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《櫻井ジャーナル》

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2021.02.01
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 ​​ジョー・バイデン政権は「対アジア政策」、事実上の対中国政策の責任者としてカート・キャンベルを選んだ​という。バラク・オバマ政権でもヒラリー・クリントン国務長官の下、国務次官補として同じ役割を果たしていた。日本にとっても重要な意味を持つ人選だ。

 ソ連が1991年12月に消滅した後、アメリカの支配者は自国が「唯一の超大国」になったと考え、世界は自分たちの考えだけで動かせる時代に入ったと考えるようになる。当時のアメリカ大統領はジョージ・H・W・ブッシュ、国防長官はリチャード・チェイニー。そのしたで世界支配プランを国防総省のDPG(国防計画指針)草案という形で作成された。国防次官だったポール・ウォルフォウィッツが中心になって作成されたことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。

 潜在的なライバルを潰し、力の源泉でもあるエネルギー資源を支配することが目的で、その目的を達成するために単独で行動するとされた。国連は無視されることになる。

 ところが、日本の細川護熙政権は国連中心主義から離れない。そこでマイケル・グリーンとパトリック・クローニンはカート・キャンベルを説得して国防次官補だったジョセイフ・ナイに接触、ナイは1995年2月に「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表した。そこには在日米軍基地の機能を強化、その使用制限の緩和/撤廃が謳われていた。

 このレポートを日本に実行させるためのショックが1994年から95年にかけて続く。例えば1994年6月の松本サリン事件、95年3月の地下鉄サリン事件、その直後には警察庁長官だった國松孝次が狙撃された。8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われるスターズ・アンド・ストライプ紙が日本航空123便に関する記事を掲載、その中で自衛隊の責任を示唆している。

 1995年には日本の金融界に激震が走っている。大和銀行ニューヨーク支店で巨額損失が発覚、98年には長銀事件と続き、証券界のスキャンダルも表面化した。証券界は日本経済の資金を回すモーター的な役割を果たしていた。つまり証券界のスキャンダルの背後には大蔵省(現在の財務省)が存在していた。大蔵省を中心とする日本の経済が揺さぶられたとも言えるだろう。

 1997年には「日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)」が作成され、「日本周辺地域における事態」で補給、輸送、警備、あるいは民間空港や港湾の米軍使用などを日本は担うことになる。「周辺事態法」が成立した1999年にはNATOがユーゴスラビアを先制攻撃した。

 2000年にはナイとリチャード・アーミテージのグループによって「米国と日本-成熟したパートナーシップに向けて(通称、アーミテージ報告)」も作成されがた、この報告では武力行使を伴った軍事的支援が求められ、「日本が集団的自衛権を禁じていることが両国の同盟協力を制約している」と主張、「この禁止を解除すれば、より緊密かつ効果的な安保協力が見込まれる」としている。

 この年にはネオコン系シンクタンクのPNACがDPGの草案をベースにして「米国防の再構築」という報告書を発表、その中で劇的な変化を迅速に実現するためには「新パール・ハーバー」が必要だと主張している。その翌年の9月11日にニューヨークの世界貿易センターとワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃され、これを利用してアメリカの好戦派は国内で憲法の機能を停止させ、国外では軍事侵略を本格化させた。

 日本では2002年に小泉純一郎政権が「武力攻撃事態法案」を国会に提出、03年にはイラク特別措置法案が国会に提出され、04年にアーミテージは自民党の中川秀直らに対して「憲法9条は日米同盟関係の妨げの一つになっている」と言明する。

 2005年には「日米同盟:未来のための変革と再編」が署名されて対象は世界へ拡大、安保条約で言及されていた「国際連合憲章の目的及び原則に対する信念」は放棄された。そして2012年にアーミテージとナイが「日米同盟:アジア安定の定着」を発表している。

 こうした出来事を経て日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれていくが、その流れの前に立ち塞がったのが鳩山由紀夫だった。2009年9月に総理大臣となった鳩山は東シナ海を「友愛の海」と呼んだが、これをアメリカの支配者は許さない。宮古島を含む先島諸島がある東シナ海、その西側にある南シナ海はアメリカの私的権力にとって対中国戦争の最前線なのである。

