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10月21日午後7時から東京琉球館で「ウクライナ東部がロシア領になった後の世界」というテーマで話します。予約受付は10月1日午前9時からとのことですので、興味のある方は下記まで連絡してください。 東京琉球館 住所:東京都豊島区駒込2-17-8 電話:03-5974-1333 https://dotouch.cocolog-nifty.com/ ドンバス(ドネツクやルガンスク)、ザポリージャ、ヘルソンで9月23日から27日にかけてロシアと一体になることの是非を問う住民投票が実施され、賛成に投票した人は投票総数のうちドネツクで99%、ルガンスクで98%、ザポリージャで93%、ヘルソンで87%に達したと発表されています。 ウクライナの東部や南部はロシア革命後、ロシアからウクライナへ一方的に併合された地域で、住民の大半はロシア語を話すというだけでなく、文化的にも宗教的にもロシアに近いことが知られています。ソ連が消滅する直前の1991年8月にウクライナは独立を宣言しましたが、東部や南部の住民はウクライナからの独立を求めました。 この願いは受け入れられず、2014年2月を迎えます。当時のアメリカ大統領バラク・オバマはNATOの訓練を受けていたネオ・ナチを使い、ロシアとの友好的な関係を望んでいたビクトル・ヤヌコビッチ政権を暴力的に倒しました。そこでキエフに出現したクーデター体制が現在のウォロディミル・ゼレンスキー政権に続きます。 このクーデターを東部や南部の住民は拒否、クーデターから間もない3月16日にクリミアではロシアへの加盟の是非を問う住民投票が実施されました。投票率は80%を超え、95%以上が賛成しています。この段階でキエフの状況を住民は知っていました。 南部の重要な港湾都市であるオデッサでも住民が反クーデターの活動を始めましたが、5月2日にネオ・ナチを中心とする集団がそうした住民を虐殺しています。 その日、オデッサではサッカーの試合が予定されていて、フーリガンを含むファンが列車で到着、街に出ます。フーリンガンの中にはナチズムの信奉者もいましたが、その一団をネオ・ナチの中核組織である「右派セクター」が挑発、フーリガンを反クーデター派の住民が活動の拠点にしていた広場へと誘導していき、住民を会館の中へと誘導します。 その中で、つまり外部から見えない場所で虐殺を行われました。西側のメディアは50名弱の住民が殺されたと伝えましたが、現場にいた住民の話によると、虐殺は地下室を中心に行われ、犠牲者の数は120名から130名に達し、遺体は運び去られたといいます。 オデッサの虐殺にはクーデターに批判的な住民に対する見せしめという意味もあったでしょうが、それでもドネツクとルガンスクでは2014年5月11日に住民投票が実施されました。ドネツクは自治を、またルガンスクは独立の是非が問われ、ドネツクでは89%が自治に賛成、ルガンスクでは96%が独立に賛成しています。 この結果を受け、両地域の住民はロシア政府の支援を求めましたが、ロシア政府は動きません。そして戦闘が始まり、アメリカ/NATOは兵器を提供し、戦闘員を訓練、さらに特殊部隊や傭兵会社の戦闘員を送り込みます。その一方で内務省に親衛隊を組織しました。 親衛隊の中核になった「アゾフ大隊(アゾフ特殊作戦分遣隊)」は2014年3月に右派セクターが中心になって組織されています。このアゾフが拠点にしていた都市がドネツク州のマリウポリで、今年4月、ロシア軍によって解放されるまでアゾフに支配され、塗炭の苦しみを経験させられることになりました。この都市だけでなく、キエフ政権が送り込んだ武装勢力に占領されていた地域は同じ状況で、占領されていない場所でもアメリカ/NATOが供給する兵器によって住民は殺されてきたのです。今回の住民投票にはその結果が現れています。 今後、ドンバス、ザポリージャ、ヘルソンをロシアは自国領をみなすことになるでしょう。アメリカやその属国が承認するかどうかは関係がありません。友好国への攻撃とは違い、ロシア領への攻撃には厳しく対応するはずです。アメリカ領への攻撃もありうるでしょう。 ジョー・バイデン政権は誕生した直後に「ルビコン」を渡りましたが、ウラジミル・プーチン政権は話し合いでの解決を模索してきました。ここにきてプーチン政権は話し合いが無理だと認識したようで、軍事力だけでなくあらゆる手段を使った戦争での勝利を目指すことになる可能性が高いでしょう。 そのロシアは中国と戦略的な同盟関係にありますが、この2カ国の周りに世界の国々が集まり始めています。その中にはイランやシリアだけでなく、インド、サウジアラビア、バーレーン、カタール、中央アジア、東南アジア、アフリカ、ラテン・アメリカも含まれています。世界はロシアと中国が勝利すると分析、日米欧は孤立しているとも言えるでしょう。 世界の情勢を見ながら、こうしたことについて考えてみたいと思います。 櫻井春彦 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.09.30 00:00:19
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