闇の列車が闇を抜けて、トンネルを抜けて
光の旅になる希望も微かにしのばせる。
密入国を描く部分、
問題提起としてはなかなか。
いわゆる南北問題、富める北半球が
貧しい南半球を意識する契機とはなっている。
ただ、カスペルがギャング稼業に苦悩していたかどうか、
苦悩の末脱け出ることを選択・決意したのではなく成り行きでそうなっている部分、
ギャング稼業から脱け出す心理的葛藤が描かれていない部分が残念だった。
短編ながら、韓国の
『凍った地/Frozen Land』は倫理的な生き方と欲望のせめぎ合いが描かれていたので
感動が伝わる。
そして『凍った地/Frozen Land』は
ベートーヴェンの作曲が主音で終わらず
予定調和で終わらない曲調の作風・トーンを与えるのに対し...
やや通俗的なサイラとカスペルの接近、
そして予定調和的な終わり方が創作作品としては弱い気がした
(ドキュメンタリーとしての役割が勝っている)。
列車の旅は
通過する地によって
歓迎されたり
(線路脇で住民が車両の上の密入国者めがけて果物など食べものを投げてくれる)、
次に通過する地では子どもたちから石を投げつけられたり。
場所によって励まされたり罵られたりと対照的な列車の旅が
人生を暗喩しているよう。
(鉄道の旅を恋愛の道行きに例えた
Rapも思い出した)
車窓からはわからない(
世界の車窓からはわからない)、
闇の列車の屋根の上の世界。
屋根から見る世界。
7月29日に施行予定だったアリゾナ州の移民法は
前日に連邦地裁で差し止めを命じられた。
アリゾナ州新移民法は
警察官が職務質問などの際に不法移民でないかを確認するよう義務付け
移民が合法滞在を証明する書類を携行していなければ逮捕を認めるもの。
2008年秋のリーマンショック以来なかなか雇用が回復しないアメリカでは
おそらく少ないパイを取り合っているのだろうと想像される、特に国境付近では。
そんな背景で成立しそうになったアリゾナ州移民法を考えた。
それでも
南半球の人々にとっては今なおアメリカは新天地で
めざすべき大陸のようだ。
今年観た、密入国を描いたもうひとつの映画
Frozen Riverも思い出す。
北(カナダ)から南(中南米)から国境越えが後を絶たない、アメリカやアメリカン・ドリームをめざす人々についてあらためて思い至る。
そうして密入国や移民のドラマは普遍的になって行く。
ギャング組織については
その容赦ない暴力性から
むかし読んだ
センデロ・ルミノソを書いた本やコロンビアが舞台の映画
EMERALD COWBOYも合わせて考えた。
『闇の列車、光の旅』は
『天国の口、終りの楽園』的な邦題の付け方が良かった、おそらく映画の出来や内容以上に。
to be continued...!?
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