2013.11.25

イスラエルとサウジアラビアの攻撃を跳ね返し、イランの核問題で米露中英仏独とイランが合意

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 イランの核問題についてジュネーブで協議していた「P5+1」(アメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランスの国連安保理事会の常任理事国にドイツを加えた6カ国)とイランは11月24日、合意に達したという。イスラエル/シオニストの資金力とロビー活動、サウジアラビアの石油マネーでも潰すことはできず、一旦は合意を潰したフランスも今回は素早く合意の事実を公表している。

 前回、フランスが合意寸前だった協議を壊した理由はイスラエルからの圧力だった。ベンヤミン・ネタニヤフ首相の友人で、フランスにおけるイスラエルの代弁者でもあるメイヤー・ハビブ議員がローレン・ファビウス外相に電話、イランに対して強い姿勢を示さなければ、イスラエルはイランを攻撃すると伝えたことが理由だという。

 しかし、バラク・オバマ米大統領はバレリー・ジャレットをイランへ派遣して秘密裏に話し合いを進めていたようで、フランスの動きはアメリカ政府の努力を無にしかねないものだった。17日午後にフランスのフランソワ・オランド大統領とファビウス外相がイスラエルを訪問したが、そうした事情を説明した可能性がある。

 本ブログでは何度も書いていることだが、ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官によると、1991年にポール・ウォルフォウィッツ国防次官はシリア、イラン、イラクを殲滅すると話していたという。湾岸戦争(イラクへの先制攻撃)でジョージ・H・W・ブッシュ大統領がサダム・フセインを排除しなかったことへの不満から出た言葉だ。

 この当時、ソ連は消滅寸前で中東の問題に介入する余裕はなかったのだが、ネオコンは「西側」が軍事行動を起こしてもソ連/ロシアは動かないと主張するようになり、外交を捨て、軍事力で世界を制圧しようという姿勢を示しはじめる。ネオコン系のシンクタンクPNACが2000年に発表した報告書「米国防の再構築」も、そうした立場から書かれている。

 イスラエルとサウジアラビアがイランを敵視する理由はいくつか考えられる。中東/北アフリカにおける主導権争い、大イスラエル構想、エネルギー問題などだ。

 例えば、イランの石油や天然ガスをイラク、シリア、レバノン、そして地中海を経由してヨーロッパへ運ぶパイプラインを建設することで合意したとイランでは報道されているが、これはバクー油田からグルジアのトビリシを経由してトルコのジェイハンにつながるパイプラインにとって脅威になる。イランの天然ガスをパキスタンやインドへ運ぶパイプラインでタンカーが使われなくなると、保険を使って影響力を行使しているイギリスにとっては好ましくない。イラクとシリアとの間にあったクルクーク・バニアス・パイプラインは2003年にアメリカ軍が破壊してしまった。

 また、地中海の東側に膨大な量の天然ガスや石油が存在していることも明らかにされている。USGS(アメリカ地質調査所)の推定によると、エジプトからギリシャにかけての海域には9兆8000億立方メートルの天然ガス、そして34億バーレルの原油が眠っている。ガザ地区、シリア、レバノンなどを制圧することで、イスラエルはこの天然ガスを支配しようとしている可能性が大きい。

 こうした思惑からイスラエルやサウジアラビアは軍事力や破壊工作を使っている。イギリスやフランス、アメリカではネオコンも同じ姿勢を見せていたが、状況が変わったのは主戦場がシリアへ移動してから。

 アル・カイダとの関係も露見、サウジアラビアが化学兵器を使っている疑いも濃厚になったことも大きいのだが、ロシアの強硬姿勢も無視できない。アメリカ、イギリス、フランス、イスラエル、トルコなどが軍事力を前面に出すとロシアは対抗して艦船を地中海へ派遣、そこに中国も加わった。

 ネオコンは話し合いのできる相手ではない。リビアでの失敗を教訓にして、外交だけでなく、力には力で対抗する方針にロシアは転換、オバマ政権はロシアとの戦争も視野に入れざるをえなくなる。イスラエル/ネオコンに引きずられるのは危険だと認識したはずで、その影響は東アジアでも出始めている。





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最終更新日  2013.11.25 14:32:59