバマ政権がシリアで化学兵器を使ってその責任をアサド政権に押しつける作戦を大統領が許可したという記述がイギリスの軍事関連企業ブリタム防衛の社内電子メールの中にあるとする記事を載せた。(同紙のサイトからこの記事はすぐに削除された。)

 しかし、すでにシリア政府はロシア政府のアドバイスに従い、化学兵器を全て廃棄していた。これはアメリカ政府も否定できないため、一部が隠されたと主張せざるをえなくなる。勿論、その主張を裏づける証拠はない。イラクの「大量破壊兵器」の話と同じだ。

 その後、アメリカやイギリスをはじめとする西側の政府や有力メディアは化学兵器話を繰り返すが、そのたびに嘘が露見している。何度でも嘘が繰り返されるわけだ。

 そうした嘘を広める上で重要な役割を果たしていたのが「シリア市民防衛(SCD、通称「白いヘルメット」)」。ジェームズ・ル・ムズリエなる人物が2013年3月にトルコで編成、メンバーを訓練していた。

 この団体の活動目的は医療行為だとされたが、公開された映像からそのメンバーは医療行為の訓練を受けていないと指摘する人もいる。しかもSCDのメンバーがアル・カイダ系武装集団と重複していることを示す動画や写真も存在、アル・カイダ系武装集団が撤退した後の建造物ではSCDと隣り合わせで活動していたことを示す証拠などがバネッサ・ビーリーやエバ・バートレットらのジャーナリストによって確認された。

 SCDの設立資金30万ドルはイギリス、アメリカ、そして日本が提供、さらに西側のNGOやカタールを経由してアメリカ政府とイギリス政府から1億2300万ドルが渡ったとされている。

 ル・ムズリエはイギリス軍の元軍人とされているが、イギリスの対外情報機関MI6のオフィサーだと言われている。2000年に軍を退役した後にオリーブ・グループという傭兵組織の特別プロジェクトの幹部になった。この組織は後にアカデミ(ブラックウォーターとして創設、Xeに改名され、現在に至る)に吸収されている。

 2008年に彼はオリーブ・グループを離れてグッド・ハーバー・コンサルティングへ入り、アブダビを拠点として活動し始めるのだが、この段階でもイギリス軍の情報機関と緊密な関係を維持していた。

 勿論、アメリカやイギリスが新たな化学兵器話を宣伝し始めても不思議ではない。






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最終更新日  2020.10.14 16:00:15



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