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全長200キロメートルという岩塩の採掘場を利用してウクライナ軍が築いた地下要塞をロシアの傭兵会社ワグナー・グループはロシア軍と共同で制圧したが、その直後、ワレリー・ゲラシモフ参謀総長をウクライナにおける軍事作戦の統合司令官にするという発表があった。昨年10月からドンバス、ヘルソン、ザポリージャの統合司令官を務めていたセルゲイ・スロビキンは副官になる。ソレダル制圧が完了した後、ロシア軍は新たで本格的な軍事作戦を始めると見られているが、その準備だと考えるべきだろう。 ロシアのニコライ・パトロシェフ国家安全保障会議議長はウクライナで彼らが戦っている相手はウクライナでなく、同国へ入り込んでいるアメリカやイギリスをはじめとするNATOだと語っている。2014年2月にバラク・オバマ政権がネオ・ナチを利用し、キエフでクーデターを実行した時から明らかなことだったが、その後、約8年にわたって外交的な解決を試み、事態を悪化させていた。 外交的な解決の試みは「ミンスク合意」という形になったが、アンゲラ・メルケル元独首相は12月7日、ツァイトのインタビューでこの合意はウクライナの戦力を増強するための時間稼ぎに過ぎなかったと口にしている。メルケルと同じようにミンスク合意の当事者だったフランソワ・オランド元仏大統領もその事実を認めた。 現在、ロシア政府に残された手段は軍事的な解決しかない。ロシアのウラジミル・プーチン大統領は昨年9月21日に部分的な動員を実施すると発表した。集められた兵士のうち約8万人はドンバス入りし、そのうち5万人は戦闘に参加、約32万人は訓練中だとされている。 すでにロシア軍はドンバス周辺へT-90M戦車、T-72B3M戦車、防空システムS-400を含む兵器を大量に運び込んでいるが、それだけでなくベラルーシに戦略ミサイル・システムの「イスカンダル」と防空システム「S-400」を実戦配備、さらに兵器を運び込んでいる。ベラルーシ防衛という意図もあるだろうが、キエフ周辺にいる部隊の動きを封じる目的もあると見られている。 イギリス国防省は「ロシアが直面している状況の深刻さが増していることを表している」と語ったという。その話を日本の有力メディアは垂れ流しているが、ウクライナ情勢は西側にとって深刻な事態になっていることを認める声がアメリカからも聞こえてくる。(例えばココ) ヘンリー・キッシンジャーは昨年5月、スイスのダボスで開かれたWEF(世界経済フォーラム)の年次総会でロシアとウクライナとの特別な関係を指摘、平和を実現するためにドンバスやクリミアを割譲して戦争を終結させるべきだと語っている。 アメリカ統合参謀本部のマーク・ミリー議長は11月、ウクライナ軍がロシア軍に勝利することはないかもしれないとニューヨークの経済クラブで発言、最近ではコンドリーサ・ライス元国務長官やロバート・ゲーツ元国防長官も、このまま進めばウクライナでの戦闘はロシアが勝利するとしている。 アメリカが作り上げた戦争マシーンの一部として中国やロシアとの戦争を始める準備を進めている日本政府にしてみると、同盟相手の米英がウクライナでロシアに負けていることを知られたくないだろう。日本のマスコミが「大本営発表」を繰り返している理由のひとつはここにありそうだ。 イラクを先制攻撃する直前に宣伝された「大量破壊兵器話」にしろ、東電福島第一原発事故に関する話にしろ、COVID-19に関する話にしろ、マスコミは事実を伝えてこなかった。ウクライナ情勢でも日本の軍事政策でも同じだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.01.12 13:44:51
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