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ウラジミル・プーチン露大統領は10月19日、ドネツク、ルガンスク、ヘルソン、ザポリージャに戒厳令を布くと発表した。この地域に対する攻撃をキエフのウォロディミル・ゼレンスキー政権が強めているためだ。ロシア西部には警戒レベルを上げるように指示している。 アメリカ/NATOはロシア政府の抗議を無視してウクライナのNATO加盟を推進、話し合いによる解決は無理だと判断したロシア政府は2月24日にウクライナに対する軍事作戦を開始した。おそらくロシア政府はNATOの東方への拡大を新たな「バルバロッサ作戦」だと考えている。 しかし、それにしてはロシア軍が投入した戦力は大きくなかった。十数万人から多くても30万人程度だと推測され、キエフ政権側の半分から数分の1だと見られている。それでもウクライナの軍や親衛隊は4月に入ると壊滅必至の状態になった。 そこで、イギリスのボリス・ジョンソン首相は4月9日にキエフに乗り込んで停戦交渉を止め、4月21日にはウクライナ南部のミコライフ州のビタリー・キム知事が「ウクライナ24テレビ」の番組で「全ての裏切り者を処刑する」と脅す。 4月30日にはナンシー・ペロシ米下院議長が下院議員団を率いてウクライナを訪問、ゼレンスキー大統領に対してウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めた。ジョンソン英首相は8月24日にもキエフを訪問、ロシアとの和平交渉を進める時間的な余裕はないと釘を刺した。 8月31日から9月2日にかけてプラハで開かれた「フォーラム2000」ではアナレーナ・ベアボック独外相は「ドイツの有権者がどのように考えようとも、私はウクライナの人びとを支援する」と発言している。実際のところ、人びとを支援するのではなく、ロシアとの戦争を継続するということだ。 欧米では国民の意思に関係なく、アメリカやイギリスの私的権力に従属するエリート層はウクライナの土地でウクライナ人にロシア人と戦わせ続けようとしているが、その政策は欧米の経済を破壊しつつある。アメリカ政府はEUを拠点とするメーカーをアメリカへ移転させようとしているともいう。 プーチン大統領は9月21日に部分的な動員を実施すると発表、義勇軍と動員で約30万人が新たに増えると言われている。指揮体制も大きく変化、西部軍管区司令官の司令官がロマン・ビアルニコフ中将へ、またドンバス、ヘルソン、ザポリージャの指揮官としてセルゲイ・スロビキン大将を任命、またチェチェン軍を率いているラムザン・カディロフは上級大将の称号を与えられた。 いずれも実戦経験が豊富で、プーチンから信頼されていると言われている軍人だが、さらに「ワグナー・グループ」も注目されている。傭兵会社だが、戦闘員の多くはロシア軍の特殊部隊出身のようで、事実上、プーチン大統領の直属部隊だとも言われている。 スロビキン大将は10月18日、記者に戦況を説明した。ヘルソンの状況は緊迫しているとし、ウクライナ軍を指揮しているNATOの司令官はヘルソンへの攻撃を命令し続けているとしている。 アメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターはウクライナを舞台とした戦闘がウクライナ軍とロシア軍との戦いからNATO軍とロシア軍との戦いへ変化していると指摘していたが、ウクライナ軍をNATOが指揮していることを同大将も認めたわけだ。 また、アンドリー・イェルマーク・ウクライナ大統領府長官とアナス・ラスムセンNATO前事務総長は9月13日に「キエフ安全保障協定」の草案を発表、アメリカの統合参謀本部は「ウクライナ司令部」を創設するとしている。 日本を含む西側の有力メディアは「ダビデとゴリアテ」風のハリウッド映画的なシナリオに基づいてウクライナ情勢を語っているが、事実は違う。キエフ政権は国民をかき集め、十分な戦闘訓練をしないまま戦場へ送り出し、日本軍を彷彿させる無謀な突撃をウクライナの大草原で実行させている。その結果、多くの犠牲者が出ているわけだ。「爆弾(肉弾)三勇士」の世界がそこにはある。 以前からロシア軍は冬を待ち、大規模な攻撃を始めるとも言われていた。実際、プーチン大統領は部分的動員を決め、攻撃の準備を進めている。司令官の交代や戒厳令もその一環だろう。その前段階としてウクライナの都市をミサイルで攻撃、電力施設などを破壊してきた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.10.21 00:00:07
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