2015.09.16

米国の好戦派に約束した戦争法案を安倍政権は成立させるだろうが、下地を作ったのはマスコミ

カテゴリ:カテゴリ未分類
 安倍晋三政権は「安全保障関連法案」を今週中に参議院で成立させるつもりだという。すでにアメリカの好戦派へ約束した期日は過ぎているわけで、安倍首相も必死だろう。本ブログでは何度も書いているように、この法案を生み出した大本は1992年にアメリカ国防総省の内部で作成されたDPGの草案。アメリカを「唯一の超大国」と位置づけ、世界制覇を目指すという宣言で、「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。

 前にも書いたことだが、この法案の山場は2006年から10年6月にかけて、つまり民主党を率いることになると見られていた小沢一郎に対してマスコミと東京地検特捜部が冤罪で攻撃を開始してから鳩山由紀夫が首相の座を降りるまでだ。安保法案(戦争法案)にしろ、特定秘密保護法にしろ、TPPにしろ、日米の支配層はその段階で見通しが立ち、一息ついただろう。

 首相が菅直人に交代してから3カ月後、尖閣諸島の付近で操業していた中国の漁船を海上保安庁が「日中漁業協定」を無視する形で取り締まり、その際に漁船が巡視船に衝突してきたとして船長を逮捕する。この海上保安庁は国土交通相の外局で、事件当時の国土交通大臣は前原誠司。事件の直後、中国との交渉を担当する外務大臣に就任している。漁業協定に従うなら、日本と中国は自国の漁船を取締り、相手国漁船の問題は外交ルートでの注意喚起を行うことになっていると自民党の河野太郎議員は指摘している。

 アメリカ政府が鳩山首相を嫌っていたことはWikiLeaksが公表した文書でも明らか。中国との友好関係を発展させようとする姿勢が嫌われた大きな理由だ。鳩山首相が東シナ海を「友愛の海」にしようと提案、それに対して胡錦濤主席はその海域を平和、友好、協力の海にしようと応じたと報告されている。アメリカの支配層にとって許しがたいことだ。

 ヘリテージ財団アジア研究所北東アジア上席研究員のブルース・クリングナーは2012年11月14日に発行されたレポートの中で「日本国民のあいだに中国への懸念が広がりつつあるという状況」を歓迎しているが、これはアメリカ好戦派全体の気持ちだろう。こうした状況を作り上げる上でマスコミが果たした役割は大きい。ちなみにヘリテージ財団は現在、ネオコンが拠点にしている団体のひとつだ。

 中国との経済関係が緊密化している日本にとって日中関係の悪化は避けねばならないのだが、アメリカ支配層に服従することで自らの地位と収入を守ろうとする日本の「エリート」はアメリカの命令に従うだけ。「長い物には巻かれろ」、「勝てば官軍」といったところだろう。そこに「思考」は介在せず、情報も軽視する。ただ「強うそうな人間」に従うだけだ。中国との関係悪化でビジネス面に深刻な悪影響が出ることは避けられないが、その代償として提示されているのが武器輸出原則の緩和による戦争ビジネスへの参入なのかもしれない。

 2012年に民主党の野田佳彦政権は自民党や公明党と手を組み、消費税の税率を引き上げる法案を可決、同年11月に衆議院を解散して惨敗、自民党と公明党で衆議院の3分の2を占める事態になった。2013年に行われた参議院選挙でも自民党が改選121議席の過半数を上回る65議席を獲得、「安保関連法案」を成立させる準備はできた。こうした流れを作る上でマスコミは重要な役割を果たしている。

 この段階でアメリカの支配層は「王手」どころか「詰み」だと認識しただろう。マスコミの一部が安倍政権を批判し始めたのはそうした段階になってからという印象だ。安心して「アリバイ工作」を始めたように見えるが、最終局面で予想外に反対の声が高まっている。学生がこれほど反対の意思を示すとは思っていなかったかもしれない。傲慢さを隠そうとしない安倍政権が詰めを間違ったとも言えるだろうが、保身のためには力尽くでも法案と通そうとするはずで、今は法案成立後にどうするかを考える段階だ。

 ところで、イギリスで9月12日に行われた労働党の党首選で党幹部の妨害工作やメディアからの攻撃にもかかわらず、労働党を本来の姿に戻そうと考えているジェレミー・コルビンが勝った。投票したい政治家がいないことから離れていた人びとがコルビンの登場を見て戻ってきたと考えられている。





TWITTER

最終更新日  2015.09.17 00:08:58