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《櫻井ジャーナル》

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2021.06.24
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 ​アメリカ司法省は6月22日、イランの国営「プレスTV」を含む複数のニュース・チャンネルのドメインを「没収」したと発表​、インターネットが言論の舞台としていかに脆弱かを明らかにしている。ツイッター、ユーチューブ、フェイスブックといったシリコンバレーの巨大企業による「私的検閲」が強化されてきたが、今回は司法省という公的な機関が登場してきた。











 1970年代に始まった「民営化」や「規制緩和」で欧米の私的権力の影響力は飛躍的に強まり、すでに国を上回る力を獲得ている。政府機関や国際機関を使った間接統治から直接統治へ移行しようとしている。そうした動きのひとつがTPP(環太平洋連携協定)、TTIP(環大西洋貿易投資協定)、TiSA(新サービス貿易協定)だと言えるだろう。

 これらに含まれているISDS(投資家対国家紛争解決)条項によってアメリカを拠点とする巨大資本が世界を直接統治できるようになり、そうした巨大企業のカネ儲けを阻むような法律や規制は賠償の対象になるはずだった。健康、労働、環境など人びとの健康や生活を国が守ることはできなくなってしまう。

 こうした協定への反発は強く、挫折したように見えたが、ここにきて復活しつつある。クラウス・シュワブが創設したWEF(世界経済フォーラム)は昨年6月、COVID-19(新型コロナウイルス)のパンデミック騒動を利用し「​資本主義の大々的なリセット​」を実行すると宣言したのだ。

 WEFの役員にはブラックロックのラリー・フィンクも含まれている。ブラックロックは資産運用会社だが、「闇の銀行」とも呼ばれている。バンガード、ステート・ストリートなどと同じように、銀行のような規制は受けない金融会社で、1970年代から始まった金融規制の大幅な緩和によって誕生した。

 この3社が大株主になっている会社はアメリカの主要500社の9割近くにおよび、つまり巨大医薬品メーカー、シリコンバレーのハイテク企業、あるいは有力メディアを支配している。COVID-19への恐怖を煽って「ワクチン」の接種を推進、「ワクチン」接種を利用して「デジタル・パスポート」を携帯しなければならない世界を築こうとしている。「闇の銀行」の大株主にはエドモンド・ド・ロスチャイルド・ホルディングやロスチャイルド・インベストメントが含まれている。

 ​シュワブは2016年1月、スイスのテレビ番組でマイクロチップを服に取り付け、さらに皮膚や脳へ埋め込み、最終的にはコンピュータ・システムと人間を融合するという話をしている​が、これは彼だけの「妄想」ではない。

 そして昨年12月8日、「包括的資本主義会議」の設立が明らかにされた。その看板になっている人物がリン・フォレスター・ド・ロスチャイルド。ロンドンを拠点とするNMロスチャイルド銀行の取り仕切ってきたエベリン・ド・ロスチャイルドの3番目の妻だ。ふたりは1998年のビルダーバーグ・グループの会議でヘンリー・キッシンジャーに紹介されて知り合い、2000年に結婚、新婚旅行の際にクリントン夫妻からホワイトハウスへ招待されている。

 ふらりが結婚する前、1991年にリン・フォレスターはマンハッタンに持っていた部屋をギスレイン・マクスウェルに使わせていた。ギスレインの父親はミラー・グループを率いていたロバート・マクスウェル。ロバートは1991年11月、カナリア諸島の近くでヨットの上からいなくなり、後に死体となって発見された。リン・フォレスターはエベリンと知り合う前、エプスタインのプライベート・ジェットに乗った記録が残っている。

 ギスレインと非常に親しい関係にあったジェフリー・エプスタインは未成年の少女らを世界の有力者へ提供、その一方で行為を秘密裏に撮影して恐喝の材料に使っていたとされている。マクスウェル親子やエプスタインはイスラエル軍の情報機関(アマン)の仕事をしていたという。(Zev Shalev, “Blackmailing America,” Narativ, Septemner 26, 2019)

 1974年から77年にかけてイスラエル軍の情報機関ERD(対外関係局)に所属、87年から89年にかけてはイツァク・シャミール首相の特別情報顧問を務めたアリ・ベンメナシェによると、彼は1980年頃に秘密工作でロバート・マクスウェルと知り合い、そのマクスウェルからエプスタインを紹介されたという。マクスウェルはエプスタインをイランとの武器取引に加えようとしていたようだ。

 ギスレインとエプスタインは1990年代に知り合ったとされているが、ベンメナシェによると、このふたりも1980年代に親しくなっている。ニューヨーク・ポスト紙の元発行人、スティーブン・ホッフェンバーグによると、ふたりはあるパーティで知り合ったという。

 エプスタインは大学をドロップアウトした後、1973年から75年にかけてマンハッタンのドルトンスクールで数学と物理を教えていたが、76年には教え子の父親の紹介で投資銀行のベア・スターンズへ転職、その時の顧客の中にエドガー・ブロンフマンがいたという。

 エドガーの父、サミュエル・ブロンフマンは禁酒法時代に密造酒で大儲けしたひとりで、密造酒仲間のルイス・ローゼンスティールやジョセフ・マッカーシー上院議員の顧問だったロイ・コーンと同じように、有力者のスキャンダルをつかみ、脅してコントロールしていたと言われている。エプスタインと似たようなことをしていたわけだ。エドガーの弟、チャールズが1991年に創設したメガ・グループはイスラエルの情報活動を統括しているという。エドガーもそのグループのメンバーだ。

 大学をドロップアウトした若者を教師として雇い入れたのは、ドルトンスクールの校長をしていたドナルド・バー。ウィリアム・バー司法長官の父親だ。ウィリアムはCIA出身でCIA時代にはジョージ・H・W・ブッシュの部下だった。またドナルドはCIAの前身であるOSSに所属していた。

 少なくとも日欧米では私的権力が国を凌駕する力を持っている。そうした私的権力が政府を凌駕する権力を握っている状態をフランクリン・ルーズベルトはファシズムと定義した。1938年のことだ。ファシズムの創始者とも言えるベニト・ムッソリーニが1933年に書いた「資本主義と企業国家」によると、巨大資本の支配するシステムが「企業主義」で、それは資本主義や社会主義を上回るものだとしている。これが彼の考えたファシズムである。

 そのファシズム体制の支配者が「民主主義」の名の下、言論統制を強めている。







最終更新日  2021.06.24 00:00:09



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