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confuoco Dalnara

miscellenia4

Being Julia
映画All About Eve(『イヴのすべて』)を思い出す。
ベテラン女優と新人女優のふたり舞台。

舞台が虚構になったり現実になったり
運命の輪のように転回していく。
舞台裏がリアルなのか、舞台が真実なのか...
どちらにしても率直で潔いジュリアは素敵だった。
恋に生きて、恋にくすむのではなく
恋で舞台で輝く姿が...
http://www.eigaseikatu.com/tb/tb.php?movie_id=16677

Smoke Gets in Your Eyesがあまりさびしく聴こえないのは舞台が劇場だから?

『イヴのすべて』の
ベティ・デイヴィスを歌った
ハスキーなKim CarnesのBette Davis Eyesを思い出す(一時期よく聴いていたから)。

Her hair was Harlow gold,
Her lips a sweet surprise,
Her hands are never cold,
She's got Bette Davis Eyes.

She'll turn her music on,
you won't have to think twice,
She's pure as New York snow,
She's got Bette Davis Eyes.

And she'll tease you,
She'll unease you,
All the better just to please you,
She's precocious,
and she knows just what it takes to make a pro blush,
She's got Greta Garbo's stand-off sighs
And she's got Bette Davis Eyes.

She'll let you take her home,
To wet her appetite,
She'll lay you on her throne,
She's got Bette Davis Eyes.

She'll take a tumble on you,
Roll you like you were dice,
Until you come unglued,
She's got Bette Davis Eyes.

She'll expose you,
when she snows you
Off your feet with the crumbs she throws you
She's ferocious,
and she knows just what it takes to make a pro blush,
All the boys think she's a spy,
She's got Bette Davis Eyes.

And she'll tease you,
She'll unease you,
All the better just to please you,
She's ferocious
and she knows just what it takes to make a pro blush,
All the boys think she's a spy,
And she's got Bette Davis Eyes. Yeah.

She'll unease you,
Just to please you.


『華麗なる恋の舞台で 』を観て。



2 Filhos de Francisco
2 Filhos de Francisco - A Historia de Zeze di Camargo & Luciano
『フランシスコの2人の息子』を観て。

ただ音楽界で成功する、という物語ではなく
子どもを育てることに成功する父と母がとても素晴らしく心に残る。
父と母の考えと立場は全く正反対だけれど
子どもへの愛情はふたりともあふれるばかり。

歌の詞がすばらしい。
時に心が震えるような、熱く純粋な詞。
そんなSertanejoの曲がヒットする国の人々の心も熱く純粋なのかも...
(音楽監修:カエターノ・ヴェローゾ)

Popでもないふるさとの歌い、SertanejoからアパラチアのSongcatcherを思い出した。

別の大陸のShowbiz界を描いたDreamgirlsと異なる趣にも思いをめぐらせていた。




芒種
芒種は二十四節気の1つで6月6日頃。芒を持った植物(イネ科など)の種を蒔く季節。
黄河文明ではこの頃粟を植えたとか。
映画『キムチを売る女』の原題が『芒種』。

中国朝鮮族が主人公。
中国の映画、という気がした。
leanなパンとrichなパンという分類があるけれど、
淡々としたシーンの積み上げはleanな感じがする。
朝鮮族が話す朝鮮語は、イントネーションが北とも南ともちがっていて...
少し遠くから聞こえる(遠い)気がした。

息子に朝鮮語をおしえることを放棄した時
諦念と絶望が感じられたが
それが息子の将来への諦念なのか、もっと近い未来への絶望なのか
自分自身、ひいては朝鮮族全体への絶望なのかわからない。
胸が痛む。

監督の話に反して
希望はあまり感じられなかった。
もし希望があるとしたら、ただ季節への希望。芒種という季節への...。
すべてをなくした主人公の絶望が
種を蒔く季節の太陽に照らされ
絶望が芒種の希望に反転するのかどうか。
画面に映る高い空と乾いた土を観ながら思った。

恋でも愛でもないような...
外圧にあっさり屈する男の言葉は『覇王別姫』を思い出させる。
菊仙が小樓に否定された時
蝶衣が小樓に否定された時。
(恋や愛の描き方からやはり中国の映画という気がする)
保身のために切り捨てることができる恋もあるかもしれないけれど
愛ではない。
価値を相対化できるのは恋でも愛でもない。


Shocking Family in Planetarium
去年の夏観たドキュメンタリー『ショッキング・ファミリー』の監督が来日したのでシンポジウムに。
多様性、
というのがひとつの社会の中の多様性や多方向性だけでなく
ひとつの家族の中の多方向性・多様性、
時間軸の中での多様性も含まれ
ビッグ・バン直前の小宇宙が描かれているようでおもしろかった。

息子は紳士に、娘は賢く育てれば
彼らが素敵な家族を作って
こういった問題を解決できるかな...。

プラネタリウムの丸いドームの壁面に映画を映しているのが楽しい。




God of Speed:The World's Fastest Indian
『世界最速のインディアン』
塩の平原でインディアンを駆るのはdown underから来る63歳。
あざらしみたいな流線型のマシンの速いこと!
やわらかい心と頭と熱いハートで走りぬける姿がとてもすてき。


Wild Animals
もし公開当時に観ることができていたら...
今とは違う感慨を抱いたと思うけれど...

