2012.05.07

プーチン露大統領の就任式にタイミングを合わせ、ロシアで反プーチンのデモが行われて多くの逮捕者を出しているが、その背景では着任したばかりの米大使が暗躍している

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 ウラジミール・プーチンのロシア大統領就任を控え、約2万人(警察側の発表では8000人)の反プーチン派が抗議活動を展開、250名とも400名とも言われるデモ参加者が逮捕されたようだ。

 映像を見る限り、デモ隊全体が警官隊と衝突しているのではなく、小規模のグループと警官が乱闘になり、何者かが火炎瓶を投げるなどして騒動が大きくなっていった。「警察の強硬姿勢」を演出しようとしている人間がいたようだ。

 これまでも「反プーチン・デモ」は繰り返されてきたのだが、盛り上がに欠けるのが現実。2月上旬に行われた反プーチン/親西側のデモには主催者側の発表で6万人、警察側の発表でも3万8000人が参加していたが、今回は2万人にすぎない。

 実は2月の場合、同時に行われた反「反プーチン/親西側」のデモ(親プーチンではない)には推計で13万8000人が集まっていた。「新自由主義への反発」とも言える。何しろボリス・エリツィン時代、「規制緩和」や「私有化」で国の資産を一部の人間が略奪して巨万の富を手にしている。いわゆる「オリガーク(寡占支配者)」だが、その一方で大多数の庶民は極貧に喘ぐことになった。大多数のロシア人はエリツィン時代の再来を願ってはいないだろう。

 オリガークの象徴的な存在は、チェチェン・マフィアを背景にしてのし上がり、今はイギリスに亡命しているボリス・ベレゾフスキー(亡命してからプラトン・エレーニンに改名)。最近、就任式でエリツィンを拘束した人には1670万ドルを提供すると言っているようだ。

 亡命後、ベレゾフスキーが親しくしている人間の中には、盗聴事件を引き起こして苦境に立っている「メディア王」のルパート・マードック、1980年代に「ジャンク・ボンド」を売りまくり、違法行為が発覚して有罪判決を受けたマイケル・ミルケン、ジョージ・W・ブッシュ元米大統領の弟でS&L(アメリカの住宅金融)の金融スキャンダルで名前が出てきたニール・ブッシュ、そしてジェイコブ・ロスチャイルド卿と息子のナサニエル・ロスチャイルドだ。少なくとも一時期、ベレゾフスキーがイスラエルの市民権を持っていたことも忘れてはならない。

 おそらく、当初のプーチン人気の源泉は、オリガークたちの天下を終わらせたことにある。ベレゾフスキーはイギリスに逃亡、何人かはイスラエルへ逃げている。自分の力を過信、クレムリンを支配し続けようとしたミハイル・ホドルコフスキーは逮捕された。

 ホドルコフスキーは西側の資金を使って巨大石油企業のユーコスを支配していた。ソ連が消滅する前、コムソモール(全ソ連邦レーニン共産主義青年同盟)の指導者だった時代にKGBの人脈を使い、ロシアの若い女性を西側の金持ちに売り飛ばしていた疑いがホドルコフスキーにはあるのだが、その時に西側の金持ちとコネクションができたとも言われている。ソ連消滅後に創設したメナテプ銀行の腐敗ぶりは有名。この銀行を使ってユーコスを買収し、中小の石油会社を呑み込んでいったわけだ。こんな人物も西側メディアの手にかかると民主化の英雄になってしまう。

 それはともかく、今年3月4日に実施された大統領選挙ではプーチンが63.60%を獲得して勝利した。選挙に不正があったと声高に叫ぶ人たちもいるが、日本やアメリカに比べて選挙は透明性が高く、大勢を変えるような不正はなかったようだ。だからこそ「西側」を含む反プーチン勢力は細かい点を問題にするしかない。露骨な投票妨害や投票の不正、最近ではコンピュータでの操作が指摘されているアメリカより、はるかに公正だ。

 ちなみに、第2位だったのは共産党のゲンナジー・ジュガーノフで17.18%、第3位は実業家のミハイル・プロホロフで7.98%、第4位は自由民主党のウラジーミル・ジリノフスキーで6.22%、第5位は公正ロシアのセルゲイ・ミロノフだった。プーチンの人気が落ちてきてのは、おそらく、政権を運営する上で庶民でなくクレムリンの配下に入った富豪と手を組んだことが大きい。

 それでも「革命」が起こるような状況ではない。何かがあるとしたら、外からの働きかけだ。実際、抗議活動は欧米の支配層が仕掛けている。

 1月14日にマイケル・マクフォールがアメリカ大使としてモスクワに到着したのだが、その3日後にはロシアの反プーチン/親アメリカ(親ウォール街)派のリーダーがアメリカ大使館を訪れている「戦略31」のボリス・ネムツォフとイーブゲニヤ・チリコーワ、「モスクワ・ヘルシンキ・グループ」のレフ・ポノマレフ、選挙監視グループ「GOLOS」のリリヤ・シバノーワらだ。

 戦略31はCIAの資金を流すパイプ役になっているNEDから、モスクワ・ヘルシンキ・グループはNEDのほか、フォード財団、国際的な投機家であるジョージ・ソロス系のオープン・ソサエティ、そしてUSAID(米国国際開発庁)から、またGOLOSもやはりNEDから資金を得ている。ポーランドの「連帯」、グルジアの「バラ革命」、ウクライナの「オレンジ革命」、いずれもアメリカが黒幕。バラ革命やオレンジ革命ではオリガークが多額の資金を出していた。欧米は中東/北アフリカでも似たことをしているが、同じ手法が何度も通用するかどうかは不明だ。





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最終更新日  2012.05.08 12:15:52