手編み職人に学ぶ
気持ちがぞわぞわ落ち着かないとき、
いやなことが重なったり、やる気がおきないとき、
私はなんでもいいから片付けていきます。
すごくちっちゃいところほど有効です。
電気のスイッチまわりを爪楊枝で掃除するとか、
茶碗の茶渋をひたすら磨いたりとか。
どうでもいいようなところに夢中になると、
なんだか気持ちが浄化してきて、うそみたいに軽くなる。
そうするとハタラクコトに加速がかかって、次の何かも始められるようになる。
私は編み物のつくりあげていく魂、みたいなところが好きで、
自分でもKUMA.YOSHIO を作っていますが →
こういう気持ちって、モノ作りに似てる、って思います。
アイルランドの西のはて、アラン諸島の話です。
強い風と岩しかないこの島でアランセーターは生まれました。
50年も昔から、その島は手編みの島です。
おばあちゃん職人さんいわく、
「編むことそのものに、よろこびがあります。
気分が落ち込んだりしたときには、
編みものをすると心が落ち着きます。
いつも何かを編んでいたし、
手を動かすことを必要としていました。
大好きな編みものに没頭していると無心になれるのです」
気仙沼の手編みのおばさんもこんなこと言ってました。
「不安でいるよりはね、
なにか一針でも刺していれば安心するから。
津波の後、自分が不安になったとき、
ひと晩に一本ずつ針を刺してて‥‥
そいつを刺してるだけで、ほっとすんだよね」
小っちゃく前へ進むことだけが、わが身を救う。