confuoco Dalnara

ピョンチャン・オリンピック Pyeongchang Olympic Games の
開会式 #OpeningCeremony は見どころが多かった。
サイバーパンク #사이버펑크 な先端技術と伝統・歴史の融合が絶妙だった。
開会式のテーマは平和、Peace in Motion

まずはカウントダウンで
江原道平昌郡五台山上院寺の鐘が鳴る。平和の響き。
五台山（五臺山）はその奇岩の姿から金剛山にも似て「小金剛」と昔から呼ばれてもいた山。
鶴が羽を広げた姿にも見えるので青鶴山の別名も。
平昌（ピョンチャン）が位置する江原道の山である、
というだけでなく南北を、半島全体を感じさせもする。
上院寺の銅鐘 상원사 동종 は725年、南北国時代に鋳造された韓国に現存する最古の鐘。
南北国時代北は渤海、南は新羅。ここでも南と北を象徴する。
DMZ近くの寺も含め韓国全土のお寺の鐘が同時に鳴らされたという。

江原道の５人の子どもたちが五行（や五輪）を表す五色の服で登場
水晶と地図を持って新しい旅に出る。
氷の洞窟に入ると高句麗時代の壁画「四神図」から
白虎（スホランといっしょ！）が登場し旅の案内役に。
タプコル公園の大円覚寺碑（御影石の亀に載った大理石碑）や
石窟岩、日時計、多宝塔、亀甲船
「天象列次分野之図 천상열차분야지도」など
韓国の歴史を辿るように文物、遺物、文化財が
つぎつぎとホログラムで投影される。
天文クラスタなので美しい「天象列次分野之図」投影にうっとり、
1395年高句麗時代の平壌の天文図（평양 성도）の碑石の拓本を取ったもの。
その後神話の世界が示され、
東西南北の守護神に蝶や鹿、地上の生き物のカーニバルが繰り広げられる（このあたりも実物が飛び出し「AR」感あり）。
壇君神話の人間になったウンニョは中央で舞い踊り
プロジェクション・マッピングでオーロラ色の万華鏡がその足元にも投影された。
そして平和の象徴、人面鳥 인면조 も登場
（ちょっとざわつく視聴者）。



Geek 的には一目で気付いた Intel によるドローン Drone のショーが
世界初の5G で行われていたことに瞠目。
インテルによるドローン・ショーは以前も視ていたが（スーパーボウル Super Bowlで）
5G 技術でスムーズに鮮やかに演出された結果
バックグラウンドにある新しい技術インフラにも感嘆させられた。
スーパー・ボウルの時より４倍以上は多い台数のドローンをコントロール出来ていたのだから。
また、ダンサーと共に登場したスマートホン画面を模したように見えた大型液晶パネルは
昨年のミラノ・サローネで展示されたLGのものと推測。
有機EL（OLED）大型パネルは今LGしか量産出来ないし。

ダンスの動きに合わせたプロジェクション・マッピングも秀逸。
人の動きとデジタルの組み合わせ、
例えば床面にプロジェクション・マッピングで波動を描き
その動きとダンサーの動きが一体となり
立体的且つAR（拡張現実 증강현실 augmented reality）のような視覚効果をもたらしていた。
約370人の学生が８つのサークルに分かれ
星や万華鏡のようなイメージを描き出したダンスは
フォーメーション・ダンスが世界で最も発達しているK-Pop の国らしい
（実は伝統舞踊でもフォーメーションは見られる）。陰陽の赤と青色の光が投影される。

音楽関連は...
国歌を歌ったのは
国際結婚、多文化家庭の子どもたちによる
レインボークワイヤ Rainbow Chorus。

選手入場の際のBGMは
「アリラン 아리랑 목동」に
ソウル・オリンピックのテーマ曲「손에 손잡고 Hand in Hand」。
1920年生まれ孫夕友 손석우 作曲
韓明淑 한명숙 歌の
「黄色いシャツの男 노란 샤쓰 입은 사나이」（1961年発表。1960年代中頃まで人気）
韓国のむかしのロック
申重鉉 신중현과 엽전들「美人 미인」（1974年発売）がちょっとEDM風に!?
チョー・ヨンピル「단발머리（おかっぱの髪）」（1979年発表）も
（映画『タクシー運転手』で流れるから、とうがった見方をしてしまう日本人もいたが
韓国人がふつーにみんな知っているチョー・ヨンピルのノリがいい＝入場行進しやすい曲を
選ぶとこの曲でしょう。
韓国初のミリオンセラー・アルバム「窓の外の女」収録曲ですし。
最近のロックなアルバムから選ぶ可能性もあったかもしれないが）

そしてK-Pop
PSY GANGNAM STYLE 강남스타일
TWICE LIKEY
BIGBANG FANTASTIC BABY
BTS 방탄소년단 DNA
Red Velvet 레드벨벳 Red Flavor 빨간 맛
はアレンジされている曲もあり、興味深かった。

