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《櫻井ジャーナル》

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2022.08.27
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 ウラジミル・プーチン露大統領は7月19日にテヘランでイランとトルコの首脳とシリア問題などについて会談、その後から国際情勢が変化し始めた。8月5日にはロシアのソチでプーチン大統領とトルコとのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が会談、ロシアから輸入する天然ガスの支払いをルーブルで行う、つまりドル離れすることで合意したという。

 ジョージ・W・ブッシュ政権は2003年3月にイラクを先制攻撃、サダム・フセイン体制を倒したが、親イスラエル体制を築くという当初の目的を達成することはできず、親イラン政権を出現させてしまった。その後、アメリカ軍やCIAの力でイラクを抑え込んでいるが、安定させることはできていない。

 調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュによると、​2007年の初めにブッシュ政権は中東政策の方針を大きく変更​している。シリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラを最大の敵だと定め、「スンニ派の過激派」、つまりサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団と手を組むことにしたという。2003年の攻撃で倒したサダム・フセインの残党もそこには含まれていた。

 この方針転換の中心は副大統領だったディック・チェイニー、国家安全保障副補佐官だったエリオット・エイブラムズ、イラク駐在大使だったザルマイ・ハリルザド、そしてサウジアラビアの国家安全保障会議事務局長でブッシュ家やチェイニーと親しいバンダル・ビン・スルタンだと言われ、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアが後ろ盾になった。

 2009年1月にアメリカ大統領はバラク・オバマに交代、翌年の8月に彼はPSD-11を承認し、ムスリム同胞団を主力とする体制転覆プロジェクトが始まる。それが「アラブの春」につながった。

 2011年2月にはアフリカの自立を目論んでいたリビアのムアンマル・アル・カダフィ体制、翌3月にはイランと緊密な関係にあるシリアのバシャール・アル・アサド体制を倒すために侵略戦争をオバマ政権は始めた。その手先として利用されたのはムスリム同胞団とサラフィ主義者を中心とするアル・カイダ系武装集団。オバマ政権はブッシュ政権の侵略政策を変更しなかったわけだ。

 リビアやシリアへの侵略にはアメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟のほか、イギリスとフランスのサイクス-ピコ協定コンビ、パイプラインの建設でシリアと対立したカタール、そしてオスマン帝国の再興を夢見るトルコなどに支えられていた。

 オバマ政権はシリアのアサド政権を倒すためにアル・カイダ系武装集団を支援するが、​そうした政策をアメリカ軍の情報機関DIAは危険だと考え​している。

 その中でオバマ政権が支援している集団の主力はサラフィ主義者やムスリム同胞団だと指摘、AQIと実態は同じアル・ヌスラとして活動していることを知らせている。そのため、オバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになると警告、それは2014年にダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)という形で現実になった。

 イギリスの外務大臣を1997年5月から2001年6月まで務めたロビン・クックによると、​「アル・カイダ」とはCIAの訓練を受けた「ムジャヒディン」の登録リスト​。アラビア語で「アル・カイダ」はベースを意味、データベースの訳語としても使われる。オサマ・ビン・ラディンは「ムジャヒディン」のリクルート担当だった。

 つまり、「アル・カイダ」には統一した指揮系統はなく、何らかのプロジェクトができると「アル・カイダ」に登録されている戦闘員が派遣され、その戦闘員を中心に集団が形成されるわけだ。ダーイッシュも仕組みは基本的に同じだ。雇い主が別ということもあり、トルコ系の武装集団もある。

 この構図が崩れたのは2015年9月。ダーイッシュを2014年に売り出したオバマ政権はホワイトハウスを好戦的な布陣に変えた。つまり2015年2月に国務長官をチャック・ヘイゲルからアシュトン・カーターへ、9月に統合参謀本部議長をマーティン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代させたのだ。

 デンプシーが交代させられた直後の9月30日、ロシアがシリア政府の要請に基づいて軍事介入してアル・カイダ系武装集団やダーイッシュが敗走、その支配地域が急速に縮小してアメリカ/NATO軍が介入するタイミングを逸した。しかも、ロシア軍はシリアでの戦闘で能力の高さを世界に示すことになる。

 そこでオバマ政権は新たな手先としてクルドを利用し始めたが、トルコはクルドを敵視している。そこでシリアを侵略していた同盟国からトルコが離脱、ロシアへ接近させることになった。その後、トルコはアメリカへ再接近したが、現在、再びロシアへ近づいている。

 シリアを不安定化させている勢力の中心はアメリカで、ユーフラテスの北側に20カ所以上の軍事基地を建設、南側ではイラクに通じる重要拠点のアル・タンフに基地を建設しているとされている。アル・タンフではアメリカとイギリスの特殊部隊がダーイッシュの戦闘員などを訓練してきたが、そこで訓練を受けた戦闘員が最近ではウクライナへ送られているという。そのアル・タンフが8月にドローンで攻撃された。

 9月15日から16日にかけてウズベキスタンでSCO(上海協力機構)の会合が開かれるが、トルコのエルドアン大統領とシリアのアサド大統領の会談をプーチン大統領はセッティングしているようだ。その会談が成功したなら、シリア情勢は安定化へ向かうかもしれない。

 SCOの会談で注目されているのがトルコの愛国党を率いるドーウ・ペリチェク。ユーラシア主義を主張する人物で、同じ考えのロシア人哲学者アレクサンドル・ドゥギンと親交がある。ドゥギンは8月20日に殺害されたダーヤ・ドゥギナの父親だ。






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最終更新日  2022.08.27 01:52:27



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