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自然治癒力研究会

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ジャンクフード症候群

癒しのエネルギーを絵に注入しています。ぼんやりと絵を眺めてくださいね。
ジャンクフード症候群(junk food syndrome)

ジャンクフード(junk food)とは、エネルギー(カロリー)は高いが、必須栄養素の『ビタミン・ミネラル・食物繊維』がほとんど含まれない食品のことで、一般に糖分や人工添加物が多く含まれたもののことを言う。ジャンクフードとは栄養学的な『ガラクタ食品』という意味であり、継続的かつ大量に栄養の偏ったジャンクフードを摂取し続けると心身の健康に良くないとされている。

その一方で、アメリカを発祥の地とするジャンクフードは、現代的な大衆文化を代表するファストフード(手軽にスピーディに摂取できる食品)であり、モノと食品が溢れている『大量消費文明の豊かさ』を如実に象徴するものでもある。産業システムによる大量生産が可能なファストフードは、良くも悪くも人間を『飢餓の不安』から解き放ち『飽食の時代』へと誘うことになった。

具体的なジャンクフードには、『ハンバーガー・フライドポテト・ドーナツ・ポップコーン・スナック菓子・カップラーメン・清涼飲料水(コーラなど炭酸飲料)』などがあり、それらの特徴は『高カロリー・高脂肪・糖分と塩分が多い・手軽に食べられる・味が濃くて満腹感を得やすい』ということであり、忙しい現代人は多かれ少なかれファストフードとしてジャンクフードを食べる機会を持つことになる。ジャンクフードには野菜・果物・海産物が不足しがちなので、『ビタミン・ミネラル・食物繊維』を別の食品で補わないと栄養学的に偏った状態に陥りやすい。味付けの濃いジャンクフードは『食べる喜び・快感』を得やすい食品が多いので、注意しないと過食傾向になって肥満の原因にもなることがある。

1975年以降に、日本で清涼飲料水とインスタント食品ばかりを食べた若年者が、ビタミンB1が極度に不足して脚気(かっけ)を発症するというジャンクフードの副作用も現れた。アメリカやイギリスをはじめとする欧米諸国の中には、『脂肪・糖分・塩分が過度に含まれたジャンクフードの子供向け商業広告』を法的に規制したり公共広告審査機関が自主規制を勧告したりしているケースもある。

ジャンクフードの大量摂取による栄養不足によって脚気が発症するリスクについてはD.ロンズデールが指摘しているが、一部の心理学者・栄養学者にはジャンクフードの過剰摂取が精神活動に悪影響を与えると主張する者もある。ファストフードやインスタント食品の栄養学的なリスクについては、『肥満・糖尿病・脳梗塞・高脂血症・心疾患・血管障害』など生活習慣病の発症リスクも古くから指摘されていて、特に過食や間食の増加による『肥満』がさまざまな血管障害・代謝疾患の原因になると考えられている。

ジャンクフードの継続的な大量摂取による心身への悪影響を総称して『ジャンクフード症候群(junk food syndrome)』と呼ぶことがあるが、ジャンクフード症候群の精神症状として『興奮促進・攻撃性・衝動性』を指摘する声もある。ジャンクフードによって攻撃性や興奮(怒り)の亢進が起こるという十分な科学的エビデンスがあるわけではないが、ジャンクフードを食べる機会の多い子供は『家庭の温かい食卓・親の手作りの料理』が欠如していることが多く、そのことが母性剥奪や機能不全家族の経験につながるとする主張も一部である。

つまり、『栄養学的な偏り・不足』という身体の健康の問題だけではなくて、『食卓を囲む家族関係の欠如・食事の時間における会話の不足』という精神の健康の問題(子供の精神発達過程への影響)との二面性があるということである。とはいえ、核家族化とフルタイムの夫婦共働き、家族成員の個室化、ファストフードの多様化などの要因によって、今後も人々がジャンクフードを食べる機会は増えると予測される。その一方で、『食育の普及(食生活と健康に関する教育指導)』と『食の安全への意識の高まり』によって、ジャンクフードの介在する食生活を強く敬遠する『健康志向の層』も多くなってくるだろう。


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