担架に乗って病室へ戻る廊下で、
青い青い空と、眩しい朝日がお祝いをしてくれた20年前。
陣痛が始まり、時折襲ってくる痛みに耐えながら、パパのイビキを聞いていた。
大きなあなたは、頭が出て、肩が出てって、はっきりとわかったよ、ママは。
この世に顔を出した瞬間、「オギャ~」と言わなくてね、バタバタと周りは騒いだ。
「え?なんで?」と思った瞬間、「おぎゃ~」と言ったのよね。
感動の涙っていうの、じわじわ出たきたよ。
赤ちゃんのあなたは、よく泣いていたね。
眠たくなると泣いて、お腹がすくと泣いて、
お姉ちゃんがベットの上によじ登って、あなたをヨチヨチしてくれたんだよ。
ワンパクだったあなたは、手が届かないと思っていたのに、
カギ開けて、道路を渡って、滑り台で遊んでいたね、ママ真っ青だったよ。
大きなスーパーへ行っては、一人で何処かへ行っちゃうし、
そんな時は泣くんだよ、「ママがいないって泣くんだよ。」
元気に遊んでいたって、だれも迷子だと思ってくれないからね。
幼稚園に入り、元気なあなたは、もちろんクラスの人気者。
遠足のバスの中では、先頭きって歌ったり、卒園式が終わってから教室でのお話では、先生をちゃかして、大騒ぎしちゃったね。
でもママは知っていたよ。
あなたが、お姉ちゃんの卒園式のビデオ見て大泣きしていた事。
小学生になってから、道端にプール道具置いてきちゃったり、
ランドセル持たずに学校行ったり、傘も何十本買っただろうね~。
「たたいま~!」と、帰ってきたと思ったら、ランドセル投げて「いってきま~~す!」と、
あっという間にいなくなってしまったよ。
元気一杯だった。
「何で学校へ行かないといけないの?」いっぱい話をした学級崩壊があったあの頃。
中学になって部活、部活!そして塾!
「おたくのお子さん、寝ています。」と、塾の先生に怒られちゃったよ、ママ。
委員長に部長、「経験したもん勝ち!」と言った言葉、密かに実行してくれたのかな。
体育祭の、あのキビキビした姿、家では考えられなかったよ。
「先生なんてこの程度」と、哀しい大人達には幻滅しただろうな。
高校になって、朝練の毎日。
あまりゆっくり話す時間なかったね。
部活でやってるトレーニングを教えてくれたよね。
くーにも、よくマッサージしてくれたね。
くーちゃん、じっーとしてたから、きっと喜んでいたんだね。
そして今、目覚まし時計で、起きられるようになったのね。
忘れ物常習犯は、どうにか学校へ行っているんだね。
大きくなったんだね。
これからどんな大人になっていくのかな。
いつまでも遠くから見ているよ。