『おばあちゃんの家』を思い出した。
懐が深くて情が厚くて尽くし甘やかす側と
尽くされてもなかなかそのありがたみがわからず
さらにわがままを言って自分の欲望を実現しようとする側。

半島に特徴的なのかどうか
大らかで甘い、情が深くて愛情たっぷりな甘やかしすぎる人たちと
甘やかされスポイルされる人たち。
そしてその典型的な人たちが関わっていく姿が興味深かった。

Give and Takeで世界は回っていくはずなのに
海外に出たWild Animals(チョンヘとホンサン)は
異国の地パリではgive、そしてgive
takeすることもほとんどなく
すべてtaken away、そして血を流すしかなかったのが象徴的な気がする。
そこは彼らの土地ではなかったから最後はtaken awayになってしまうのか...

チョンヘ(青い海)とホンサン(紅い山)は
太極旗の陰陽を表す青と赤の色、一対のものだが
青も赤もコルシカの双子の運命のように異国の地で斃れるしかないというのが...
斃れたときは同じ色の血を流すだけ、と象徴しているようなやるせなさ。

キム・ギドク監督は廉価版『JSA』と話していた。そんな気もする。
原題は『野生動物保護区域』。


The Unforgiven
ユン・ジョンビン監督『許されざるもの』を観て。

軍の規律の中でも
規律を規律そのままに適用し適応できる場合と
適度にゆるくカスタマイズして適用し適応させる場合などがあり
適用される人間の側も
疑問を抱かずに長いものには巻かれてしまう適応できるタイプと
ゆるやかな箍の中でだけ適応できるタイプ、
理想主義で規律も秩序も序列もすべてを構築しなおしたいタイプといてその三者三様が描かれる。

問題なのはジフン。
義務と従属が減ったのをよいことに
そこに甘んじている感がある(昨日の映画も思い出す)。
理想と現実のせめぎあいの中
理想と現実を天秤にかけ、
現実にそぐわない理想は現実に歩み寄らせ、
人を見て(相手を見て)理想的な体系を「現実的に」適用する術を若い兵はまだ知らない。

相手を間違ったとしかいいようがない。
とは言え20代の社会経験のない若者が
上下関係と権力支配が渦巻く軍隊生活に突然投げ込まれて
先輩として指導する立場になった時
相手を見極めて秩序と序列と規律の手綱を締めたりゆるめたりできるものだろうか。
人間の脆弱性がもたらすシステム(秩序)の落とし穴に気づけるものだろうか。
一律に厳しくし、悪習と慣習は引き継ぐ胡散臭いやり方に背を向けたくても
塀の中から外には出られない...
しかし厳しい規律と秩序と序列は一律にひとしなみに人間の弱さ、とシステムの弱さを隠蔽するためのものでもあると気づく(気づかされる映画)。
理想を抱きすぎて軍に適応できない人間も
まだまだ弱くて軍に適応できない人間も
どんなタイプも概ね包含できるようなシステムを作り、
運用するためにヒエラルキーと軍律を装備して...
軍の秩序という隠れ蓑の中で軍というシステムの持つ脆弱性、そして人間の弱さを隠蔽しつつ
表面的に平均化してどうにかシステムを稼動させてしまう...
そんな映し絵も垣間見えて興味深い。

軍隊というシステムの中の規律ある生活は
社会生活の中にも見ることができるし
兵役についている男性だけの問題ではなく
社会が世界が抱えている普遍的な問題が炙り出される主題だった。
限定された時間や空間での人間同士のやり取り、適応・不適応は
実は地球上どこもこんなはず。
ただ社会経験のない若者が軍隊という擬似社会で厳格なヒエラルキーをともなった
「社会生活」を余儀なくされるのは...その弱さの帰結を考えるとあまりに痛ましい。

人間の作ったもの、国家も社会も軍隊もシステムも
おしなべて作った人間、使う・運用する人間側次第という、
世界に偏在するあらゆるシステムの持つ壮大な問題(脆弱性)が透けて見える。
システム対人間についての、監督の考察にも思える。
登場人物も多くない、個人的・私小説的な映画のようにも見えるが...
どうして普遍的な「システム不全」(この場合のシステムは国家や社会、
軍隊、家族、経済、機械的システムなどすべてを包括する)を描き出している。
そして人間の無力さと、理想にぶつかって斃れた魂を感じる。

プラトンの「国家」など読み返したくなる...

