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《櫻井ジャーナル》

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2023.11.07
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 ハマスを含むパレスチナ系武装グループは10月7日にイスラエルへ攻め込んだ。軍事作戦「アル・アクサの洪水」である。この攻撃で約1400名のイスラエル人が死亡したとされているが、​イスラエルの新聞ハーレツによると、イスラエル軍は侵入した武装集団を壊滅させるため、選挙された建物を人質と一緒に砲撃で破壊した​という。イスラエル市民をイスラエル軍は殺害したということだ。​ハーレツの記事を補充した報道​もある。

 イスラエル政府はハマスの残虐さを宣伝、ハマスの戦闘員がイスラエル人に発砲している映像を公開しただけでなく、タイムズ・オブ・イスラエル紙によると、軍事基地内でイスラエルの当局者は黒焦げの死体を撮影した写真に「ハマスの猛攻撃による殺人、拷問、斬首の悲惨な現場」という説明をつけて記者に示したという。そしててイスラエルの子ども40人が斬首されたという話を流した。

 アメリカのジョー・バイデン大統領やイスラエルのニル・バルカット経済相も子ども40人の斬首話を広めたが、別の記者がこの話は検証されていないと指摘、そうした話を広めるのは無責任だと批判する。

 バイデンはイスラエルでテロリストが子供を斬首している確認された写真を見たと主張していたが、翌日には発言を撤回、報道官はバイデンがそのような写真を見た事実はないと語った。バイデンはイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の話をそのまま事実として口にしただけだと説明されている。

 いつものことながら、西側の有力メディアが伝えた話は如何わしい。相当数のイスラエル市民がイスラエル軍に殺された可能性が高いのだ。しかも、そうした情報がイスラエル国内で伝えられている。

 現在、イスラエル軍はガザに対する激しい空爆を繰り広げているが、そこでも人質のイスラエル人を殺していると見られている。パレスチナ人をガザから追い出すことに失敗した後、ベンヤミン・ネタニヤフ首相はパレスチナ人皆殺しを決断したとしか思えない攻撃を続けている。

 イスラエルにアメリカ軍の基地がある。軍事物資が保管されているほか、​ガザから30キロメートル余り、ネゲブ砂漠のハルケレン山頂にある「サイト512」にはイスラエルを攻撃するイランのミサイルを監視するレーダー施設がある​。

 ​ガザに関する電子情報の収集はオーストラリアにあるパイン・ギャップ基地が利用されている​。そこで収集されたデータはイスラエル国防軍に提供されている。

 この通信傍受基地は1966年12月にアメリカとオーストラリアとの間で結ばれた秘密協定に基づいて建設された。協定の有効期限は10年。1976年までに更新しないと基地を閉鎖しなければならない。オーストラリアの首相だったゴフ・ホイットラムが更新を拒否することをアメリカ側は懸念していた。

 ホイットラムは1972年12月の総選挙で勝利して首相に就任すると、自国の対外情報機関ASISに対してCIAとの協力関係を断つように命令していた。デイビッド・レイによると、ウイットラムはチリのクーデターに関する情報を入手、チリでASISがCIAと共同でサルバドール・アジェンデ政権を崩壊させる工作を実行していたことを知っていたという。(David Leigh, "The Wilson Plot," Pantheon, 1988)

 そこでCIAは1975年11月、イギリス女王エリザベス2世の総督だったジョン・カーにホイットラム首相を解任させた。実際に動いたのはアメリカのCIAやイギリスのMI6だが、総督がいなければ解任できない。総督は名誉職だと考えられていたが、そうではなかったのである。

 アメリカのジャーナリスト、ジョナサン・ウイットニーによるとカーは第2次世界大戦中の1944年、オーストラリア政府の命令でアメリカへ派遣されてCIAの前身であるOSS(戦略事務局)と一緒に仕事をしている。大戦後もCIAと深い関係にあった。(Jonathan Kwitny, "The Crimes of Patriots," Norton, 1987)

 ウクライナでアメリカ/NATOはロシアに敗北した。この事実が世界に広まると、アメリカは「神の国」だという神話が崩れる。第3次中東戦争のようにイスラエル軍が圧勝する姿を示したいとネオコン、リクード、キリスト教福音主義者(聖書根本主義者、または旧約聖書カルト)は考えただろう。

 しかし、地上軍がガザに侵攻、制圧する状況にはないようだ。シーモア・ハーシュによると、すでにイスラエル兵は地下施設へ入り込み、燃料不足からハマスのメンバーは窒息死の可能性があるというが、断片的に伝えられる情報からイスラエル軍は地上で苦戦していると分析する元CIA分析官もいる。

 イスラエルはガザ内部への物資流入を阻止する一方、通信を遮断して情報が外部へ漏れないようにしているが、これは残虐行為が知られることを恐れているだけでなく、イスラエル軍の犠牲も知られたくないのかもしれない。






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最終更新日  2023.11.07 00:00:10



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