76歳の方が「アリラン」を歌い
江原道らしい蕎麦の花の風景がプロジェクション・マッピングで投影される。
５人の子どもたちの旅は終わりに近づいている。
あらゆる他者とリンクする未来のコミュニケーション、
そしてつながり合うことの大切さを学んだ子どもたちは
周りの家族たちにろうそくの灯りを分かち合う。
ろうそくの光（ドローン）でハトが二羽描かれ
チョン・イングォン、イ・ウンミ、
GUCKKASTENのハ・ヒョヌ、赤頬思春期のアン・ジヨンの4人が
ジョン・レノンのImagineを歌った。

聖火点灯の前に
インテルのドローン・ショー。
会場外のドローンが夜空に巨大スノーボーダーを描き
大きなスノーボーダーは地上の約100人のスノーボーダーにチェンジ、
視点が切り替わり雪のスロープを降りて来る彼らの動きへと遷移するシークエンス。
そして花火が上がった。

いよいよ聖火点灯。
聖火台は白磁の大壺を模したもの。韓国らしく静謐な美しさを湛える。
最終点火者はキム・ヨナで
聖火台の周りの小さなリンクを滑ってから点灯。
屋根のない会場の利点を最大限に生かし、頭上の空そのものが
会場を延長・延伸したステージ、拡張現実のようにも感じられたドローンのショーも見どころだった。
その後は悪鬼を払う방상시 탈 方相氏の仮面をつけた
B-Boy グループ Just Jerk Crew 저스트 절크 がテコンドーも取り入れた
トッケビのダンスを披露。祭祀の雰囲気もあるなぁ。

総合監督はソン・スンファン。
ノンバーバル・パフォーマンス「NANTA」のプロデューサーとして有名だが俳優歴も長い。
パク・チャヌク監督第一作『月は・・・太陽が見る夢　달은・・・해가 꾸는 꿈』（1992年）で
「皇帝」イ・スンチョル、ナ・ヒョンヒと共に主演。
イ・スンジェ、ヨ・ウンゲらと共演のドラマ
「私の恋人、誰かしら 내 사랑 누굴까」がなかなかおもしろかったと家人。
総合演出は劇団旅行者のヤン・ジョンウン、
鄭義信と「焼肉ドラゴン」を共同演出もしていた
（『焼肉ドラゴン』映画版も楽しみ）。
音楽監督は梁邦彦、イ・ビョンウ、ウォンイル、ホン・ドンギ。
リオ・デジャネイロの開会式クリエイティブ・ディレクターは
『シティ・オブ・ゴッド Cidade de Deus』監督のフェルナンド・メイレレス、
ロンドンはダニー・ボイル
北京はチャン・イーモウ（北京開催APECの式典公演も）と
最近は映画監督によるオリンピック開会式演出の印象が強かったので
舞台芸術・パフォーマンス寄りの監督が新鮮。
ちなみに2014年の仁川アジア大会開会式演出は
イム・グォンテク監督とチャン・ジン監督でした。

余談ですが
南北分断され休戦中に過ぎない韓国でのオリンピック開催のバックグラウンドで
平和を希求し、和平のための政治的努力を重ねることを「政治的」と言う日本人、無礼で非人間的で五月蠅い。
戦争や分断、差別のための政治しかしない極右政権スゴイ日本下の発想が非論理的で説得力なさ過ぎて。
元プロテニス・プレーヤーのボリス・ベッカー Boris Becker 氏が
南北合同入場を称えたTweet をリアルタイムで投稿していた。
東西分断を経験したドイツ人にはわかるのだろう。



ハッシュタグの #Laureus18 から
ローレウス・アカデミー会員のベッカー氏が
ローレウス世界スポーツ賞 The Laureus World Sports Awards を
念頭に入れていることも伺えた。

また、「歓迎します」を各国の言葉でプロジェクション・マッピング投影した演出の類似性について
浅薄なことを書いている日本人がいて笑止千万。
オリンピックで、開会式で、という特性（性格）上「歓迎」「もてなし」を表現するのは当たり前で
そこから誰でも思いつくユニバーサルな発想の上（国際空港にも同様のものが見られる）
プロジェクション・マッピングの用途と使用範囲を考慮すると
可能な演出は限定され、同等のものにランディングするのは自明。
客席一つずつに小さなLEDパネルを付け
各国選手入場時にはスタンドに大きく国旗や国名をデジタル・マスゲームの要領で投影していたが、
これも視認しやすさ等考慮すれば大きなキャンバスとしてスタンド使用、というこの選択になり
恐らく他国開催時も同様のLEDパネルを客席に装備出来、Bluetooth等で制御できれば
同じ発想演出に帰結するのでは。
K-Pop コンサートに行ったことがある人ならわかると思うが
グループによってペンライトのカラーは一色に決まってもいるが
最新のコンサートではBluetooth制御で曲や演出に合わせて
さまざまな色（七色くらい）が自動で点灯発光するしくみになっていることも想起した。

サッカー・ワールドカップの際のTweetでもおなじみの
大英博物館はソウル・オリンピックのエンブレムをツイート。



パラリンピック旗のデザインはソウル・パラリンピック旗のデザインを
起源とし、踏襲したものと後で知る。

to be continued...!?

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