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岸田文雄首相はウクライナを訪問する前、3月20日にインドで行った演説の中で、日本は2030年までに官民で750億ドル以上を投じると発表した。「自由で開かれたインド太平洋」のためだというが、その前には「アメリカにとって」という言葉が隠れている。 アメリカは2018年5月に「太平洋軍」を「インド・太平洋軍」へ編成替えし、太平洋からインド洋にかけての海域を一体のものとして扱うことを明確にした。日本を太平洋側の拠点にし、インドを太平洋側の拠点にするのだという。両海域をつなぐのがインドネシアだとされている。 陸上自衛隊は南西諸島の離島に軍事施設を建設してきた。2016年に与那国島で、また19年には奄美大島と宮古島で建設され、今年3月16日には石垣島で開設された。 言うまでもなく、これはアメリカの戦略に基づくが、その戦略はアメリカ国防総省系のシンクタンク、「RANDコーポレーション」が昨年に発表した報告書のなかで明らかにされている。 それによると、アメリカ軍は中国をGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で包囲しようとしているが、配備できそうな国は日本だけ。その日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約がある。そこでアメリカはASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにし、ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたとされている。 そこで、日本政府は射程距離が1000キロメートル程度のミサイルを開発し、艦艇、戦闘機、そして地上から発射できるようにする計画をたてた。地上発射の改良型は2024年度にも配備する方針だという。 その後、日本政府はアメリカから亜音速の巡航ミサイル「トマホーク」を購入する意向だという話が出てきた。トマホークは核弾頭を搭載でき、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートル。「反撃能力」というタグがつけられているが、実際は先制攻撃能力だ。攻撃する相手は中国だけでなく、その同盟国であるロシアも含まれる。 日本は射程距離が3000キロメートル程度のミサイルを開発し、2030年代の半ばまでに北海道へ配備する計画だとも伝えられている。それが実現するとカムチャツカ半島も射程圏内だ。岸田政権の与党である自由民主党と公明党は「敵基地攻撃能力」を日本が保有することで合意しというが、これは「先制攻撃」の言い換えにすぎない。 日本は技術力が低下しているアメリカを助けるため、高性能兵器の開発にも乗り出しているようだ。例えばアメリカと共同で音速の5倍以上で侵入してくるHGV(極超音速滑空体)を迎撃するミサイル技術の研究開発を考え、昨年7月24日には宇宙航空研究開発機構(JAXA)が鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所で迎撃ミサイルに必要な速度に到達することが可能だとされるエンジンの飛行試験を初めて実施した。 極超音速で飛行するミサイル自体も研究だと言われ、HGVではなくエンジンによって推進力を得る極超音速巡航ミサイル(HCM)の開発を目指しているという。2026年には九州や北海道の島々へ配備したいようだ。 アメリカ軍の別働隊であるNATOで事務総長を務めるイェンス・ストルテンベルグは2020年6月に「NATO2030」なるプロジェクトを始めると宣言したが、それによるとNATOの活動範囲を太平洋へ広げてオーストラリア、ニュージーランド、韓国、そして日本をメンバーにするのだとしている。 オーストラリアは2021年9月、イギリスやアメリカとAUKUSを創設したと発表したが、それと同時にアメリカとイギリスはオーストラリアに原子力潜水艦の艦隊を建造させるために必要な技術を提供するとも伝えられた。ジョー・バイデン米大統領はオーストラリアへ売却する3隻のバージニア級原子力潜水艦を2030年代の初めに建造すると語っている。 その潜水艦を動かすためにはアメリカの軍人が乗り込む必要があり、事実上、アメリカ海軍の潜水艦になる。山上信吾オーストラリア駐在大使はキャンベラのナショナル・プレス・クラブで2022年11月14日、日本がオーストラリアの原子力潜水艦を受け入れる可能性があると表明した。 アングロ・サクソンの世界戦略の基本はユーラシア大陸を取り巻く海域を支配することにある。そのためのインド・太平洋軍だ。その戦略にインドも取り込む必要があるのだが、そのインドはアメリカ離れし、ロシアに接近しつつある。日本はアメリカの代理人としてインドを750億ドル以上の資金で買収しようというわけだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.03.22 15:44:59
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