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《櫻井ジャーナル》

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2022.03.06
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 ウクライナでロシア軍と戦っているのはネオ・ナチ(ステファン・バンデラの信奉者)を主体とする親衛隊だと言われている。ウクライナの安全保障会議から漏れたと言われている文書によると、ウクライナ側の軍事力は75%が破壊されている。東部地域で親衛隊が支配できている場所はマリウポリだけだ。

 マリウポリからザポリージャをつなぐ市民の脱出ルートをロシア軍は設定、そのプランをICRC(赤十字国際委員会)へ通知。3月5日午前11時から脱出が始まる予定だったが、ウクライナ兵に阻止され、脱出は困難になったようだ。マリウポリにいるキエフ側の兵士は親衛隊員の可能性が高い。

 ウクライナの現体制は2014年2月のネオ・ナチによるクーデターから始まるが、クーデター軍は5月9日にマリウポリへ戦車部隊を突入させ、銃撃で住民を死傷させた。その際、住民が逃げずに集まり、兵士に抗議している。その様子は携帯電話で撮影され、世界に発信された。クーデターで排除されたビクトル・ヤヌコビッチ大統領が支持基盤にしていた東部と南部では住民の多くがクーデターに反対していた。

 ​そして現在。OHCHR(国連人権高等弁務官事務所)によると、2月24日から3月3日の深夜12時までの間に殺されたと確認された市民は331名​。ドンバスに限ると77名だという。ロシア軍は軍事施設を集中的に攻撃しているとされているので、マリウポリから市民が脱出することを親衛隊は恐れているだろう。





 日欧米の政府やメディアはロシア軍の攻撃を非難しているが、アメリカ主導で2003年3月に開始したイラクへの先制攻撃では違う光景が見られた。イギリスの医学雑誌、ランセットに発表されたジョンズ・ホプキンズ大学とアル・ムスタンシリヤ大学の共同研究によると、開戦から2006年7月までに65万4965名以上のイラク人が死亡、そのうち60万1027名は暴力行為(要するに戦闘)が原因だとしている。またイギリスのORB(オピニオン・リサーチ・ビジネス)は2007年夏までに約100万人が殺されたという調査結果を公表している。アメリカが制裁されたという話は聞かない。

 ウクライナからポーランドへ多くの人が脱出しているが、快く受け入れられているのは、西側メディアの表現を借りると、「目が青く、ブロンドのキリスト教徒」だ。​同じように脱出しようとしたインド人学生の場合、国境でウクライナの兵士や警官に阻止され、棍棒などで殴打されている​。「目が青く、ブロンドのキリスト教徒」でない人びとが置かれた立場はインド人学生と似ている。

 アメリカはヤヌコビッチを2度、大統領の座から引きずり降ろしている。2004年から05年にかけての「オレンジ革命」と2014年のクーデターだ。これは東部や南部の人びとの意思を踏みにじる行為でもある。

 歴史的な背景から東部や南部にはロシア語を話す人が多く、ロシアに親近感を持つ人が少なくない。巨大金融資本をはじめとするアメリカやイギリスの支配層はそれが許せなかった。そして2014年にはネオ・ナチが使われたのである。

 クーデター体制はネオ・ナチの影響力が強くなり、政治経済は破綻した。ロシアとの関係修復を訴えていたボロディミル・ゼレンスキーが2019年の3月から4月にかけて実施された大統領選挙で勝利した理由はそこにあるのだが、ゼレンスキーにはアメリカ/NATOやその手先であるネオ・ナチの圧力を跳ね除ける力はなかった。







最終更新日  2022.03.06 22:03:07



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