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アメリカ政府の特使、スティーブ・ウィトコフとジャレッド・クシュナーは9月5日にモスクワを訪問、ウラジミル・プーチン露大統領と会談した。対話のルートが維持されていることを示したものの、予想通り、中身はなかった。ふたりの特使は航空機でポーランドのジェシュフへ向かい、そこで列車に乗り換えてキエフへ訪れた。プーチン大統領はウィトコフとクシュナーの訪問に合わせ、キエフへの攻撃を3日間停止するように命じていたが、8日にふたりがキエフを離れた直後、ロシア軍はキエフに対するミサイルやドローンによる大規模な攻撃を再開した。 キエフに対する攻撃が停止される前、6日の段階で日本の電動工具大手、マキタの倉庫がロシア軍のドローン攻撃で炎上していたが、消火活動が行われていなかった。ウクライナ軍の弾薬が保管されているため、いつ爆発しても不思議ではなく、消防士が近づけないためだという。同社の現地法人は2022年2月24日から営業を停止していたとされているものの、そこを弾薬の保管場所にしていたようだ。 ウクライナにおける対ロシア戦争に直接加わろうとしている日本企業もある。その中核をなすとされているのは「日本ウクライナドローンクラスター」。この会社は日本企業とウクライナの軍事会社が連携して設立、在日ウクライナ商工会議所、大学、研究機関、そして地域の企業も参加するとされている。 東京を拠点とするテラドローン社はウクライナの迎撃ドローン開発企業のアメイジングドローン社と「戦略的投資」を含む資本提携および事業提携に合意、ヨーロッパのエアバス社は川崎重工業と対潜水艦戦用ドローンの開発に関する覚書を締結したと発表された。 また、アメリカの軍事企業アンドゥリル・インダストリーズは軍用ドローンを製造するため、日産自動車が閉鎖を予定している追浜工場の買収に向けて協議しているという。台湾もウクライナにおけるドローンの生産に協力している。 アメリカ政府の圧力で安価なロシア産の天然ガスや石油を断ち切ったドイツでは製造業が立ち行かなくなり、社会が崩壊しつつある。9月6日にザクセン-アンハルト州で実施された選挙ではフリードリヒ・メルツ首相が率いる対ロシア戦争の推進を主張するCDU(キリスト教民主同盟)が惨敗、戦争に反対しているアリス・ワイデルとティノ・クルパラが率いるAfD(ドイツのための選択肢)が躍進したベースはそこにあると言えるだろう。 ドイツの製造業が衰退している象徴は自動車会社のフォルクスワーゲン。エムデン工場とツヴィッカウ工場が2031年に、ハノーファー工場が32年に、そしてネッカーズルム工場が34年に閉鎖される予定だと伝えられている。 自動車の生産を2027年夏までに終了させると同社が2024年に決定していたオスナブリュック工場の場合、9月7日、ニーダーザクセン州およびアウレリウス・キャピタルと売却の可能性に関する合意に達した。アウレリウスが過半数の所有権を握り、ニーダーザクセン州も同施設に出資する。事実上、イスラエルの国営軍事企業であるラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズと協力するのだという。 ラファエルはミサイル防衛システム「アイアン・ドーム」を開発した企業だが、このシステムが機能しないことはイランが証明した。オスナブリュック工場では軍用車両、発射装置、発電機などが製造される見込みだ。この工場はナチス時代にも軍用機の部品を生産していた。 フォルクスワーゲンだけが安価なエネルギー資源を放棄したことで苦境に立っているわけではない。メルセデス・ベンツを含むヨーロッパの自動車メーカーはこぞって軍事分野に関心を持っている。この流れはアメリカを支配する私的権力の意向に沿うものだろう。 欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長はロシアを攻撃するための戦闘用ドローンの生産を統合する「歴史的な協定」をウクライナと締結、ロシアによる報復攻撃の脅威にさらされない「安全な」場所でヨーロッパ諸国がウクライナ向けの軍需品を生産するとしているが、ドイツは射程圏内である。 ウクライナでの戦争は代理戦争のステージは終わり、すでにNATO軍とロシア軍の戦いになっているが、NATO軍にはロシア軍に対抗する能力がない。「映え」を狙い、防御の甘い民間施設を攻撃して大手メディアの「勝利」のイメージを広めさせているが、現実の前には無力だ。 ウクライナ/NATOのドローンが枯渇してきたのか、ロシア軍はウクライナ軍を包囲する戦術を控えてきたようだが、ハリコフ州ではいくつものウクライナ軍部隊がロシア軍に包囲していると伝えられている。 アメリカとイスラエルによるイラン攻撃で西アジアからの石油が入手しにくくなり、ロシアの天然ガス輸入もアメリカに妨害されている日本でも同じことが引き起こされる可能性がある。「日本ウクライナドローンクラスター」もそうした流れの中で設立されたのだろう。 ********************************************** 【櫻井ジャーナル(note)】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2026.09.09 00:00:08
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