 2009年11月には鳩山と近かった小沢一郎の資金管理団体である陸山会を舞台としたスキャンダル話が浮上する。陸山会の2004年における土地購入に関し、政治収支報告書に虚偽記載していると「市民団体」が小沢の秘書3名を告発、翌年の1月に秘書は逮捕されている。また「別の市民団体」が小沢本人を政治資金規正法違反容疑で告発、2月には秘書3人が起訴された。

 裁判の過程で検察が「事実に反する内容の捜査報告書を作成」するなど不適切な取り調べを行ったことが判明、この告発は事実上の冤罪だということが明確になっているが、小沢潰しは成功。そして鳩山は2010年6月に総理大事の座から引きずり下ろされた。

 鳩山の後任になった菅直人は国民の声を無視、消費税の増税と法人税の減税という巨大企業を優遇する新自由主義的政策を打ち出すが、中国との関係を悪化させることもしている。

 菅が首相に就任してから3カ月後に海上保安庁が尖閣諸島の付近で操業していた中国の漁船を「日中漁業協定」を無視する形で取り締まり、日本と中国との友好関係を破壊する動きが本格化。その協定を無視した取り締まりの責任者が前原誠司だ。次の野田佳彦政権も民意を無視する政策を推進したうえで「自爆解散」、2012年12月の安倍晋三政権の誕生につながる。

 安倍もネオコンとの関係が深く、ハドソン研究所の上級副所長を務めるI・ルイス・リビー、通称スクーター・リビーとも親しいようだ。リビーはエール大学出身だが、そこでポール・ウォルフォウィッツの教えを受けている。ウォルフォウィッツ・ドクトリンを作成した際の中心人物だ。リビーの下にいるのがマイケル・グリーンやパトリック・クローニンである。

 日本が「ファイブ・アイズ」と協力関係を結びことを望んでいると語り、COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動でも「新型コロナウイルス感染症ワクチン接種推進担当大臣」として「活躍」している河野太郎は防衛大臣時代、日本が「ファイブ・アイズ」と協力関係を結びことを望んでいると語っている。

 アメリカとイギリスを中心とするアングロ・サクソン系の電子情報機関の連合体UKUSAに加わりたいということにほかならないが、この連合体はアメリカとイギリスの命令で動き、各国の情報機関はそれぞれの政府を監視する役割も負っている。

 昨年9月に​河野はCSIS(戦略国際問題研究所)のオンライン・イベントにマイケル・グリーンと共に参加​した。現在、CSISはネオコンの巣窟になっているようだが、元々は1962年にジョージタウン大学の付属機関として設立されている。創設にはレイ・クラインというCIAの幹部が関係、その事実が発覚したことから1987年に大学と研究所との関係は解消されたことになっている。

 バイデンもシリコンバレーの巨大企業や金融資本を後ろ盾にしているが、戦争ビジネスやネオコンと関係の深いCSIS(戦略国際問題研究所)やCNAS(新しいアメリカの安全保障センター)といったシンクタンクとの関係も深い。キャンベルはCNASの共同創設者のひとりだ。

 ​政権のメンバーをみると​、国防長官にはミサイルで有名なレイセオンの重役だった元米中央軍司令官のロイド・オースチン、情報長官に指名されたアブリル・ヘインズはバラク・オバマ政権でCIA副長官や国家安全保障副補佐官を務めた人物。国務長官にはCSISのシニア・フェローだったアントニー・ブリンケン、オバマ政権で国務次官だったウェンディー・シャーマンが同省の副長官、ビクトリア・ヌランドが次官になる予定だ。

 シャーマンが上級顧問を務めるオルブライト・ストーンブリッジ・グループはマデリーン・オルブライトが率いるビジネス戦略を提供する会社で、ヌランドも籍を置いていた。オルブライトの好戦性はビル・クリントン政権で明白になり、ヌランドはウクライナでオバマ政権が実行したクーデターを現場で指揮していた。USAID(米国国際開発庁)の長官に指名されたサマンサ・パワーも好戦的な人物。USAIDはCIAの活動資金を流すことが重要な役割になっていることは広く知られている。

 明治維新で実権を握った日本の勢力は基本的にアングロ・サクソンの大陸侵略に加わることで蓄財、地位を維持してきた。それが天皇制官僚システムだ。侵略を正当化するため、日本では「反東アジア教育」や「反東アジア報道」が徹底されてきたが、「反東アジア」的な言動は危機のバロメーターでもある。




ハルフォード・マッキンダー、1904年







最終更新日  2021.02.01 00:31:51



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