ジフンは監督が演じていた。



Paris, je t'aime
パントマイムのTour Eiffel『ベルヴィル・ランデブー』の監督のSylvain Chomet。『天井桟敷の人々』でパントマイムといえばパリ、なのでワクワク。男の子のランドセルが大きすぎて...心配になる。

今度は嗅覚でなく聴覚のTom TykwerもFaubourg Saint-Denisの愛らしい恋人たちを描く。

Gerard DepardieuQuartier LatinでBen Gazzaraと向かい合うのは、My HeroでMy HeroineのGena Rowlands。John CassavetesのGloriaのころからかっこよさは変わらない。

諏訪敦彦監督のPlace des Victoiresが温かい感じがしてよかった。
アンデルセンの「墓の中の子ども」がベースの作品(子どものころ読んでいた岩波のアンデルセンが思い浮かぶ)。
カウボーイといえばGus Van Santだが...諏訪監督の作品に素敵なカウボーイ、Willem Dafoe登場。

Gus Van SantのLe Maraisに出てくるStaedtlerの鉛筆、学生の時つかっていたので目にとまった。(フランスでもドイツの鉛筆、製図用にはやはりStaedtler?)

Christopher Doyle(杜可風)がChina Townを描く。

PigalleではBob HoskinsとFanny Ardantの凹凸?コンビ。

Bastilleといえばオペラ座だが...「退屈」と言いながらムラカミを朗読するシーンにくすり。

いろいろな恋人たちが登場したけれど、Wes CravenのPere-Lachaise、墓地で散策する恋人と、仲直りさせる幽霊もユニークだった。

Ethan & Joel Coenはなんとなく韓国の386世代っぽい匂いがした...
Alfonso Cuaronのオチにはちょっと驚いた。

Montmartre、Quais de Seine、Le Marais、Tuileries、Loin du 16eme、Porte de Choisy、Bastille、Place des Victoires、Tour Eiffel、Parc Monceau、Quartier des Enfants Rouges、Place des Fetes、Pigalle、Quartier de la Madeleine、Pere-Lachaise、Faubourg Saint-Denis、Quartier Latin、14eme Arrondissement
全部で18のパリの物語。

イスラム系、中国系、アフリカ系、南米系(東欧系?)...とたくさんの顔、移民が出てくるのが興味深い。
もちろん旅行者もいる。14eme ArrondissementのAlexander PayneのSidewaysを観たのだった。

『ソウル、サランヘヨ(Seoul, I love you)』を観てみたい...
Twentidentity(異共)もソウルのいろいろな場所を描いていたはず...

『パリ、ジュテーム』を観て。


The Queen
感情と義務の折り合い...
自分の意志を伝えてみたい、という冒頭の場面の女王の言葉が
リフレインのように最後にまた聞こえて来る気がした。
女王は、王室はtabula rasa(白い板)のようなところがある。

Should I follow my passion or my heart?
One of my friends wrote to me last time,
well, I answered, why don't you follow your heart and soul!

女王は自分の心のおもむくままに発言し行動することを
時に自制しているようだった。
制限された自己表現の中で
相手を(特にブレア首相を)魅了する、
精神的な、静謐な泉のような魅力と
その魅力を理解するものとの静かな交流を興味深く観た。

あるKorean Hip Hopの歌詞で「人生はまるで1巻の本」という詞があったが
女王の人生も1巻の本のよう。
ただ、その本のページにはうす紙がのっていて文字は読みにくい。
あるいはあぶり出しでしかその文字は読めない...
彼女の良さはわかりやすくないから。なかなか伝わらないから。
遠くから見るとただぼんやりと真っ白な本のように見えてしまうかもしれない、tabula rasaのように。

王室のシーンは35mm、ブレア首相の登場するシーンは16mmで撮りコントラストを持たせた、というのが興味深い。
2作続けてStephen Frears監督による
Old Roseのような英国女性の魅力を映画で知った。

Sunshine & Stardust

宇宙船Icarus1にだれもいない、というセリフが
'No Life'で
どきっとした。
Icarus1でライトを動かすたびに
画面にだれかの顔が大写しになる、
ほんの0.3秒くらいの間だけsubliminal広告のように。
後でそれが誰かわかるのだが...

宇宙船の名がIcarusで、
太陽に向かって行く設定からして象徴的。
神性、神秘性に近づこうとする人間、結局近づけない人間の姿。
神性と人間の対比と峻別がある。

最後のシーンでも、
SunshineとStardustの対比、宇宙の塵になってしまう人間の微小さと
一方で宇宙・太陽・自然の神秘性を感じる。
Sydneyが厚い雪氷におおわれてしまっているのに胸を衝かれた。

『2001年宇宙の旅』へのHomageのようだが、
共通しているのは
宇宙の持つ哲学的なinspiration、霊力がもたらす永遠の主題の存在にも思い至る。
宇宙哲学。

好きな監督Danny Boyle、好きな俳優Cillian Murphyが出ている映画。
『サンシャイン2057』を観て。

subliminal/supraliminal、face neuron


香港電影金像奬
「香港電影金像奬で振り返る2006年の香港映画界」聴講。
中国映画界と香港映画界のリンクについて聞きたかったのだが
そのテーマについてはあまり語られず残念。

仕事の調査で中国と香港は政治はいっしょになったが
経済上はまだ分離している、と聞いたので
映画界についてもそのあたりを確認したかった。

香港の映画製作数が
韓国・日本とくらべるとかなり少ないのに驚く。台湾の映画製作数も減っているし...



