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《櫻井ジャーナル》

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2022.11.23
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 バラク・オバマ政権が2013年11月から14年2月にかけてウクライナでクーデターを実行したひとつの理由はロシアとEUを分断することにあった。ロシアとEUを結んでいた天然ガスのパイプラインがウクライナを通過していたので、ネオ・ナチを利用してウクライナをアメリカを支配、天然ガスの輸送を止めてしまおうとしたのだ。

 ウクライナを迂回する目的で建設された「ノード・ストリーム」と「ノード・ストリーム2」は9月26日に爆破された。ガスの圧力低下をガスプロムが異常アラームで知った1分後、イギリスのリズ・トラス首相(当時)はiPoneでアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官へ「やった」というテキストのメッセージを送っている。この通信をロシア側は傍受していたと見られているが、そのトラスは10月25日に辞任、10月29日にロシア国防省はノード・ストリームを破壊したのはイギリス海軍だと発表した。

 第2次世界大戦後にヘゲモニーを握ったアメリカの支配層はイギリスが19世紀に作成した長期戦略を受け継いだ。ユーラシア大陸の周辺部を海軍力で支配して内陸部を締め上げ、ロシアを制圧して世界の覇者になるというわけだ。この戦略を成立させる上でスエズ運河は重要な意味を持っている。

 そのスエズ運河を回避するため、インドのムンバイからイラン、アゼルバイジャンを経由し、ロシアのサンクトペテルブルグを鉄道、道路、船でつなぐ「南北輸送回廊」が作られている。







 この回廊はアメリカやイギリスの世界制覇戦略にとって大きな障害になる。そうしたこともあり、アメリカ国防総省系シンクタンク「RANDコーポレーション」は2019年に出したレポートの中で、アゼルバイジャンとアルメニアの緊張を煽ると書いたのだろう。

 ロシアと中国は北極海をロシアの岸に沿って進む航路を開発中。この航路を使うと南のルートより安全に、しかもはやく物資を運ぶことができ、すでにロシアから中国へ石油を運んでいる。ロシアにとって、この航路が横断する千島列島の重要性は以前より増している。

 アメリカはロシアや中国に対して経済戦争を仕掛けているが、その結果、ヨーロッパの経済は破綻、社会は崩壊している。アメリカの支配層はヨーロッパの主要企業にアメリカへ移転するように呼びかけているようだが、アメリカも苦境に陥りつつある。日本も厳しい状況だ。それに対してロシア経済は順調で、社会は安定している。

 アメリカがロシアや中国を潰そうとしている理由は、アメリカを中心とする支配システムを揺るがす存在になっているからだ。アメリカの支配層は第2次世界大戦後にヘゲモニーを握ったが、その仕組みを支えてきたのはドル体制。基軸通貨と認められたドルを発行する特権をアメリカの私的権力が持ち、圧倒的に優位な地位を築いたわけで、このシステムがなければ軍事力を維持することも不可能だ。

 ドルを発行する特権を最大限活用するため、発行済みのドルを実社会から支配層の手元へ還流させ、新たにドルを発行する余地を作る仕組みが作られた。例えば石油取引のドル決済や金融規制の大々的な緩和だ。ところがこの仕組みをロシアと中国が壊しつつある。

 しかも、経済だけでなく軍事の面でもアメリカはウクライナで厳しい状況にある。ロシアや中国を軍事的な恫喝で屈服させようとしてきたネオコンの戦術が裏目に出ているのだ。

 ウクライナで冬が本格化するとステップの地面が凍結、戦闘車両の走行が容易になる。ロシア軍は新たな軍事作戦を始めるため、それを待っていると見られている。

 すでにT-90M戦車や防空システムS-400を含む兵器がドンバス周辺へ運ばれ、部分的動員で集められた兵士のうち約8万人はすでにドンバス入りし、そのうち5万人は戦闘に参加しているという。訓練中の約32万人も新作戦が始まる前には合流するはずだ。冬が本格化する前に手を打たないとロシア軍が動き、NATO軍かアメリカ軍が前面に出てこないかぎり、ウクライナの敗北は明確になってしまう。






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最終更新日  2022.11.23 03:09:43



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