2810203 ランダム
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confuoco Dalnara

ほえる犬は噛まない

A Dog of Flanders
映画『ほえる犬は噛まない』を観て。
一見市民の日常生活のスケッチのよう。
それは韓国人ならもう見慣れていて何とも思わないような、でも外国には敢えて見せないだろうというような
韓国社会の光と影、影の部分を遠景に留めずにきっちりおもしろく描いている。
韓国人の持つ犬に対するambivalence(愛玩用と補身用)な感情を表現しながら欧米の映画祭によく出品したなぁ、とその蛮勇に感服。
犬は安全に管理されています、という冒頭のおことわり文が皮肉っぽくていい。

愛玩用と補身用という犬の価値のambivalenceの他にも対称形の発見。
どちらかといえば女性は正義感にあふれ不言実行で
男はいいかげんに情けなく生きているかんじ。
そんな男たちが出世したり、何のとがめも受けなかった一方で
女たちは職を失う。
心が正しくって不言実行でカッコよくても社会では負け犬になってしまう女性たち。
男と女の対照的な浮沈から理不尽に思える現代社会が浮かび上がる。

警備員の「ボイラー金氏」の話、即興にしてはディテールに凝った長い話で
不言実行より有言不実行な人が勝ちそうな勢いだった。

おばあちゃんはアガ(ワンちゃん)が死んでショックで倒れ
一方小学生の女の子はいなくなった犬のことはもう忘れたのか、新しい犬とうまくやっているよう。
孤独と犬にそそぐ愛情はこんなふうに反比例するのだろうか。

市民の悪意や罪のスケッチ。
その中で黄色は正義の味方の色。
でもユンジュの身に付ける黄色は半透明で、ヒョンナムの黄色いパーカーほどくっきりしていない。
正真正銘の正義ではない、少々の悪意を宿したどっちつかずの内面、二重性を象徴しているよう。
赤は敵の色を象徴しているみたい。キャップにTシャツ、蓋付きのバケツ。韓国語で赤も敵も同じ発音だし...。

ヒョンナムが黄色いパーカーをかぶっているの、
黄色いマッチ棒か英会話番組に出てくるコーパス君みたいでおもしろい。

エンディングでジャズにアレンジされたフランダースの犬の曲、
Bassがぶんぶん言っていたのが突然
メタル調にShoutするフランダースの犬の曲に変わる。
音楽の変調が韓国社会のambivalenceに再度言及しているようにも聞こえた。
あるいは、一見静かな市民生活のスケッチには悪意と罪が内包され、
平和のなかに破綻が予感されているようにも...聞こえた。

Barking dogs never bite.
映画『ほえる犬は噛まない』印象あれこれ...

攻撃的なようで深いところにそっけない優しさがあって。
彼女(ウンシル)はけっこう好きだ。自分にちょっと似ているからかも。泣き言を言うよりちょっと強気で攻撃的だから。
同窓会に行くと言う旦那に「胡桃ぜんぶ剥いてから行って」とキメて、
「100個もあるよ」と泣き言を言う旦那には
「100個なんて大げさね、せいぜい50個でしょ」とぴしゃりと退けながら
「じゃぁこのグラスいっぱい剥いたら行っていいわ」と譲歩してみせる。
なんか可愛い。で、旦那が背を向けて胡桃を割り出すと
グラスの中から剥かれた胡桃をそっと取り出して食べている。
「アキレスと亀」のパラドックスみたいに、胡桃が永遠にグラスいっぱいにならないのでは?と一瞬思っちゃった。

スーパーまで戻るなんて、100メートルはある!とまたまた泣きそうな旦那。
妻のウンシルのほうが数字に強いのかな。せいぜい50メートルよ、と言い放ち
賭けに負けたらヌナ(お姉さん)と呼びなさいよ、とクールに勝負する。

おばあさんの遺言が、もしや財産、あわや不動産相続?!と思いきや
手作り干し大根鍋一杯で、ちょっと拍子抜け。
でも、そのささやかな遺産のおかげで
物語は大仰な道に行かずにまだまだ続いたのだった。
この力の抜けかげんがドラマを非現実的なものにしてしまわずに
地に足のついたブラック・ユーモアにしているような気もする。

ヒョンナムとチャンミの信頼しあってる姿も好き。
お酒飲んで暴れたり踊ったり、地下鉄の中で肩枕して寝ているヒョンナムとチャンミは二人で
1つの戦利品を持っていた。
正義感にあふれて疾走するところも爽やかでひたむきで...。
チャンミがヒョンナムを助けるところも最高!
秋の黄葉のなかのふたりは愛らしかった。


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