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《櫻井ジャーナル》

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2022.11.28
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 12月16日午後7時から東京琉球館で「覇権に執着するアメリカの下で人類は存続できるか」というテーマで話します。予約受付は12月1日午前9時からとのことですので、興味のある方は下記まで連絡してください。

東京琉球館

住所:東京都豊島区駒込2-17-8

電話:03-5974-1333

https://dotouch.cocolog-nifty.com/

 本ブログでは繰り返し書いてきましたが、アメリカを中心とする支配システムが揺らいでいます。それにもかかわらずアメリカの支配層は世界制覇計画に執着、障害になっているロシアや中国を倒そうとしているのですが、その足掻きによって人類は存続の危機に瀕しています。その状態が今後どうなるかを考えてみたいと思います。

 1991年12月にソ連が消滅した時点で旧ソ連圏はアメリカに征服され、中国はすでにエリート層がアメリカの支配層に取り込まれていました。そうした状況を一変させたのウラジミル・プーチンを中心とするロシアのグループです。

 1992年2月に作成されたウォルフォウィッツ・ドクトリンに基づいて世界制覇プロジェクトをスタートさせましたが、それに合わせてWEF(世界経済フォーラム)のクラウス・シュワブは「明日のグローバル・リーダー」プログラムを開始、1993年から若手指導者を選び始めます。

 最初の年に選ばれた指導者候補にはイギリスのトニー・ブレア、ドイツのアンゲラ・メルケル、フランスのニコラ・サルコジ、ポルトガルのジョゼ・マヌエル・バローゾ、そしてロシアのプーチンが含まれていました。プーチンがロシアの大統領になれたのはそのためですが、実権を握ったプーチンはロシアを曲がりなりにも独立させます。

 プーチンがロシアの大統領になった頃からイスラエルやアメリカはロシアの隣国であるジョージアへの工作を始めます。イスラエルの軍事会社がジョージアへ無人機(ドローン)、暗視装置、防空システム、ミサイル、砲弾などを提供すると同時に軍事訓練を実施、アメリカの軍事会社も訓練に参加しています。

 そして2008年8月7日、北京の夏季オリンピック開催に合わせてジョージアは南オセチアを奇襲攻撃しますが、ロシア軍の反撃で惨敗しました。アメリカ/NATOはロシア軍を弱体化させたと信じていたようですが、その時点で立て直されていました。

 その間、2004年から05年にかけてジョージ・W・ブッシュ政権はウクライナで東部や南部を支持基盤にするビクトル・ヤヌコビッチを「オレンジ革命」で排除しますが、アメリカが樹立させた政権の新自由主義的な政策で貧困化した国民は2010年の1月から2月にかけて行われた大統領選挙で再びヤヌコビッチを当選させます。

 ウクライナの東部や南部は歴史的にロシアとの関係が深く、住民の多くはロシア語を話します。ヤヌコビッチの支持基盤に含まれるクリミアでは住民の75%、ドンバスでは住民の90%がヤヌコビッチに投票しました。

 2010年7月にヒラリー・クリントン国務長官(当時)がキエフへ乗り込み、ヤヌコビッチに対してロシアとの関係を断ち切ってアメリカへ従属するように求めますが、拒否されます。そこでオバマ政権はクーデターを計画、2013年11月に始動させ、14年2月にヤヌコビッチの排除に成功しました。その時、クーデターの実行部隊として使ったのがネオ・ナチです。

 しかし、東部や南部の人びとはクーデターを拒否、クリミアはロシアと一体化することに成功、ドンバスでは住民が武装蜂起しました。そこへはネオ・ナチ体制に従属することを拒否した軍人や治安機関のメンバーなどが合流したと言われています。

 当初、ロシア政府は話し合いでの解決を目指し、ドンバスを保護することをロシアを受け入れていません。そうした姿勢は事態を悪化させるだけだと批判したアメリカ政府の元高官もいました。今年11月25日にはウラジミル・プーチン露大統領も兵士の母親との会合で、早くドンバスを併合していれば市民の犠牲者は少なくて済んだと後悔していると語っています。アメリカ/NATOと話し合いで物事を解決することは不可能だと悟ったのでしょう。

 ウクライナに対する軍事作戦をロシアは今年2月24日に始めたのですが、これはアメリカ/NATOがウォロディミル・ゼレンスキーを利用して東部のドンバス(ドネツクやルガンスク)を攻撃する直前のことだったと見られています。

 4月から5月にかけての時期にウクライナの軍や親衛隊は壊滅しましたが、イギリス政府やアメリカ政府は戦闘を継続させるために兵器を大量に供給、ウクライナ兵を訓練して最新兵器をあつかえるようにし、軍事情報を提供、さらに自国の情報機関や特殊部隊のメンバーをウクライナで活動させています。

