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《櫻井ジャーナル》

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2021.12.26
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 ロシア領内のウクライナに近い地域に7万人から9万人のロシア軍が集結していると​アメリカの有力メディアは騒ぎ、ロシアがウクライナを侵略するとも叫んでいる​。ここにきてクリスマスの時期に攻撃するかもしれないという「警告」もあった。恫喝に失敗したアメリカはその事実を隠そうとしているのかもしれない。

 西側の有力メディアを信奉している人びとは「大変だ」と思うのかもしれないが、問題にされた地域には以前から同じ程度のロシア軍が存在している。ウクライナからモスクワまで500キロメートル程度しかないのだ。

 そもそも、10万人未満の戦力でウクライナへ攻め込むことはできない。例えば、アメリカ主導軍が2003年にイラクを先制攻撃した際に投入された戦力は約31万人。そのうちアメリカ軍が19万2000人、イギリス軍は4万5000人、オーストラリア軍が2000人、ポーランド軍が194人、イスラエルと関係が深いクルドの戦闘員が7万人だ。兵器の能力で圧倒していてもこの程度の戦力は必要だったと言えるが、占領するためには全く足りなかった。

 また、ロシアの国防大臣はアメリカ/NATO軍がロシアトの国境沿いに4万人の部隊を配置していると指摘、それに対抗してロシア軍は2方面軍と3空挺師団を西側の国境近くへ移動させたと説明。またロシアの黒海艦隊に所属する艦船20隻以上が空軍や防空軍と共同で軍事演習を実施している。

 ウクライナ情勢が原因でロシアとアメリカの間で軍事的な緊張が高くなっているが、そうした情勢を作り出して原因はバラク・オバマ政権が2014年2月にクーデターを成功させたことにある。その際、アメリカ政府が戦闘員として使ったのがネオ・ナチ。この勢力は今でも力を持っている。

 クーデターの最中、ヤヌコビッチを支持するクリミアの住民がバスでキエフに入っているが、ネオ・ナチによって状況が悪化している様子を目撃し、クリミアへ戻ろうとする。そのときにクリミアの住民を乗せたバスが襲撃され、バスが止まると乗客は引きずり出され、棍棒やシャベルで殴られ、ガソリンをかけられて火をつけると脅されている。

 こうした話は当然、クリミアの人びとへ伝えられ、クーデターに反対する声が高まる。3月16日には住民投票が実施され、95%以上がロシアへの加盟に賛成した。そのときの投票率は80%を超えている。住民はアメリカを後ろ盾とするクーデター政権を拒否したわけだが、アメリカは民意を認めていない。そこにはアメリカがどうしても占領したい場所があるからだ。

 クリミアのセバストポリはロシア海軍の黒海艦隊が拠点としている。ロシアとウクライナは1997年に分割協定を結び、ロシア軍は基地の使用と2万5000名までの兵士駐留が認められていた。クーデター当時、この条約に基づいて1万6000名のロシア軍が実際に駐留していたが、西側の政府やメディアはこの部隊をロシア軍が侵略した証拠だと宣伝していた。

 南部だけでなく東部もクーデターに反対する人が多かったが、クリミアより動きが遅れてしまう。南部のオデッサでは住民がネオ・ナチに虐殺され、東部のドンバス(ドネツクやルガンスク)では今も戦闘が終結していない。このドンバスをめぐり、ロシアとアメリカはつばぜり合いを演じている。

 オバマ政権で副大統領を務めたジョー・バイデンは今年からアメリカの大統領を務めている。そのバイデン政権が始まって間もない3月10日にNATO加盟国の軍艦がオデッサへ入港、同じ頃にキエフ政府は大規模なウクライナ軍の部隊をウクライナ東部のドンバス(ドネツクやルガンスク)やクリミアの近くへ移動させてロシアを挑発した。

 3月14日には少なくとも2機のC-17A輸送機がトルコからウクライナへ空輸、トルコ軍兵士150名もウクライナへ入る。4月10日にウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はトルコを訪れてレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と会談、その直後にトルコの情報機関は「ジハード傭兵」を集め始めている。

 4月に入るとアメリカ空軍は1週間の間に少なくとも3度、物資を空輸していると伝えられた。4月5日にはウクライナのゼレンスキー大統領はカタールを訪問、そのカタールの空軍は5機の輸送機を使い、トルコを経由でウクライナへ物資を運んでいるという。

 4月6日と7日にはNATO軍事委員会委員長のスチュアート・ピーチ英空軍大将がウクライナを訪問、9日にアメリカは「モントルー条約」に従い、トルコ政府へ自国の軍艦2隻が4月14日か15日に地中海から黒海へ入り、5月4日か5日まで留まるとると通告した。

 その前にアメリカの軍艦2隻が4月14日か15日に地中海から黒海へ入り、5月4日か5日まで留まると通告されていたが、ロシアの反発が強いため、米艦船の黒海入りはキャンセル。

 その間、​4月28日にはガリツィア出身者で編成されたナチ親衛隊、第14SS武装擲弾兵師団を称える行進があった​。参加者や約250名だったという。参加者が多いとは言えないが、ナチ親衛隊を称える行為が受け入れられているということは無視できないだろう。そうした中、ウクライナの国防大臣が辞意を表明し、その一方でネオ・ナチ「右派セクター」を率いるドミトロ・ヤロシュが参謀長の顧問に就任したと伝えられている。

 バイデン政権はロシアを経済的、そして軍事的に恫喝してきた。今年12月に入るとアメリカの偵察機が黒海の上空を何度も飛行、民間航空機の飛行ルートを横切るなど脅しを繰り返し、ウクライナ軍はアメリカ製の兵器を誇示してロシアを挑発している。その前にはアントニー・ブリンケン国務長官がロシアを恫喝、ロード・オースチン国防長官はウクライナを訪問していた。

 一方、ウクライナの現政権は部隊をドンバスの近くへ移動させて軍事的な圧力を強めている。ゼレンスキー大統領は外国の軍隊が領土内に駐留することを議会に認めさせ、キエフ政権側で戦う外国人戦闘員にウクライナの市民権を与えることも議会は認めた。脅しのつもりだろう。

 アメリカやその配下にあるキエフ政権は「脅せば屈する」と今でも考えているようだが、屈する様子は見られない。ウラジミル・プーチン露大統領はNATOが東へ勢力をこれ以上拡大させることを容認できないと発言、この件で譲歩しないことを明確にしている。何らかの軍事的な敵対行為があれば、それに応じて報復するという姿勢だ。ロシアには自国を守る権利があるとプーチンは釘を刺している。1月に予定されているロシアとアメリカの首脳会談について、ロシア政府はNATOが安全保障上の保証をロシア側へ提出することが先だという姿勢だ。

 しかし、アメリカやイギリスを支配している私的権力が世界制覇の野望を捨てるとは思えない。しかも、彼らには時間稼ぎする余裕もなくなりつつある。






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最終更新日  2021.12.26 12:49:27



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