double helix
ビビムパッ(ビビンパ、韓国風まぜごはん)味の映画。
過去と現在がフラッシュバックで折り重なって行き
折り重なった歴史が血や肉となる過程を目撃している気持ちになる。
この、過去と現在が織り成す複雑な味、
歴史が綾なすビビムパッのように混じりあった味は
来し方のバックグラウンドが違う場合は特に(初めて見聞することも多いだろうから)
何度も咀嚼しないと。歴史を読み直し、自分の歴史に重ねる作業になるかもしれない。

ケンカのシーンではじまり
ケンカのシーンで終わるような円環構造は前作と同じだけれど
社会に出てからの今作のほうが、
現実のリアルな壁を感じさせてだんぜんおもしろかった。

学生同士の、まだ社会に対する義務や責任が少ないもの同士の朝鮮人と日本人の交流より
さらに一歩踏み込んで、社会や家族に対して義務や責任のある社会人同士の
朝鮮人と日本人の交流(アンソン一家と佐藤)がリアリティを増している。

そして前作よりちょっと梁石日の風味が加わり、金塊をめぐる活劇が入って
より、生きること、生きていくことに必死な人間とその生の切実さが伝わる。

そう、過去と現在が交互に描かれ
二重らせん構造(double helix)のようにクライマックスに収束する展開が
遺伝子、DNAの二重らせん構造、そして血を意識させる。

エンディングの歌は3世代の声によって歌われる。
特に在日2世と日本人の間に生まれた子と、
在日と友情を結んだ日本人とで歌って
地域社会に根を下ろし、根を広げている未来を描いているようで象徴的だった。
米倉斉加年(子どものころ母から「多毛留」という、半島から来た母と子の話の絵本をもらっていた)や、
宇野重吉(米倉斉加年につながる。紙芝居の話ははじめて知った)という韓国にゆかりのある出演者も興味深かった。

『パッチギ!LOVE&PEACE』を観て。



蟲師
原作を知らずに映画を楽しんだ。ラストがわかりにくかったけれど。
「耳なし芳一」やPeter Greenawayの映画『枕草子(The Pillow Book)』の映像、諾子が思い浮かんだりもした。

撮影場所に釈迦山百済寺があり興味深かった。いつか訪れたい。
表題は石川九楊による。

2001年ころ石川九楊の「一日一書」を読んでいた。
神田のギャラリー白い点には柳のような書を見に行っていた。

一日一書によると自分の誕生日の書は
2000年が嵯峨天皇光定戒牒の「祈」
2001年は清朝李せんの「香」
2002年は黄易の隷書体の「甘」(花祭りの連想からか)。

そしてその偶然に声をあげるほどだったのが
うちの小鳥の誕生日の書が「蝉」だったこと。うちの小鳥は蝉が苦手なのに...!

初蝉、長回しの夢

映画の話から脱線してしまった。
上野で蟲師の原画展も見たので絵と映画の実写映像がまだすこし乖離している。


龍虎門
『かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート』は香港で35年以上愛されているコミック原作の映画。
カンフー映画はストーリー展開がなんとなくみんな似ているけれど
(ジャッキー・チェンの映画や少林寺、Mach!ももしかしたらこのマンガが参考にされている?!)
疾走感と爽快感あふれるアクションは観て楽しかった。

映画に登場する日本料理店の造形、店員のコスチュームなどが興味深い。
21世紀になっているのに映画Blade Runner(1982)以上のあやしさ...Do Androids Dream of Electric Sheep?
韓国ドラマなどでも会談場所などによく日本料理屋(刺身屋など)が登場していて
アジアでの日本文化の受容、日本料理屋の位置づけ(役割)が興味深かった。

King & Queenの龍鳳門もおもしろかった。


夜宴
『グリーン・デスティニー』『王の男』を足して2で割ったような...
映像はきれいだけれど響いてくるものがない。
『王の男』のほうが人生や愛について深く感じ入らせ、考えさせるのでだんぜんおもしろかった。

アクション監督は『グリーン・デスティニー』のユエン・ウーピン。
王(叔父)役のグォ・ヨウは『覇王別姫 さらば、わが愛』の頃とあまり変わらないなぁ。

白い面の人が登場している最初のシーンで
大野一雄、土方巽の舞踏を一瞬思い出して...
『千と千尋の神かくし』のカオナシも思い出した。
あの面の象徴するもの、面は使用後に焼却するのかどうか(神事的な意味ゆえに)知りたい、結末の謎よりも。



Le Heros de la Famille
原題は家族のヒーロー。

親友みたいな父子と、
ふたりの妻とそれぞれの子どもたち。
おじいさんの力、死してなお神秘的な影響力を放つおじいさんが
家族のヒーローに思える。
そして映画の中で、もう大人だけれど少しまるくなって成長した子どもたち。
ちょっと皮肉っぽいユーモアにくすりと笑ってしまう。

