2022/07/26(火)00:10
東京琉球館において「求心力を失ったアメリカ」というテーマで話します
東京琉球館で8月19日午後6時から「求心力を失ったアメリカ」というテーマで話します。予約制とのことですので興味のある方は8月1日午前9時以降、下記まで連絡してください。東京琉球館住所:東京都豊島区駒込2-17-8電話:03-5974-1333https://dotouch.cocolog-nifty.com/ アメリカやイギリスの命令でウォロディミル・ゼレンスキー政権はロシア軍との戦いを続けています。ドイツの情報機関「BND(連邦情報局)」は8月にロシア軍はドンバス全域を制圧できると分析していました。アメリカ/NATOは高性能兵器を供給、ロシアやドンバス側の損害を少しでも大きくしようとしていますが、難しいでしょう。状況を見ながら、そうしたことについて考えてみたいと思います。 明治維新以降、日本はイギリスとアメリカを拠点とする巨大金融資本の強い影響下にあります。その金融資本が日本を支配する仕組みが天皇制官僚体制で、この構造は第2次世界大戦の前も後も基本的に変化していません。加藤周一の表現を借りるならば、「政策の民主化、または自由主義的な妥協」にすぎませんでしたが、そうした時代は過ぎ去り、最近の政策は民主的でも自由主義的でもありません。 第2次世界大戦後、世界で支配的な立場にあった国は戦争による痛手をほとんど受けず、略奪した財宝を手にしたアメリカに他なりません。ソ連がライバルとして存在していましたが、ドイツとの戦争で大きな痛手を負ったソ連にはアメリカほどの力はありませんでした。 そのアメリカですが、1960年代までに製造業は衰退し、70年代からは金融マジックで生きながらえることになります。その金融マジックを可能にしたのはアメリカが発行するドルを世界が基軸通貨として認めていたからですが、発行したドルを回収させる仕組みが機能しなくなり、その仕組みが揺らいでいます。 ドルを回収させる仕組みのひとつは石油取引の決済をドルに限定することにありました。その仕組みの中心がサウジアラビアだったのですが、そのサウジアラビアがアメリカ離れをしはじめ、ロシアやイランへ接近しています。もうひとつの回収の仕組みは投機市場ですが、この仕組みは2008年までに不安定化しはじめました。基軸通貨ドルを中心とする支配システムが限界に達したのです。 2013年7月から20年3月までイングランド銀行の総裁を務めたマーク・カーニーもドル体制は終わると考え、各中央銀行が管理するデジタル通貨のネットワークを作ろうというプランを持っています。 すでにアメリカでは1991年12月にソ連が消滅してから世界制覇プロジェクトを始動させました。アメリカへの従属度が不十分な国々、潜在的ライバル、資源国などを制圧しようというわけです。中東ではイラク、シリア、イランがまずターゲットになり、旧ソ連圏ではユーゴスラビアが最初に狙われます。そして2001年9月11日の出来事。 この世界制覇プロジェクトはソ連が消滅し、中国がアメリカに従属していることが前提になっているのですが、21世紀になってからロシアが曲がりなりにも再独立します。その中心にはウラジミル・プーチンがいましたが、それでも2008年8月のジョージア軍による南オセチア奇襲攻撃がロシア軍の反撃で失敗するまでアメリカの支配層は楽観していたようです。 その後、アメリカは正規軍による軍事侵攻ではなく、サラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団、あるいはネオ・ナチを手先として利用した侵略戦争に切り替えます。地中海沿岸のリビアやシリア、ロシアの隣国であるウクライナでは激しい戦闘が繰り広げられています。 ところが、この過程でアメリカが「張子の虎」にすぎず、ロシアが軍事的にも経済的にも強いということが明らかにされました。しかもロシアと中国が接近、今では戦略的な同盟関係を結んでいます。その結果、アメリカの軍事力や経済力を恐れていた国々がアメリカ離れを起こし始めました。その中にはサウジアラビアも含まれています。 アメリカはターゲット国を制圧するため、その国のエリートを買収、それがダメなら恫喝、さらに何らかの手段による排除といったことを行なってきました。1980年代から「民主」や「人権」をキャッチコピーに使い、侵略するようになります。いわば「イメージ戦争」です。そのために教育システムやマスメディアを支配、1990年代から広告会社が重要な役割を演じるようになり、監視システムの強化も進められてきました。 イメージ戦争では人びとを恐怖させることもあります。2020年から使われている恐怖はパンデミックであり、そのためにCOVID-19という悪霊を作り出しました。その先には社会の収容所化や人間の端末化があります。 例えば、WEF(世界経済フォーラム)のクラウス・シュワブは2020年6月、COVID-19の騒動を利用して「資本主義の大々的なリセット」を実行すると宣言しました。そのシュワブは2016年1月にスイスのテレビ番組に出演した際、マイクロチップ化されたデジタル・パスポートの話をしています。最初は服に取り付け、さらに皮膚や脳へ埋め込み、最終的にはコンピュータ・システムと人間を融合するというプランです。行動を監視するだけでなく、感情、記憶、思考などを管理しようとしているのでしょう。こうした西側のプロジェクトはウクライナで葬り去られるかもしれません。