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テーマ:韓国!(16833)
カテゴリ:映画
今年はじめ2回ほど記事にしていた短編
『파란만장 波瀾万丈 Night Fishing』by PARKing CHANce(PARK Chan Wook, PARK Chan Kyong)をやっと観ました! 釣り竿を持って霧深い森の中へ入って行く男がひとり(オ・グァンノク/オ・グァンロク)。 ラジオからは台風接近のニュース。 夜も深まり風雨が激しくなってくるころ 川辺の釣り竿のうちの1本がぴくっと動いている。 かけつけた男が竿を持ち上げようとするとかなり重い。 釣り上がったのは 白い韓服を着た女性の死体のようだった... ユーモアあり グロテスクさもある雰囲気は『オールド・ボーイ』のパク・チャヌク監督らしさを感じさせる。 一方、この世とあの世を結ぶ巫堂(ムーダン)が登場し 生と死をシャーマン的な世界観で描き出したところは 先日観たパク・チャンギョン監督初長編『安養/もう一度生まれたい、アニャンに/ Anyang, Paradaise City』も想起させる。 パク・チャンギョン監督は実は巫堂などシャーマン世界、土俗宗教には以前から関心があって 調べていたこともあるそう。 一方、パク・チャヌク監督がムーダンの世界に接したのは今回がはじめてだそう。 円環構造になっている『安養』は 映画の構造そのものも 円環構造・輪廻転生という東洋の死生観を表現しているようだった。 『波瀾万丈』はパク・チャヌク監督、パク・チャンギョン監督それぞれの特徴が顕れていて、 ここはパク・チャヌクっぽい、 ここはパク・チャンギョンっぽい、と 兄弟合作テイストをまず味わってもいた。 ムーダンが、ムーダンにしてはなかなか年若い設定が興味深い。 20代にも見えるし30代にも見える。 (演じた、元祖K-Popアイドルのイ・ジョンヒョンは31歳) 男の妻の年齢に近いようでもあり... 娘の未来の姿、成人した時の姿のようでもある。 ありがちなムーダン像からのずらしも感じられた。 そこもFantasic/ファンタジック。 過去現在未来や生と死が入り混ざった 混沌とした古代世界を通して(ムーダンは仏教伝来以前からの信仰でもある) 現代の韓国で最も熱い 子どもへの愛、家族への愛情が 巫堂の姿を通して描かれているように思えた。 離れていた父と娘の絆を結びつける、 いわく言い難い古い世界の記憶が呼び起される感。 シャーマニズムの儀式についてくわしくはないけれど... 刀で長い白布を縦に切り裂いて行くところが興味深かった。 最後まで縦に切り裂いて 幕が上がったように布の先にあらわれた光景は あの森の川辺だった。 最初は此岸だった川辺は 今度は彼岸のように映っていた。 ここも円環構造のように思える。 生まれては死に 死んでは生まれる。 白い布は、 真っ白ではない。 死者を悼む、漂泊していない生成布。 東洋的な死生観や あの世とこの世の結びという いにしえの精神世界を撮影したのは...実はiPhone4! 半島の伝統的な死生観に基づくテーマと 現代的なツールの組み合わせも この作品で際立っている。 ここでiPhoneのカメラについて。 裏面照射型CMOSセンサー(BSI型センサー)カメラで 動画は常にHD動画(1280×720ピクセル、720p)。 フレームレートは30コマ/秒。 野の風景などは ケータイのカメラにしては画角が広いと感じた。若干黄色みが感じられた気もした... いくつかの映像は トイカメラで撮影したような、 フレームの四隅をぼかしたような、翳のある縁取りになっているのもおもしろかった。 だから クラシックな画!と思ったりもしながら観ていた。 なにより 良かったのは夜のシーン。 白黒の映像はドキュメンタリーの雰囲気を醸し出している。 アピチャッポンの『真昼の不思議な物体/Mysterious Object at Noon』の映像をちょっと思い出す。 生と死を結ぶ、記憶装置な韓国の精霊を ドキュメンタリー的な映像と 映画的な映像の混合で描いているようにも見える。 