女性が自分の家庭を守る時、
娘としての自分の家庭と
自分で巣作りした妻として母としての家庭と
両方守ろうとしる時、彼女たちも家族のヒーローに思える。
映画の中の女性たちは
肩肘張らずに淡々と両方守ろうとしているところが爽やか。

特にGeraldine Pailhasの役が、
頑なになったり、葛藤しながらも
最後には和解に向かい...
舞台の上では別人のような艶やかに歌う姿がかっこよかった。

フランス人同士でも
旧植民地アルジェリアの出身者がフランス出身者の前で
ちょっと卑屈になって、言葉にもその感情を出してしまう姿に胸を衝かれる。
フランス映画の裏道を見た感じもした。
(文学者でアルジェリア生まれの人もいた気がするが、フランス本国ではそんな気持ちになったりしたのだろうか。イギリス人でも旧植民地で生まれ育って本国に帰った時は
壁を感じたりしていたのだろうか)

ミュウミュウを観て
あ、Paris, je t'aimeのパントマイムの人に似ているかも、と思ったけれどちがいました。

邦題は『輝ける女たち』。



Memorias del Subdesarrollo
低開発、という鋭利な言葉だったが
どこか余裕のある...国の現状と将来から距離を置いた余裕から
「開発する」人生を吟味する男の姿が興味深い。

インテリとも異なるが本屋に通い続けるブルジョア、
Dilettante(ディレッタント)、中間層的な新しい人種
とその新しい価値感。

欧州の感覚が
革命・社会主義・ミサイル危機を通り過ぎ(揺らぎ)
外界は変化していっても
内面は低開発を静謐に看破する...批判的精神と冷めた視線の軸はぶれていないようだ。

マルチェロ・マストロヤンニに勝るとも劣らない甘いラテン男が
生き方を吟味し
人生にからまっている蔦のような
人生に欠かせない女性たちに思いを馳せる。

1968年の作品だが
今も世界のどこかにある風景のよう...。
世界の片隅で窓から世界を眺めている...
眺め...とは外と内、現在と過去を同時に観視すること。

原作も読んでみたい、小田実訳。

Tomas Gutierrez Alea監督の『低開発の記憶』を観て。


La Science des Reves:恋愛睡眠のすすめ
Pastaは過去(past)を象徴する、そうして鍋に入れて調理する...
6歳のころから夢と現実が逆になってしまっているStéphane。

この監督Michel Gondryのは
前作のEternal Sunshineも観たのだった。
前作よりもさらに不思議な発明品がたくさん出てくる。

1秒タイム・マシン、ゴールデン・ザ・ポニー・ボーイ(カオス理論=混沌の制御で走る)、
植物版ノアの箱舟、P.S.R.(Parallel Synchronized Randomness)...。

過去や記憶や脳内現象や...
自然科学としての心理学、がどちらも通底している、共通している。
前作のほうがもうちょっと科学的?でも恋愛睡眠の原題は睡眠科学。

そして前作同様Eccentricな同僚たち。
こちらのParisとは異なる趣。

タイトルに誘われて...とちゅうでちょっと眠くなる、前作もそうだった気がする(催眠力のある映画かも)。
夢の中にいるように、たゆたうような、やわらかさがあるのかも。
チョン・ジヒョンの出演したラブ・ストーリーのように(『僕の彼女を紹介します』)
ちょっと不満に思うところもあるけれど
最後はその繊細さに心を打たれてしまう...といった映画。

StéphaneとStéphanieは
AnimaとAnimusのようにはじめから一対、一体という気もした。

今年ミュウミュウ3回目?

sciOfSleep.jpg


The Prestige
"I don't know."がひとつのKey。
この台詞、そしてBordenは19世紀的enigma、ホームズ的謎で解しやすい。

Angierの方は21世紀もしくは22世紀的mystery
クローン(複製)という...

奇術師が新しいmagicを追い求めるobsessionが
いつしか人生を取り返したいobsessionに化学変化していくような印象を受ける。

能の序破急とならぶような
pledge、turn、prestigeの3つからなるmagicの構成も興味深い。
(西欧の文化では三位一体という概念から「3」がつかわれるのだろうか。
では東洋の「3」はどこから...)

Un Couple Parfait
邦題は『不完全なふたり』。
原題は「完全なカップル」なのに...

なぜかと言えば...Bitter's Endだから?
(「生活の発見」の邦題が『気まぐれな唇』だったし)

心の、心情のゆらぎが興味深い。
歩み寄ったり離れたり
心とはうらはらな言葉が口をついて出てしまったり...
思って来た15年を一言にまとめるのはむずかしい。
心と言葉が乖離してしまっている感じ。

夏なのにちょっと秋色がかった、光の強くない映画。Caroline Champetierのカメラが秀逸。
15年目だからいぶし銀のような夏、
鋭角をつくらずにゆるく射す太陽。

