confuoco Dalnara

2024/03/29(金)14:58

監視者たち감시자들

映画(1544)

香港映画ヤウ・ナイホイ監督 『天使の街、野獣の眼/跟蹤/Eye in the Sky』(2007年)の 韓国リメイク『監視者たち/감시자들』。 あらすじ 警察内特殊組織監視班は ファン斑長(ソル・ギョング)はじめ 犯罪を未然に防ぐ目的で日々対象を監視し続ける。 新人ユンジュ(ハン・ヒョジュ)はチームで 正体不明の武装強盗犯リーダー、ジェームズ(チョン・ウソン)を 監視しはじめるが... 2PMジュノ、チン・ギョン、キム・ビョンオクら共演 チョ・ウィソク、キム・ビョンソ監督『監視者たち/감시자들/Cold Eyes』 (2013年)  (以下、映画の核心に触れる部分もございます) 香港映画は 2003年に『インファナル・アフェア/Infernal Affairs/無間道』を観た時も思ったが 仏教的世界観が色濃い。 『天使の街、野獣の眼』のラストも 頸動脈を掻き切って人を殺して来た陳重山(レオン・カーファイ)が 船に乗る手前に飛び出していた鈎針に頸動脈を掻き切られる 仏教的因果応報。 ヒロインが子豚から猟犬になるのは 警察としてのコンテクストで。 一方、韓国版はヒロインのビルドゥングスロマンBildungsroman余韻に 韓国(朝鮮半島)の神話的香りづけが香港版と相違して興味深い。 字幕には訳出されていないが、 檀君神話を踏まえて 「(蓬を食べ大蒜を食べ)子豚(=花豚)が花鹿になったね」という ファン班長のセリフ。 思わずにやりとしてしまった。 訳出されていない 「蓬を食べ大蒜を食べ」の部分に韓国らしさ、日常の中に神話が飛び出すユーモアを感じ、 また、子豚から猟犬になるような警察官の職務としての文脈を超えていて。 犯人が因果応報で死ぬという仏教的な回収ではなく、 犯人は追い詰められて警察的手順で死ぬというカタルシスと 神話性を纏ったビルドゥングスロマンの共存。 まとめると... 香港版は犯人の死には仏教的世界観、因果応報が付き纏いつつ ヒロインの成長譚は警察官としての文脈内にあり、 韓国版は犯人の死は警察的手順の帰結で ヒロインの成長物語に神話的世界観のテイストも含ませていて... そんなふうに交差する・相違する香港と韓国の世界観、映画世界が興味深かった。 香港版と比べるとビルは高層化し 監視者たちは肉眼でなく 双眼鏡も使うが... オリジナルで登場したMotorolaの携帯電話が (記憶違いがなければ)韓国版でも登場していて スマホ全盛の韓国でMotorola携帯が登場していたことに驚きをおぼえつつ、 ちいさなオマージュ感も。 自分も2007年ころにはMotorola携帯を使っていたので... 2013年の映画の中の2007年が印象的。 チョントン(=伝統、キム・ビョンオク)の日本語のセリフ 「みんなどろぼうですね」を聞いて、 (まだきちんと調べていないが...) CIA対日工作機密文書に 「プロのうそつきで悪党、ペテン師、大どろぼう」と書かれた 日本のフィクサーなどを想起。 ただのどろぼうではなく、 フィクサー的あるいは工作員的背後の人物の存在も示唆されているようで、 もやもやと奥行感を残す(深読みすれば)。 映画のロケーションの雰囲気は 概ね香港版に似ている。 香港映画は高架のアクションが印象的、特徴的だったりもするが 韓国にも似たようなロケーションがあり、映画で使われるとは... 清渓川が復活する前は東大門市場付近の高架道路がそんな雰囲気だった。 アクション映画だが、 ほとんどのロケがソウル市内で行われていて 首都のロケーション支援の厚さにも驚く(東京と比べて。ニューヨークみたい!)。 クライマックスの 線路、トンネルのシーンでは ファン班長はポイントの切り替えも監視し把握していたのかも... と興味深かった。 (鉄道ミステリー風!?) 数独クラスタとしては 空欄として残された数字を並べ替えると(ターゲットの)IPアドレスになるという ちいさなミステリー、謎解きも楽しかった、香港版にはない数独の使い方。 オリジナル主演のサイモン・ヤムは 『10人の泥棒たち』に続いて韓国映画への出演(今作ではカメオ出演)。 キム・ビョンソ監督は撮影監督出身。 撮影監督出身監督と言えば... (一作!?だけれど) 香港の クリストファー・ドイル/Christopher Doyle/杜可風を思い出す... to be continued...!? buzz KOREA Click... にほんブログ村 韓国映画 にほんブログ村 映画 にほんブログ村 映画評論・レビュー にほんブログ村 韓国情報 にほんブログ村 K-POP にほんブログ村 Copyright 2003-2025 Dalnara, confuoco. All rights reserved. 本ブログ、サイトの全部或いは一部を引用、言及する際は 著作権法に基づき出典(ブログ名とURL)を明記してください。 無断で本ブログ、サイトの全部あるいは一部、 表現や 情報、意見、 解釈、考察、解説 ロジックや発想(アイデア)・ 視点(着眼点)、 写真・画像等も コピー・利用・流用・ 盗用することは禁止します。 剽窃厳禁。 悪質なキュレーション Curation 型剽窃、 つまみ食い剽窃もお断り。 複製のみならず、 ベース下敷きにし、語尾や文体などを変えた剽窃、 リライト、 切り刻んで翻案等も著作権侵害です。

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