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カテゴリ:映画
Netflixで配信中『Two Distant Strangers 隔たる世界の2人』
アカデミー賞短編映画賞ノミネート作品を見て 胸が苦しくなった。 (ネトフリ作品の同賞ノミネートは今年最多らしい) ラッパーのジョーイ・バッドアス Joey Bada$$ Andrew Howard、Zaria Simone出演 Travon Free、Martin Desmond Roe共同監督。 (以下、映画の核心に触れる部分もございます) ![]() time loopもの「SF」とも受け取れるが、 愛犬にごはんをあげるために家に帰ろうとして 帰ることが出来ないスパイラル、 悪夢のように繰り返されるループそのものが制度的レイシズムを そしてPTSDのように一生付きまとう恐怖や心の痛みを象徴しているよう。 SFというナラティブ、フレームで 悪夢のようにループする制度的レイシズムとその心的外傷を クレバーに描き切っている。 防弾チョッキならぬ、防刃チョッキで外出せざるを得ない 在日コリアンもいるほどヘイトとレイシズムに満ちた日本も この「SF」世界から遠いわけではない。 映画の中の悪夢や恐怖が現実の日本と地続きで、腑に落ちる描写だった。 白人警官は本人の弁によれば 「典型的なアメリカ人」で 米国が「腐ってきている」ことを憂い、 「法と秩序 Law and Order」が必要と考えている。 このあたりまででトランプとの共通点に震撼もした。 (トランプが好んでよく口にしたLaw and Order) 「黒人とこんなに長く話すのは初めて」と言い、 主人公の考えには同意しない、と言い放つ。 ニューヨーク警察NYPDでありながら、 多様な人種や人間との交流や交渉が殆どなかったこと、 「隔たり」あるいは偏狭さが深刻であることもうかがわせる。 映画のタイトルは2Pac / Tupac Shakurの Changesの歌詞 Learn to see me as a brother instead of 2 distant strangersから 取られているよう、映画の最後に引用もされている。 そのChangesがサンプリング・参照しているのが Bruce Hornsby and the Range ブルース・ホーンズビー・アンド・ザ・レインジの The Way It Is。 1964年の公民権法後も変わらない差別や偏見について歌った曲。 映画の中の白人警官の態度と、 2020年にも多数起こった 白人警官によるアフリカ系アメリカ人殺害は無関係ではない。 制度的レイシズムの問題もそうだが、 2Pacが歌っていたように、 「隣人」との隔たり、距離がありすぎるリアル、 「隔たる世界」と分断を浮き彫りにする。 ニューヨークの街を俯瞰した映像には 昨年殺されたジョージ・フロイド George Floyd氏の名前と Say Their Namesがペイントされたビルの屋上が映る。 映画の最後にThe Way It Isが流れて 白人警官に殺された人々の名前が画面に刻まれる。 彼らの名前を記憶し、呼ぶことで 変わらない現実と問題のありかが 何度でも喚起され、奮い立たされる。 マイケル・ムーア監督が 「ほんとうのアメリカ人」を探した旅はまだ半ばだろう。 アカデミー賞にノミネートされた クロエ・ジャオ監督『ノマドランド Nomadland』や 前作『ザ・ライダー The Rider』に同賞ノミネート『ミナリ』や 法廷でアフリカ系が酷い目にも遭う 『シカゴ7裁判 The Trial of the Chicago 7』など それぞれアメリカ人とは何か アメリカ人について、アメリカ人の自画像について 描かれている、と考えながら観ていた。 一方で、映画などで描いても描いても 「ほんとうのアメリカ人」「これもアメリカ人」の自画像が いくら積みあがっても、 The Way It Isの歌詞にある通り 公民権法後も彼らの心根、差別や偏見は変わらない、 得体のしれない白人がすぐ隣にいる、という現実、 アフリカ系が持つ、ループする恐怖にも共感する。 マジョリティは差別に気づかずにいられ、気にせずにすむ人だが、 マイノリティとして、スパイラルな悪夢のような恐怖、 アフリカ系の話は他人事ではなく身に沁みるから。 ちなみに、『ホワイトハウス・ダウン』公開時も アフリカ系大統領の設定が気に入らない、と酷評が連なっていたり、 『ゴーストバスターズ』公開時にも 主演女優に差別的攻撃、ミソジニーな攻撃が殺到していたが、 今回も星10点中、星1つしか付けない、 白人至上主義者によるものと思われるレビューが 半数近くを占めていた。これが現実。 白人の心根は変わらず、映画の主題から白人の心は隔たっている。 日本でNIKEの「You Can't Stop Us」動画が公開されたとたん、 ネトウヨの非難が殺到したことと軌を一にする。 The Way It Is 主人公が黄色のパーカーのフードを被るのは、 ディアンジェロがフーデッドで歌っていた姿、 そしてフーディーのアフリカ系が無抵抗のまま撃たれ殺された事件を想起もさせる。 黄色はもちろん、ニューヨークのFifth avenue, トランプタワーの前の 道路に「Black Lives Matter」が黄色でペイントされたことへの オマージュもありそう。 ![]() 余談だが、ジョーイ・バッドアスが影響を受けたアーティストの 一人がTupac。 ![]() to be continued...!? buzz KOREA Click... にほんブログ村 韓国映画 にほんブログ村 映画 にほんブログ村 映画評論・レビュー にほんブログ村 韓国情報 にほんブログ村 K-POP にほんブログ村 Copyright 2003-2025 Dalnara, confuoco. All rights reserved. 本ブログ、サイトの全部或いは一部を引用、言及する際は 著作権法に基づき出典(ブログ名とURL)を明記してください。 無断で本ブログ、サイトの全部あるいは一部、 表現や 情報、意見、 解釈、考察、解説 ロジックや発想(アイデア)・ 視点(着眼点)、 写真・画像等も コピー・利用・流用・ 盗用することは禁止します。 剽窃厳禁。 悪質なキュレーション Curation 型剽窃、 つまみ食い剽窃もお断り。 複製のみならず、 ベース下敷きにし、語尾や文体などを変えた剽窃、 リライト、 切り刻んで翻案等も著作権侵害です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Apr 15, 2024 11:42:46 PM
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