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キエフにウォロディミル・ゼレンスキー政権が送り込んだ部隊がウクライナ北東部のハリコフ州を制圧、傭兵が住民を銃撃しているほか、教師が拘束されたと伝えられている。戦闘の状況も少しずつ明らかになってきた。 アメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターによると、ロシア軍が軍事作戦を遂行中、相当数の兵士がNATO加盟国で軍事訓練を受け、最新兵器を扱えるように訓練されている。軍事情報は以前から提供していたが、そのランクが上げられ、NATOが作戦の指揮をとり始めたようだ。訓練した部隊をNATOは温存していたが、ハリコフへの攻撃にはイギリスで訓練を受けていた部隊が投入された可能性がある。 その一方、ロシア/ドンバス(ドネツクやルガンスク)側の情報も流れてきた。ハリコフ周辺にいたのはドンバス軍だけで、ロシア軍は配置されていなかったようだ。そのドンバス軍もキエフ側の攻撃が始まると(あるいは始まる前)迅速に撤退、損害は軽微だったという。この地域はステップ(大草原)なため、隠れることが困難であり、ロシア軍によるミサイル、砲撃、航空兵力による攻撃などでキエフ軍は大きな損害を出していると言われている。キエフ軍は現地で教師を拘束し、傭兵は市民を銃撃しているが、都市部に入って住民を人質に取るという戦術が難しいようだ。 リッターが指摘しているように、アメリカ/NATOは自らが戦闘に参加せざるをえない状況になっているようで、アメリカ/NATO軍対ロシア/ドンバス軍という構図が鮮明になりつつある。つまり「世界大戦」が近づいてきた。 イギリスのリズ・トラス首相やドイツのアンナレーナ・ベアボック外相のような欧米の好戦派はロシア軍を敗北させるためにいかなる犠牲も厭わない覚悟が必要だと考えている。ジョー・バイデン政権が誕生した直後に彼らは「ルビコン」を渡ったのだ。彼らは核戦争を実行する可能性もある。 ロシア軍がウクライナで軍事作戦を始めた2月24日以降、ゼレンスキー政権はロシア人に銃口をむけない人びとを摘発してきた。3月5日にはロシアと交渉しているチームのひとり、デニス・キリーエフがキエフの路上で治安機関SBU(ウクライナ保安庁)の隊員に射殺され、3月7日にはゴストメルのユーリ・プライリプコ市長の死体が発見されているほか、11名の市長が行方不明だとも言われている。 4月21日にはウクライナの南部にあるミコライフ州のビタリー・キム知事が「ウクライナ24テレビ」の番組で「全ての裏切り者を処刑する」と語った。処刑部隊を編成、すでに作戦を遂行しているともいう。キムにとって「裏切り者」とはゼレンスキーの政策、つまりジョー・バイデン政権のようなアメリカやイギリスの好戦派に同意しない人びとだという。SBUはゼレンスキー政権の政策に従わない人びとを拘束しているが、APによるとその数はウクライナ北東部にあるハリコフだけで400名近くに達した。 ウクライナではこうした「国賊狩り」が展開される一方、野党や政府のプロパガンダ機関以外のメディアの活動が禁止されている。プロパガンダの「本尊」はアメリカの私的権力で、日本もその影響下にある。 ウクライナの戦乱や2014年2月にアメリカのバラク・オバマ政権がネオ・ナチを使ったクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒したところから始まる。クーデターはキエフで実行され、成功したのだが、ヤヌコビッチの支持基盤で、住民の多くがロシア語を話し、ロシア文化圏にある東部や南部で反クーデターの抵抗が始まったのだ。オバマ政権の副大統領がジョー・バイデン現大統領にほかならない。 クーデター後、ネオ・ナチ体制に反発した軍人、あるいはSBUやベルクト(警官隊)の隊員の一部がドンバス軍へ合流したと言われ、戦力はドンバス軍の方が上だと言われた。 そこでアメリカ/NATOは新体制の内務省内に親衛隊を組織するだけでなくCIAやFBIの専門家数十名を顧問として送り込み、傭兵会社「アカデミ(旧社名はブラックウォーター)」の戦闘員約400名もウクライナ東部に派遣されて作戦に参加した。2015年からCIAはウクライナ軍の特殊部隊をアメリカの南部で訓練し始めたとも伝えられている。 今年2月以降、ウクライナではアメリカ陸軍のデルタ・フォース(第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊)、イギリス陸軍のSAS(特殊空挺部隊)、さらにポーランド軍やシリアのアル・タンフにあるアメリカ軍の基地で訓練を受けたダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)の兵士が戦闘に参加していると伝えられている。 ロシアはこうした動きを熟知しているはず。ゼレンスキー政権は「反転攻勢」を演出したかったのかもしれないが、ロシア/ドンバス軍はNATO/キエフ軍の新戦力を叩くためにハリコフでトラップにかけた可能性がある。
最終更新日
2022.09.15 10:50:49
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