 戦闘にNATO軍の部隊が出てきているわけではありませんが、作戦の指揮をNATOが行うなど関わりを強めていきました。そうしなければ戦闘を維持できないからです。

 ロシアがウクライナに対する軍事作戦を始めた2月24日以降も地上部隊の主体はドンバス軍、チェチェン軍、ワーグナー・グループで、ロシア軍はミサイルや航空兵力による攻撃が中心だったようで、そのミサイル攻撃も徹底したものではありませんでした。生産能力の問題ではありません。

 9月21日、ウラジミル・プーチン大統領は部分的な動員を実施すると発表、ドンバス、ザポリージャ、ヘルソンでは9月23日から27日にかけてロシアと一体になることの是非を問う住民投票が実施されました。賛成に投票した人は投票総数のうちドネツクで99%、ルガンスクで98%、ザポリージャで93%、ヘルソンで87%に達しています。

 そして今年10月8日、ロシア国防省はドネツク、ルガンスク、ザポリージャ、ヘルソンでの軍事作戦をロシア軍の中でエース的な存在だと言われるセルゲイ・スロビキン大将が統括指揮者に据え、また西部軍管区司令官をロマン・ビアルニコフ中将へ交代、チェチェン軍を率いているラムザン・カディロフは上級大将の称号を与えました。ロシア軍は軍事的に何もしていないとプーチン大統領はそれまで語っていましたが、動き始めたようです。

 現在、ロシア軍はウクライナで冬が本格化するのを待っています。ステップと呼ばれる大草原が凍結して戦闘車両の走行が容易になり、木々の葉が落ちてウクライナ軍が隠れにくくなるからです。

 それに合わせてロシア政府は部分的動員を実施、すでに約8万人はドンバス(ドネツクやルガンスク)入りし、そのうち5万人は戦闘に参加しているとされています。訓練中の約32万人も新作戦が始まる前には合流するはずで、大量の兵器がドンバス周辺へ運ばれる様子がインターネットにアップされていますが、それを見るとT-90M戦車や防空システムS-400が含まれています。

 一方、​アメリカ統合参謀本部のマーク・ミリー議長は冬季に予想されるロシア軍の攻勢を懸念​しているようで、ウクライナ軍がロシア軍に勝利することはないかもしれないと9日にニューヨークの経済クラブで発言、冬が本格化する前にロシアとの交渉を始めるべきだと語りました。ジェイク・サリバン国家安全保障担当大統領補佐官などオフィスで戦争ごっこをしている感覚の好戦派はミリー議長の意見に反対しているようですが、結局、時間稼ぎのために話し合いを始めるかもしれません。

 西側から兵器と資金が送られてくるシステムが一種の利権になっているウォロディミル・ゼレンスキー政権はロシアとの戦闘を継続させたい。本腰を入れ始めたロシアに太刀打ちできないことを認識し始めたらしいゼレンスキー大統領としては、NATO軍かアメリカ軍を戦場へ引き摺り出したいでしょう。

 そうした中、11月15日にウクライナからS-300防空システム用の5V55Kミサイル2機がポーランドのプシェボドフへ飛来、2名が死亡したとされています。このミサイルの射程距離は75キロメートルにすぎず、ロシア軍が発射した可能性はゼロに近いのですが、APはロシア軍が発射したと伝えました。ロシアがNATO加盟国のポーランドをミサイル攻撃したとなるとNATO軍はロシア軍と戦う義務が生じ、核戦争になる可能性が出てきます。

 この話を伝えたのはAPのジェームズ・ラポータ記者ですが、ことの重大さから編集会議で討議されました。別の情報源に確認する必要はないかという意見を述べた編集者もいましたが、その必要はないということになり、「報道」したわけです。

 その討議の中でバネッサ・ゲーラ編集者はロシアのミサイルが国境を超えてNATO加盟国に着弾してふたりが死んだのだとポーランドやアメリカ情報機関の高官が話していると強調、アメリカの情報機関幹部が間違うとは思えないと語っています。

 すぐにミサイルの話は間違いだと判明してラポータは解雇されましたが、ゲーラを含む編集者は問題にされず、嘘をついた情報機関の高官も責任を問われていないようです。事実を明らかにして逮捕され、アメリカで懲役124年が言い渡される可能性があるウィキリークスのジュリアン・アッサンジとは全く違った扱いをされています。

 ミサイルがどこから発射されたかを熟知しているはずの​ミリー統合参謀本部議長は11月16日、ペンタゴンで開かれた記者会見で冬が来る前にロシアとの交渉を始めるべきだと再び発言​しました。ウクライナでの戦乱を仕掛けたホワイトハウスの好戦派はロシアを壊滅させたがっていますが、統合参謀本部には相手にされなかったようです。

 アメリカやイギリスは19世紀からロシアを敵視、領土を征服しようと目論んできました。その長期戦略にEUやNATOは従っているのですが、ヨーロッパ諸国に住む人びとはそうした米英支配層の戦略に反対し始めました。イギリス支配層は戦略の一環として明治維新を仕掛け、その流れから日本は逃れられず、中国やロシアと戦争する準備を進めています。

櫻井春彦






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最終更新日  2022.11.28 01:59:26



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