ロダンとカミーユ・クローデルの話が何度も出てくるので
もしかしたら...と思ったけれど結末は違っていた。

恋人とはちがう絆。
波のような恋人との絆とは異なる
ちいさな流れをつくっているようなふたりのつながり。

2006年のParis, je t'aimeから2005年のこの作品まで諏訪敦彦監督の作品を過去にさかのぼっているみたい。


魔笛
MIKAの声でも聴いてみたい魔笛をケネス・ブラナーが映画化した。

途中で善と悪が入れ替わる構成が
相対的な価値観・世界観の変化や歩み寄り、人間の進化を象徴しているようで興味深い。矛盾しているような構成が逆に現実的。

ザラストロ(日本ではゾロアスター)は最初に善悪二元論を唱えたという。ニーチェによれば道徳についての経験を最も積んだザラストロはおそらく善悪二元論の矛盾と限界を最も知るはず...。

ニーチェのAlso sprach Zarathustraツァラトゥストラとザラストロ(イラン語でザラスシュトラ、ドイツ読みでツァラトゥストラ)は名前だけ共通なのかなぁ。

タミーノとパミーナ、パパゲーノとパパゲーナ、
animaとanimusのような対になる名前も、二元論を想起させて興味深い。

詞はドイツ語でなく英語になっている。モーツァルトを英語で聴いて最初は違和感があったけれど後からなじんできた気がする...。


私たちの幸せな時間
寄り添うことについて。
塀の中と外。
体を寄り添わせることができなくても
心を寄り添わせることが、魂で互いに寄り添うことが出来る...
そんなことを感じた映画だった。

ヌナ(お姉さん)と言う時の
ユンスが素直にだれかによりかかっている姿がよかった。
人はそうして愛し愛され生きるもの。昔そうだったらきっと思い出す。

宗教についてもあらためて考える。
人が神を必要とする時、という状況、
心の旅、こころの道程の洞察に少し近づいた気がした。
絶望から転回するにはほんの少し、もう少し自分の力を出して
ユジョンの力と合わせればできる、と伝えている気がする。
希望への扉をひらいたのはユジョンか、背中を押したのは神か
でも意志を持ったのはユンス。三人の力。

海岸の写真、透明で素直な心をあらわしているよう。

塀の中で耳に霜焼けができているユンスの姿、ディテールがリアルだった。

『パイラン』『力道山』もそうだけれど...
ソン・ヘソン監督の映画には
心の絆、内なる結びつきでぐっとくるディテールがある。


Music 2 Movie, and Radio

クンタクンタ
ドクンドンドクンドクンドドンドクン
というプンムル(風物)などのカラク(半島のリズムや旋律)を思い出す、シン・ジュンヒョンの美人という歌。

映画Radio Starの中でアン・ソンギがこの歌をよく口ずさむ。
Rockだけれど、HeavyでもHardでもないノリ(遊び)のある響。
CKBが777でカバーしているのも聴いてみる。
映画Oasisでもソル・ギョングが口ずさんでいたという。

目をとじると
ノラボセの声が聴こえて、マダン(広場)やパン(場)の見えるDeep Koreaな音の風景に入っていくよう。

Video Killed the Radio Starが映画の中でつかわれているが
QueenのRadio Ga Gaがもっとぴったりくる気がしていた。
Radioを愛している!

I'd sit alone and watch your light
My only friend through teenage nights
And everything I had to know
I heard it on my radio
Radio

You gave them all those old time stars
Through wars of worlds -- invaded by Mars
You made 'em laugh -- you made 'em cry
You made us feel like we could fly

So don't become some background noise
A backdrop for the girls and boys
Who just don't know or just don't care
And just complain when you're not there
You had your time, you had the power
You've yet to have your finest hour
Radio

All we hear is Radio ga ga
Radio goo goo
Radio ga ga
All we hear is Radio ga ga
Radio blah blah
Radio what's new?
Radio, someone still loves you!



そして映画Holidayの中ではThe Bee Geesの同名の曲が切なかった。

music in movies


陸と海と(青燕より)
ふたたび『青燕』を観て
陸軍はもう海軍の言うことなど聞いてはいない、といった時局、戦局を描写する内容の科白が重く後をひいた。あの戦争がリアルに思い出されたから。
日本の多くの組織には平家・海軍・国際派の流れと、源氏・陸軍・国内派の流れがあると言うが...陸と海と、の対比だけでその暗い時代が浮かび上がる。
ほかの国の陸軍と海軍はどのような均衡だったのだろうか。

そして、獲得と喪失『浮気な家族』の監督の次回作の構想にExcitedする。



あすらい かすかに
Korean Independent Cinema 2007で
キム・サムリョクの『かすかに』を観る。
原題はアスライ。

主人公が偶然インディ映画のプロデューサーになって
いろいろなことに巻き込まれていく。
父や恋人、という身近な人たちとの関わりと描き方もなかなか興味深い。

監督が好きな映画へのオマージュでもあるのだろうか、
『殺人の追憶』『家族の誕生』『結婚は狂気の沙汰だ』...が
ポスターなどで登場しているのが楽しい。

クレジットが流れはじめ
エンディングの曲の詞で、映像(映画)が終わった後の
映画の物語の行く末を示唆するのはちょっと香港映画を思い出させる。

Korean Independent Cinemaに来るのも今年で4年目...