iPhone4は動画の場合、音声はデジタル録音できない仕様なので 音声は別に録ったのかなぁ。 冒頭の黒服のバンド、オオブ・バンド 어어부밴드 の演奏をバックに カッ(半島の伝統的な男性用冠帽)が飛んでいくところは 主人公の男の魂の行方を暗示した飛翔にも思えた。 彷徨える魂。 此岸でも迷いを抱えさまよい 彼岸でも彷徨う。 それがひとの、 人間のリアリティ。 最後にフィクションの力について。 ただムーダンを見せるためならドキュメンタリーでもできることだけれど... 死者が後ろ髪を引かれるように生者のそばを離れられなかったり 生者は死者を悼み続けたり... そこに登場する、死者と生者を結ぶ精霊は ファンタジーのようでありながら 死者と生者双方を救う、祈りにもなっている。 彼岸と此岸を橋渡しする想像力や祈りが 時には逝く者と残された者双方の魂の救済にもなり得る、 古からの知恵、スピリットとも感じられる。 その表出にフィクションの力を感じた。 クリント・イーストウッドの『ヒアアフター/HEREAFTER』や アピチャッポンの『Loong Boonmee Raleuk Chat/ブンミおじさんの森』 に通底する、普遍的なテーマを備えている。 『親切なクムジャさん』、『Mother is a Whore』のイ・ヨンニョ共演。 冒頭のバンド、オオブ・プロジェクト / オオブ・バンド 어어부밴드は 2011年全州国際映画祭の開幕式でも演奏していた。 メンバーが『復讐者に憐れみを』の音楽を担当、 そのお礼に?パク・チャヌク監督にMVを作ってもらったそうだ。 SSFF(ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2011)で観賞。 グロテスクなところもあるけれど ユーモアもあるので 客席からは時折笑いも起こっていた。 2004年『オールド・ボーイ/OLD BOY』 2009年『渇き/Thirst』 PARKing CHANceの由来はこちら。 イ・ジョンヒョンと言えば... 雑誌の付録だった、チョPD feat. イ・ジョンヒョンのFever MVが家にある(≧ω≦*) 1999年のアルバムIn Stardom Version 2.0に収録されている。 Feverはこんな曲。 http://www.youtube.com/watch?v=aztSFsENegA イ・ジョンヒョン、カワイイ!と思いながら見ていた♪(≧∀≦*) 今回、兄チャヌクはどちらかといえばプロデューサー的役割も多く担ったそう。 だいすきなパオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ/Paolo e Vittorio Taviani監督の話を聴いた時を思い出して... 兄弟の共同作業と分担、分業について思いをめぐらせるのも楽しかった。 to be continued...!? buzz KOREA Click... にほんブログ村 韓国映画 にほんブログ村 映画 にほんブログ村 映画評論・レビュー にほんブログ村 韓国情報 にほんブログ村 K-POP にほんブログ村 Copyright 2003-2025 Dalnara, confuoco. All rights reserved. 本ブログ、サイトの全部或いは一部を引用、言及する際は 著作権法に基づき出典(ブログ名とURL)を明記してください。 無断で本ブログ、サイトの全部あるいは一部、 表現や 情報、意見、 解釈、考察、解説 ロジックや発想(アイデア)・ 視点(着眼点)、 写真・画像等も コピー・利用・流用・盗用することは禁止します。 剽窃厳禁。 悪質なキュレーション Curation 型剽窃、 つまみ食い剽窃もお断り。 複製のみならず、 ベース下敷きにし、語尾や文体などを変えた剽窃、 リライト、 切り刻んで翻案等も著作権侵害です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jan 20, 2024 01:22:31 AM
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