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ウクライナに対するアメリカ政府の劣化ウラン弾供給が問題になっている。アメリカはブラッドリー装甲戦闘車両に続き、M1エイブラムス戦車をウクライナへ引き渡すと発表しているが、いずれも劣化ウラン弾を発射できるからだ。この点に関する記者の質問にアメリカ政府は答えていない。 エイブラムスの供給発表と同時にドイツ政府は自国の主力戦車「レオパルト2」をウクライナへ引き渡すことを明らかにした。戦車を提供してもシステムに合わせた訓練をする必要があり、そのために半年から1年は必要だという。すぐに使いたいなら「搭乗員付き」で供給するしかない。戦車が引き渡されてもすぐに戦闘へ影響するわけではないということだ。しかも、現在の戦闘では戦車の重要性は低下している。 しかし、それでも戦車の提供はロシアに対する挑発行為だと言えるだろう。ドイツ政府にはアンナレーナ・ベアボックという好戦的な外務大臣がいる。「緑の党」に所属する彼女は昨年8月31日から9月2日にかけてプラハで開かれた「フォーラム2000」で、「ドイツの有権者がどのように考えようとも、私はウクライナの人びとを支援する」と発言して非難され、今月には欧州議会で「われわれはロシアと戦争している」と公言している。 ドイツではウクライナに対する軍事支援に消極的だったクリスティーネ・ランブレヒト国防相が辞任を強いられ、ベアボックが望むようにレオパルト2の供給が決まった。ウクライナへの戦車供給がNATOとロシアとの戦争を意味するわけでないとフランス外務省は釘を刺したが、ドイツ政府の内部では戦争熱が高まっている。 昨年11月、シュピーゲル誌はドイツ軍がロシアとの戦争の準備をしているとする記事を掲載した。ドイツ軍のエバーハルト・ツォルン参謀総長が「軍隊の作戦ガイドライン」と題された秘密の草案を作成、ロシアを「差し迫った脅威」だとしている。ドイツ軍はこの時点でロシア軍との戦争を準備し始めたとみなされている。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、ウィンストン・チャーチルが開幕を告げた「冷戦」はナチスによるソ連への軍事侵攻失敗を受けてのことだ。反ファシズムのフランクリン・ルーズベルト米大統領とは違い、チャーチル英首相は反コミュニストで、ルーズベルトが急死した翌月の1945年5月にドイツが降伏するとJPS(合同作戦本部)に対してソ連を攻撃するための作戦を立案するように命令、「アンシンカブル作戦」が提出された。 その作戦によると、その年の7月1日にアメリカ軍64師団、イギリス連邦軍35師団、ポーランド軍4師団、そしてドイツ軍10師団で攻撃を始めることになっていた。「第3次世界大戦」だが、この作戦は発動していない。参謀本部が5月31日に計画を拒否したからだ。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000)今もアメリカ、イギリス、ポーランド、ドイツはパックになっている。 大戦の前からアメリカやイギリスの金融資本はナチスへ資金を提供していた。特に有名だった銀行はディロン・リードとブラウン・ブラザーズ・ハリマン。ドイツへ資金を流す目的で1924年にはユニオン・バンキングが設立されるが、その重役にはプレスコット・ブッシュやW・アベレル・ハリマンが含まれている。 1924年にプレスコットはジョージ・ハーバート・ウォーカーが社長を務める投資銀行A・ハリマンの副社長に就任するが、そのウォーカーの娘とプレスコットは結婚している。このプレスコットはジョージ・H・W・ブッシュの父親であり、ジョージ・W・ブッシュの祖父でもある。またウォール街の弁護士だったアレン・ダレスと親しかった。 こうしたウォール街人脈にとって1932年のアメリカ大統領選挙の結果は衝撃だった。ニューディール派のフランクリン・ルーズベルトが当選したのだ。そこでJPモルガンをはじめとするウォール街の住人たちはクーデターでニューディール派を排除し、ファシズム体制を樹立しようと目論む。 ルーズベルトが大統領に就任する直前、駐日大使として日本へきたのがジョセフ・グルー。彼のいとこにあたるジェーンはジョン・ピアポント・モルガン・ジュニア、つまりJPモルガンの総帥の妻である。 クーデターの司令官を誰にするかについてウォール街の住人たちはパリで協議、選ばれたのはスメドリー・バトラー退役少将だった。軍の内部で圧倒的な人望があり、この人物を抱き込まないと計画を成功させられないと判断したからのようだが、バトラーは計画を全て聞き出した上でカウンター・クーデターを宣言、その詳細を議会で証言し、クーデターは失敗に終わった。そのクーデター派がホワイトハウスを奪還するのはルーズベルトが急死した1945年4月のことである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.01.29 13:19:43
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