2005年

2005年

2006年



Alternative Animations-KIC2007

Korean Independent Cinema 2007でAlternative Animationsのプログラム。

『人間テトリス』(シン・ミリ、2005年)
『足』 (イ・ヘヨン、2007年)
『雨の日に歩く』 (チェ・ヒョンミョン、2006年)
『お婆ちゃん』 (キム・ドフン、チェ・ユンギョン、オ・ジウン、
キム・ジョンウ、キム・ヒョンジュ、イ・ジナ、2006年)
絵本、『巨人のマゴばあさん』みたいなお話。

『りんご』 (ジョン・ムン、2006年)
『つぶやき』 (チーム・アニ工場=チェ・ジェソン、チョン・ヒョンギュ、
キム・ヨンマン、チン・スンボム、ハ・ナウォン、2006年)
『再会』 (パク・ジョンギュ、2006年)
『公転軌道』(イ・ジュンス、2007年)
これは父と神、という父なる者、父性二者の価値観の間の揺れを表現しているようにも思える。韓国ドラマでたまに表現されているが、自己対他者の二者間だけでなく、神という第3の存在が入ってくる三者間での自己の相対化、複層的な他者との関係性が興味深い。アジアの中でも宗教性の薄い日本ではあまり伝わらないかもしれないが、欧米などでは共感される普遍的な主題のような気もする。

日本のアニメ(最近のでは『ピアノの森』など)で作画のクレジットにたくさんの韓国の人の名前を見ることがあるけれど...
情緒も絵柄も似ているようですこし違う韓国のアニメを観るのは楽しい。

爽やかな印象の『雨の日に歩く』はAnnecy2006卒業作品部門で賞をとっている。
青春と雨の日とかえる(足の長いかえるが楽しい)の楽しい一刻。
雨と少女と少年と...国語の教科書にも載っている話、「ソナギ」の伝統がここにも脈打っているよう。

2006年 Korean animations 1

2006年 Korean animations 2


approaching apocalypse
Korean Independent Cinema 2007で黙示録についての短い話、一連の短編を観る。

『世界のおわり』 (ナムグン・ソン、2007年)
『対話』 (ソンさんの家=クォン・マンジン、キム・ジヒュン、ソン・ジユン、2006年)
『核分裂家族』 (パク兄弟=パク・スヨン、パク・ジェヨン、2005年)
『リターン』 (チャン・チャンホ、ユ・ゴンギ、ナム・スンピョ、チャン・ウジン、2006年)
『シンダンドン、チェーンソー、夫婦喧嘩』 (リュ・グンファン、2006年)
『地球の物質』 (キム・ジンマン、2007年)
『自殺変奏曲』 (キム・ソン、キム・ゴク、2007年)

Independentだから商業映画の持つ表現の制約から
かなり外れていておもしろい。
東洋の円環思想、輪廻転生的な世界観と
黙示録という直線的な世界観がどうせめぎあっているのか気になった。


Volver
Penelope Cruzがスペイン語で語りスペイン料理を作り
スペイン語で歌う。Tango Volverがなかなかはらわたに沁みる感じ。

さまざまな母性が重い原色を塗り重ねた絵のようなPedro Almodovar監督作品。

物語の展開や家族の秘密はとちゅうで想像がつくけれど...
風のせい、と言ってしまう原始的なところ、
Garcia MarquezやMiguel de CervantesのDon Quixoteに連なる...
共鳴するような、物語のextravagant grandeur、monstrousラテン性は印象的だった。

料理はする姿も輝かしく、
美味しそうに食べている姿を見るのも喜ばしく
母性・愛情の隠喩としての料理/食べものも感じる。

老いて寝台の下にかくれなくてはならない姿がとてもユーモアにあふれていて
魔法使いの老後の舞台裏みたいだった。

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『ボルベール<帰郷>』を観て。


l'avion
今も空を見上げて考えてしまう、飛行機を見上げるように...
生まれ変わって早く降りて来ないかと。
そんな想いから
再生までのつらさが強く伝わってくる。

砂漠のように見える砂浜や
森の中で
愛する人を失った孤独を抱きしめている姿が
星の王子様のようだった。

隕石?でつくられたらしい飛行機の話
怒ったり助けたりする飛行機はほんとうにFantasicで素敵。

『チャーリーとパパの飛行機』を観て。

lavion.jpg



I'm a Cyborg, but It's OK
cyborg.gif

愛なしでは生きられないけれどごはんもちゃんと食べないと。ってごはんを食べない子どもたちに歌っているみたいな映画。
ごはんが愛だったり
愛がごはんになったり...
ごはん食べた?食事したの?がこんにちはの挨拶代わりにもなる
ごはんがとっても大切な国で
ごはんを食べることの危機(ごはんを食べられないくらい傷ついた子ども)が描かれている。
それは弱弱しくなっている愛でもあるし
すこやかな生命の危機でもある。

ヨングンの祖母への愛
イルスンのヨングンへの愛
愛がごはんと、ごはんを食べることに密接に結びついている。
そんなごはんと愛の幸福な関係がヨングンとイルスンにからまった世界。

