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テーマ:韓国!(16833)
カテゴリ:映画
チョ・ジョンソク、イム・ユナ
コ・ドゥシム、パク・インファン、キム・ジヨン主演 イ・サングン監督『엑시트 EXIT』(2019年) (以下、映画の核心に触れる部分もございます) 社会の透明人間、アウトサイダー 「剰余人間」のような 大学は卒業したけれど、就職がなかなか出来ない主人公ヨンナムは 周囲の人々からは無責任ともいえる励ましの言葉 「きっとうまく行く」をかけられ続けていても 未だ出口(EXIT)が見えない人生。 しかし、母の古希祝い会場「雲の庭園」で有毒ガスの危機に巻き込まれたことから 「脱出」を余儀なくされる遅れて来た青春英雄譚、ちょっとモラトリアムな成長譚になっている。 上昇して来る毒ガスというディザスターに 山岳部で得たボルダリング即ち「道探し」の知識と筋力で立ち向かう 今までにない視点とアイデアに満ちた映画。 出口(EXIT)探しは学生時代のボルダリングの「道探し」を召喚し 人生の出口探しもしのばせる演出。 「剰余人間」の悲哀と人生が、出口を探す脱出劇にもオーヴァーラップし ハリウッド型の派手さと対極的な、手近で日常的な道具による脱出劇は 等身大で共感できる青春ストーリーにもなっている。 特に、「自習室」で取り残された20人の高校生を先に救助してあげて、 と助かりたくて泣き出しながらも耐えて人文字を作る姿、シーンには セウォル号事故で子どもたちを助けられなかったような大人たちにはならない、 という彼らの矜持と意思が輝いていた。 また、特ダネとして出口に向かって走り続ける彼らの映像を生中継するドローン1台の後に、 彼らの居場所を知らせ、特定するための市民ボランティアのドローンが10数台駆け付けるシーンは 顔も見えない市民の良心を象徴し、同じくセウォル号事故の際、多くの市民ボランティア・ダイバーが 捜索に加わり海に潜ったことも想起させる。 匿名の悪意やヘイトスピーチが世界を覆う現代、 インフルエンサーのYoutuberが彼らの存在を発信し 顔の見えない善意や助け合いが災害時に浮かび上がるシーンも21世紀らしく、韓国らしい。 今年の春に江原道で発生した山火事の際も 全国から夜を徹して駆け付けた消防車や消防士の労をねぎらって 消防士を国家職にという声が国民から上がっていたことも記憶に新しい(11月に決定)。 共存、共生や助け合いの思いが災害時に高まる韓国らしさの一端が。 平凡な韓国的親子や家族の情を描く一方で、 韓国民が今も心に痛みを抱える現代史もしのばせたシナリオに驚きもしたが... 『テロ, ライブ』や『釜山行き』の頃から、韓国映画はそのようになっているという感慨も。 『シンゴジラ』と比較することもできるかもしれない。 ヨンナムというモラトリアム英雄の旅、Heroes and the Monomyth構造を備えながら 最後に胸を衝かれたのは父親との再会シーン。 Complete the task後Return homeした息子ヨンナムに対し 父は丁寧語で「本当にありがとうございました」と言ったのだ。 日本以上に上下関係が厳しく、父や年長者の権威が絶対だったイ家で 姉にはいつもダメ出しされ、両親にも子ども扱いされていたヨンナムが 英雄として帰還した時丁寧語で労をねぎらわれる。 父親もヨンナムを社会の一員として責任ある一員として認めたというそんなカタルシスが爽快。 (父親も、ようやく「子離れ」したのだろう。 それまでは現場でも、危険なことをするな!危険を冒すな!と息子を守ろうとし 「子ども扱い」していたから) 余談だが、日本では寡聞にして聞かない、 防毒マスクが事業所に配布されている、といった設定に驚いた。 台風被害時にすぐに破れる粗悪なブルーシートが配布されてしまった日本の防災の現実を思い浮かべた。 『조작된 도시 操作された都市』も 「剰余人間」を助ける、顔の見えない市民たちの姿が登場していた。 to be continued...!? buzz KOREA Click... にほんブログ村 韓国映画 にほんブログ村 映画 にほんブログ村 映画評論・レビュー にほんブログ村 韓国情報 にほんブログ村 K-POP にほんブログ村 Copyright 2003-2024 Dalnara, confuoco. All rights reserved. 本ブログ、サイトの全部或いは一部を引用、言及する際は 著作権法に基づき出典(ブログ名とURL)を明記してください。 無断で本ブログ、サイトの全部あるいは一部、 表現や 情報、意見、 解釈、考察、解説 ロジックや発想(アイデア)・ 視点(着眼点)、 写真・画像等も コピー・利用・流用することは禁止します。 剽窃厳禁。 悪質なキュレーション Curation 型剽窃、 つまみ食い剽窃もお断り。 複製のみならず、 ベース下敷きにし、語尾や文体などを変えた剽窃 切り刻んで翻案等も著作権侵害です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Sep 14, 2023 12:45:45 AM
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