Cookie Freak

2007/06/24(日)22:29

【本】読書のスピード

本(28)

太宰治著「津軽」、読了。 読み終わるのに、 10日以上も要してしまいました。 おそらく、完読したのは、 10代のころ以来と思いますが、 10代の頃は、 1日で読んでしまったのではないでしょうか。 10代のある一時期、 本を読むことを、 何かの「課題」みたいに感じていたことがございまして、 ある夏休みなどは、 「1日1冊読破!」を自分に課していました。 今から思うと、 何をバカなことをしていたものか、 と、思わないわけでもございませぬ。 ともかく、たくさん本を読んでいることを、 得意に思っていたのでございましょう。 今回、「津軽」を久しぶりに再読するにあたりまして、 ゆっくりと、味わうように読もうと決めていました。 小説の中で、「私(太宰)」は、 津軽の各所で、ゆかりの人達と会い、 旅のひとときを一緒に過ごしています。 今から思うと、 小説の中の旅のスピードと、 今回のわたしの読書のスピードは、 ちょうど歩調が合っている感じでございました。 それで、改めて、 思ったこともありました。 小説の筋を書いてしまうのも無粋なので、 ぼかしますが、 この小説を読む前は、 小説のラストシーンばかりが、 浮き立って印象に残っておりました。 でも、今回、ゆっくりと読み返してみまして、 ほかのシーンでも、 印象に残る箇所が、随所にありました。 例えば、小説の中ほど、 金木の生家に戻り、 兄や兄嫁、姪、そのお婿(むこ)さんらと一緒に、 近隣の山や溜め池に、ハイキングに行くシーン。 久しぶりに会う家族、新しい家族らと、 和気藹々(わきあいあい)と交流する一方、 兄に対しては、どこか、ぎこちなさが残る感じ。 山の上から、 自分の故郷、津軽平野を一望するくだり。 わたしも、自然と、感情移入しまして、 そのシーンを読んでおりました。 ふと、ここに登場する人物は全員、 今は亡くなっているのかもしれないなぁ…と思いまして、 当たり前といえば、当たり前の話なのでありますが、 ちょっと不思議な感じにとらわれました。 小説「津軽」の中には、 六十年前の津軽の風情が、 しっかりと生きているんでありますな。 …って、わたくし、 六十年前の津軽は、知らないんですけどね! 28歳だし。。。 ここ最近、スピードの速さばかり、 もてはやされる風潮もございますが、 たまには、ゆっくりとペースを落として、 本を読んでみるのも、 乙なものであります。 追記 読了直後の感想は、 「太宰も、いい小説を残してくれたものだなぁ」でした。 そうして、「津軽」という、 その小説のタイトルを改めて眺めていました。 太宰の小説は、若者向きのイメージがありますが、 30代以降の人には、再読をおすすめいたします。 特に、津軽出身の方には。 いい小説です。 ↓応援していただける方は、ぽちっとな♪ ただいま、東北ランキング7位前後です。 みなさまの応援のおかげでございます。 ありがとうございます。感謝感謝。

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