祖母への愛や、祖母への愛惜からごはんが食べられなくなったヨングンの心を
必死になって解きほぐしごはんを食べられるようにする、
忍耐強く大きなイルスンの愛が心にしみる。
それは、親よりも忍耐強く、理解のある...ひなを守るような、親が忘れていた純な親心かもしれない。
この親心は親子の愛が根底にある復讐三部作の主題・親子愛にも連なっていて、前作からの流れのような気もする。
そしてヨングンの祖母への愛は
子が忘れている老いた親への愛を
親心と一対に、合わせ鏡のように映し出す。

パク・チャヌク監督がインタビューで子どものほうがすんなりこの映画がわかる
と言っていた。
ファンタジックだけれど社会的弱者の心の痛みが伝わるこの作品は
子どもたちのあたらしいアンデルセンになりそう。

チョン・ジフンの歌うヨーデルが美しくてのびやかで良かった。

『サイボーグでも大丈夫』を観て。

オールド・ボーイ

親切なクムジャさん


La Vie En Rose
映画の中のインタビュー場面で
すべての人にただ一言、
愛しなさい、愛しなさいと言っているのが印象的。
月を見ると愛を思い出す。

最愛の彼Marcelの名は娘の名前Marcelleと同じ音だったのに気づき
胸が痛んだ。

Marion Cotillard、Edith PiafがLa StradaのGiulietta Masinaに見えた。
さびしそうで一途な表情が似ている。

お酒と歌のピアフを見てAmy Winehouseも思い浮かぶ。

PIAF est une etoile qui se devore dans la solitude nocturne du ciel de France.Jean Cocteau

lavieEnRose.JPG

『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』を観て。写真は成田空港でもらった文庫本カバー。


不安定さと
音楽や人間に対するある種の率直さ、真面目さが
ambivalentにseesawのように空気を震わせる。

Julien Temple監督のThe Sex Pistols The Great Rock'n'Roll Swindle
は観ただろうか(Alex Cox、Gary OldmanのSid and Nancyが強烈で...)。
無軌道な彼らとは一線を画す、
社会的弱者への目配りがひしひしと伝わり
それは後継者たち(Bonoたち)にも脈打っている感がしてよかった。
音もいいし!

No FutureのThe Sex Pistolsと
The Future Is UnwrittenのThe Crashは背中合わせ。

Johnny Depp、Martin Scorsese、Jim Jarmuschも登場する
The CrashのJoe Strummerを描いた『LONDON CALLING/The Life of Joe Strummer』を観て。

New York Doll

joestrummer.JPG


El Laberinto del Fauno:Pan's Labyrinth
少女は空想で自由を求め
現実の世界でも自由を求め、もうひとつの世界への扉をひらく。
自由な魂の飛翔先が現実の世界ではなかった、という物語は
現実を視とおしてしまった少女の知恵だったのだろうか...。
でも少女は自分の王国に還っていったと信じている。

女の子の強さと弱さも等分に描かれている気がする。
女の子の強さ、
それは愛(母性愛)。

そして理想に斃れた魂を感じる。
単なるファンタジーではなく少女のBildungsroman

ふたつの世界の交流、地上と地下の世界の交流と
1944年のファシズムとパルチザンの対峙が交差する。

Labyrinth.jpg

監督によるとEl Espiritu de la Colmena(みつばちのささやき)と似ているところがあるそう。
時代背景はほぼ同じ、そして空想好きな少女の冒険...。

『みつばちのささやき』はだいすきな映画のひとつ。
焚き火を飛び越えて遊ぶ姉の姿と
どこか空想の世界をみているようなアナの瞳はずうっと憶えている。

Arthur Rackhamの絵を映像化したようでもある。

ロシアのダーク・ファンタジー



El Otro
釜山でアルゼンチンの作品に出会う。
映画祭なのでふだんなかなか出会えないような作品に出会えるのが楽しい。
時間が合えばイランの映画もぜひ観たかった。

大人にもある種のモラトリアムの時期があって
もうすぐ父親になる主人公が出張先でEl Otro(他人)になる物語。
Ariel Rotter監督最新作。

“Nobody recognizes us, because nobody knows us, and nothing and no one, is known by us. Therefore, why carry the burden of our own identity when we could freely choose it? Better this way. Free ourselves of all that makes us a specific individual, and be able to be someone else, to be not just one.” Ariel Rotter

香港Noir
TIFF2007に合わせて開催された香港映画祭で『男兒本色』を観る。

ガラスの破片に炎が立って
無数のキャンドルが灯されているような場面は美しかった。

韓国のアクション映画は実はあまり怖くないが
香港のアクション映画の容赦なさが時々怖くなる。
本作も、難民が社会の冷たさに打ちのめされたためか冷酷な犯罪を犯す、その容赦ない姿が恐ろしかった。

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ベニー・チャン(陳木勝)監督、ニコラス・ツェー(謝霆鋒)、ジェイシー・チェン(房祖名)、ショーン・ユー(余文樂)主演。

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